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産婦人科外来処方マニュアル 第4版

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産科・婦人科外来で診療される主要疾患60の治療薬処方と、薬物投与上の注意点、処方のポイントを、豊富な処方例・薬剤の解説とともにコンパクトに提示。定評の産婦人科医必携のハンディなマニュアルを、最新の薬剤情報をベースに大改訂。診療のあらゆる現場のニーズに応える、信頼に足るbest tool。
編集 青野 敏博 / 苛原 稔
発行 2013年03月判型:B6変頁:232
ISBN 978-4-260-01749-7
定価 3,520円 (本体3,200円+税)
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第4版 序

 本書の初版が上梓されて今年で13年が経過します.その間に,政権交代があったり,大きな自然災害が起こったり,IT革命が進んだりと,社会的にも大きな変化がありました.もちろん医療の現場においても,初期研修必修化による研修体制の様変わりや,産婦人科医療の人的逼迫化など,想像以上の荒波が押し寄せています.また,今後は専門医制度の変革で専門医となるハードルが高くなる兆しがあります.
 本書の背景を考えてみますと,2007年に第3版を刊行した後,日本産科婦人科学会からミニマムリクエストとして,産科ガイドライン,婦人科ガイドライン,HRTガイドラインなどの日常診療でのコンセンサスとなる指針が示されるようになり,EBMを重視した診療を行うようになりました.また,子宮頸癌に対するHPVワクチンが導入されるなど,予防医学的な考え方も導入され,産婦人科医療にも大きな進歩と変化が起こっています.
 そこで今回,このような状況を十分配慮しながら,6年ぶりに本書を改訂し,第4版を編集いたしました.編集方法は従来通り,執筆者全員で1項目ずつ,すべての項目の内容を精査し,疑問点を議論し,文章を練るという手法を踏襲しました.「最新の産婦人科の知識をわかりやすく解説し,臨床現場で使いやすい処方マニュアル」を原則に,時代に合わない項目やわかりにくい項目は積極的に除外・改変し,最近の動向に合わせて新規項目を導入し,かつ同一項目でも多数の項目でその内容を一新しました.また,使用する薬剤も最新の薬剤に入れ替えています.そのため,結果として合計5項目増えて若干部厚くなりましたが,より有用な外来処方マニュアルになったと思います.
 本書は,日常的な外来診療で遭遇する疾患の基本的な留意事項と処方例のマニュアルですが,医療現場の意見を大幅に取り入れて,日常診療に従事する場合の処方の指針,また,忘れやすい知識の確認のため,さらに研修医や専攻医には新しい知識の吸収のために,産婦人科の代表的な診療指針として本書を活用していただければ幸いです.
 最後になりましたが,今回の改訂においては取りまとめを担当してくれた教室の西村正人講師の多大な貢献と,医学書院スタッフのご尽力に厚く感謝申し上げます.

 平成25年3月
 苛原 稔

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1.周産期
 1 つわり・妊娠悪阻
 2 切迫流産
 3 切迫早産
 4 GBS感染症
 5 子宮復古不全
 6 産褥乳汁分泌の調整
 7 産褥乳腺炎・乳頭亀裂
 8 乳児の皮膚疾患
 9 高血圧(妊娠中)
 10 貧血(妊娠中)
 11 かぜ症候群(妊娠中)
 12 インフルエンザ(妊娠中)
 13 アレルギー性鼻炎(妊娠中)
 14 気管支喘息(妊娠中)
 15 頭痛(妊娠中)
 16 腰痛(妊娠中)
 17 胃炎(妊娠中)
 18 便秘(妊娠中)
 19 下痢(妊娠中)
 20 痔核(妊娠中)
 21 皮膚のかゆみ(妊娠中)
 22 妊婦および授乳婦におけるビタミン摂取基準
 23 妊婦が注意すべき魚介類の種類とその摂食量の目安
 24 授乳中の薬剤投与
 25 乳児とVPD(vaccine-preventable diseases)
2.内分泌
 26 無月経
 27 頻発月経,希発月経,無排卵周期症
 28 機能性子宮出血
 29 月経移動
 30 経口避妊薬
 31 緊急避妊法
 32 過多月経
 33 月経困難症
 34 月経前症候群
 35 子宮内膜症
 36 多毛症
 37 更年期障害(ホルモン補充療法)
 38 更年期障害(その他の治療)
 39 骨粗鬆症
 40 脂質異常症
 41 萎縮性腟炎
3.不妊
 42 無排卵症
 43 黄体機能不全
 44 高プロラクチン血症
 45 多嚢胞性卵巣症候群の排卵誘発
 46 男性不妊
4.感染症
 47 カンジダ腟炎・外陰炎
 48 トリコモナス
 49 クラミジア
 50 尖圭コンジローマ
 51 性器ヘルペス
 52 梅毒
 53 淋疾(淋病)
 54 付属器炎
 55 膀胱炎
 56 細菌性腟症
 57 毛ジラミ症
5.腫瘍
 58 子宮筋腫
 59 HPVワクチン
 60 子宮頸癌の維持化学療法
 61 子宮内膜増殖症(子宮体癌)
 62 子宮内膜癌の維持化学療法
 63 術後排尿障害
 64 化学療法に伴う神経障害
 65 癌性疼痛
6.その他
 66 尿失禁・過活動膀胱
 67 接触皮膚炎
 68 外陰そう痒症
 69 術創の肥厚性瘢痕の予防
 70 不眠症
付録
 71 性ホルモン薬の一覧表
 72 副腎皮質ホルモン薬の一覧表
 73 抗生物質の一覧表
 74 主な剤形番号一覧表
 75 産婦人科外来診療で使用する主な薬剤の警告集

索引

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「女性のヘルスケア」のための産婦人科処方集が登場!
書評者: 小西 郁生 (京都大学大学院教授・婦人科学産科学)
 産婦人科医が白衣のポケットに入れていつも携帯できるよう工夫された『産婦人科外来処方マニュアル』の改訂第4版が出版された。徳島大学医学部産科婦人科学教室の青野敏博名誉教授と同苛原稔教授の編集によるもので,同大学の産婦人科医局の先生方が中心となって精魂込めて執筆されたものである。

 わが国が現在直面する最も大きな問題の一つは「少子化問題」であり,政府もその対策に本腰を入れようとしている。少子化の大きな要因は女性の晩婚・晩産化であり,今,必要なことは若い20~30歳代女性のヘルスケアである。ストレスによる無月経や月経前症候群,月経困難症を我慢しているうちに子宮内膜症が進行することなどが,不妊のリスクを高めている。したがって,女性は月経開始の時点から産婦人科「かかりつけ医」が必要である。この書では,そういった若い女性の訴えに対する対処法が実に丁寧に書かれている。

 また,産婦人科診療のありとあらゆる場面を想定し,実に細やかに記載されていて,通読しても非常に楽しく読むことができる。中には「あっ,こういう処方もあるのか!」とあらためて学べる箇所も出てくるのである。全体として,エビデンス,サイエンス,そして豊富な経験に基づいていることがわかる。漢方の処方例も詳細に記載してくれている。また使用法の記載においても,毛ジラミ