医療者のためのExcel入門
超・基礎から医療データ分析まで

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Excelの基本的なキー操作といった“超・基礎”から、便利な集計機能「ピボットテーブル」を駆使したデータの集計・分析、グラフ作成のポイントまで、豊富な画面例でやさしく伝授。医療現場を想定したサンプルデータを用いているので、身近な業務データの整理にも即役立ちます! 「スライド原稿を作る便利ワザ」など、医療者がより便利にExcelを使いこなすための有益な情報も満載。


●読者の皆様へ 練習用Excelファイル ダウンロードのご案内
[内容] 47頁:患者台帳 / 72頁:Nurse / 106頁:患者満足度 / 158頁:カプラン

上記の4つのデータをご利用いただけます。お使いのExcelのバージョンに応じて、下のボタンよりzipファイルをダウンロードし、展開して、本書とあわせてお使いください。

Excel2007以降 zip 77KBExcel97-2003 zip 45KB
田久 浩志
発行 2013年08月判型:B5頁:200
ISBN 978-4-260-01845-6
定価 2,530円 (本体2,300円+税)

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  • 序文
  • 目次
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はじめに

 著者は1997年に,Macintosh版Excelを題材にして『Excelによるナース・ドクターのためのかんたんデータ整理法』という本を世に出しました。その後,2000年に看護師を対象にした『ナースのためのかんたんExcel』を,2001年に学部学生を対象にした『実力養成Word & Excel』を出版しました(3冊とも岩本 晋氏との共著,羊土社刊)。
 その間,ExcelはVersion 4.0からVersion 95, 2003,2007,2010,2013と進化し,医療情報システムの発達とともに大規模な医療データ解析が広く行われるようになりました。また,パソコンは一般的になり,個人で所有して自宅でExcelを使う機会も増え,専門学校や大学での情報科学の授業も多く行われるようになりました。
 しかし,学生時代にExcelの使い方を習っても,卒業研究などの科目がないとあまり利用する機会がないままになり,実際に医療現場でExcelを使用する頃には使い方を忘れてしまいがちです。一方,医療者が一般のビジネス用のExcel解説書で学習をしようとしても,扱うデータが医療分野とまるで異なるために,Excelを学ぶには困難がつきまといます。
 そこで,筆者が以前に出版した著書の内容をもとに,医学部・看護学部・リハビリテーション学部・体育学部で行ってきた授業の内容や,現場の医療者の研究支援の経験,そして筆者の専門である大規模データの解析で培ったノウハウを加えて本書を作りました。医療系学生や医療現場の第一線で働く医療者のみなさんが,実際の医療分野のデータを自分の手で解析し,そこで得た情報を自分の手で表現する,というのが本書のコンセプトです。
 本書が,読者のみなさんの日常業務や研究に少しでもお役に立てば幸いです。

 2013年6月
 田久 浩志

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はじめに
本書の構成

Step 1 Excelに慣れよう 基本操作編
 1 基本的メニュー
 2 アクティブセルの選び方
 3 データの種類
 4 日付と時間の表現
 5 セル間の計算
 6 操作の取り消し方法
 7 データのコピー,ペースト,カット
 8 セルの挿入,消去,削除
 9 挿入,削除を簡単にするには
 10 おかしなセル表示になったとき
 11 関数と式の入力のポイント
 12 セル範囲の指定
 13 数式と関数の利用
 14 マウスによるセル参照の指定
 15 データ入力の修正方法
 16 ブックとワークシート
 17 セル参照の種類

Step 2 データを準備しよう 情報処理編
 1 練習用患者台帳を作る
 2 診療科コードより科名を求める
 3 日付から在院日数と曜日を求める
 4 各種の統計量を求める
 5 データの個数を数える
 6 データのフィルターと並べ替え
 7 データを修正する
 8 データを変換する
 9 データに入力規則をあてはめる
 10 データの形を変える
 11 おかしなデータをチェックする

Step 3 表とグラフを作ろう 分析結果の表現編
 1 グラフの種類
 2 自力で表とグラフを作る
 3 グラフのデザインを調整する
 4 WordやPowerPointへの貼り付け

Step 4 ピボットテーブルを使ってみよう 集計とグラフ応用編
 1 データの集計方法
 2 ピボットテーブルで集計する
 3 連続変数を集計する
 4 棒グラフを作る
 5 折れ線グラフを作る
 6 散布図を作る
 7 複合グラフを作る
 8 箱ひげ図を作る
 9 生存時間分析のグラフを作る
 10 オッズ比のグラフを作る

Step 5 検定してみよう 検定の基礎編
 1 検定とは
 2 対応のないt検定
 3 対応のあるt検定
 4 分散分析
 5 カイ2乗(χ2)検定

Column
 高木兼寛と統計学
 特殊記号の読み方
 統計解析に必要なデータ数はどのくらい?
 Excelで作れるグラフの種類と特徴
 統計ソフトを過信するべからず
 検定手法の選び方

データ入力が楽になる裏ワザ
スライド原稿を作る便利ワザ
Excel 2010とExcel 2013の違い早ワカリ

おわりに
索引

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書評 (雑誌『理学療法ジャーナル』より)
書評者: 濱岸 利夫 (中部学院大学リハビリテーション学部理学療法学科)
 パソコン初心者にとってやさしい本がようやく出版された.著者の田久浩志氏は病院管理学(医療管理学),医療情報学などがご専門である.本書のような入門書が今までになかったこと自体が不思議であり,キーボード操作に始まる超・基礎から医療データまでをわかりやすく解説してある.また基礎だけにとどまらず,大量の医療データを分析することに適しているエクセルのピボットテーブル機能をも紹介してあることは注目すべき点である.私も本書をみた瞬間に「今から11年前にこの本があったら,もっと楽に卒業論文を書けただろう……」と大声で叫びたい衝動に駆られた.

 今から13年前,私は40歳を超えていたが,大学3年時に一般学生として編入学した.その後,大学4年生で卒業研究に取り組んでいたとき,パソコン操作に苦労した記憶がいまだに鮮明に残っている.私はそれまでにパソコン操作を経験したことは一応あったが,エクセルを使って数値を入力し,データを分析,そしてグラフを作成したことは皆無であった.

 ところが,当時の医療統計学の解説書と言えば,開くと必ずどこかに難しい公式や用語などが記述されており,それですぐに嫌気がさしてしまう内容がほとんどであったと記憶している.またエクセルのシートに入力したデータからグラフを作成する際にも,思うようにグラフを作成することができず,何度も作り直す作業を深夜まで取り組んでいた.特に棒グラフに標準偏差を付ける作業には苦労した.当時は,現在ほどはパソコンが普及していなかった時代背景もあるかもしれない.一般的なパソコン入門書あるいは専門書などを何冊も購入して,ようやく1冊にわずかな記述がしてあったくらいだ.

 一方,本書には医療の現場ではよく使用されている平均値と標準偏差はもちろん,各種の統計量の求め方についても詳細に記述されている.初心者にとっては間違いなく手とり足とりの内容になっている.

 さらに,エクセルやワードからパワーポイントの原稿を作っていく「スライド原稿を作る便利ワザ」も必見である.読者の皆さんが,時間のないときに「データ入力が楽になる裏ワザ」を眺めるだけでも非常に役立つはずである.

 日々の臨床業務に明け暮れる医療者が楽しみながら,対峙している業務内容をまとめ,発表するまでにできる限り時間の節約を念頭に置いて仕上げていくことを考慮した内容となっている.医療者の方々には,本書をぜひとも座右の書としてお手元に置いておかれることをお勧めしたい.

(『理学療法ジャーナル』2014年3月号掲載)
著者が実際に使って得たノウハウの塊! (雑誌『看護教育』より)
書評者: 篠崎 惠美子 (聖隷クリストファー大学看護学部准教授)
 現代の医療はエビデンス(科学的根拠)に基づいて行われることが求められている。あらゆる場面において情報があふれている状況で,経験と勘だけで医療を進めるということはあり得ないが,その情報のなかから,不確かな情報や誤った印象に惑わされず,正しいものを取捨選択するための情報リテラシーを身につけることが必要になってくる。そのためにはデータ分析が欠かせないが,“数字が苦手”と嘆く医療者が多いのも現状である。本書はそんな医療者のために書かれたといってもいいだろう。

 まずステップ1では,Excelの基本的操作と裏ワザを詳細に説明している。パソコン操作に慣れていない人にとってはとてもありがたい内容であるが,慣れ親しんだ人にとってもその裏ワザは必見である。

 ステップ2では,情報処理の方法を実際の医療に関するデータを用いて学習することができる。ここではデータ分析のために必要となる準備方法について,練習することが可能となっている。ステップ3では,「語りかけるデータ」の示し方について説明している。著者は『分析結果の表現編』とネーミングしているが,効果的に内容を伝えるための表とグラフの作成方法が解説されている。

 ステップ4では,大量のデータを扱うときに役立つピポットテーブルの使い方を,練習用のデータを活用してマスターする方法が詳細に説明されている。ステップ2と同様に医療現場を想定したサンプルデータを用いて進めるデータ整理からグラフ作成までのポイントを,初学者であっても練習しながら理解していくことができる工夫がされている。そしてステップ5では,Excel関数や分析ツールを使ってできる検定の基礎について解説している。特別な統計ソフトを使わなくてもExcelで「楽に解析できる」ことを実感できる。

 本書は「数字が苦手」「Excelはあまり自信がない」と感じている医療者や医療系学生にこそ必ず役立つ1冊である。何よりも練習用のデータをWebサイトよりダウンロードし,練習することができるという点で,従来の書籍と違う嬉しさがある。いわゆる入門編と名のつく書籍では,一読してわかった気になるが,実際にトライするとできないということをしばしば経験する。本書では,わかりやすい説明のあとに,実際にサンプルデータを活用して,データ入力から分析,グラフ作成まで,読者がたどる道筋を詳細に説明しているため,「わかった気になる」のではなく,「実際にできるようになる」のである。

 「実際に使って得たノウハウの塊です!」と著者は確言しているが,その言葉に偽りはなく,本書はまさしくExcelのノウハウの塊である。教員,学生問わず使える書である。

(『看護教育』2014年2月号掲載)

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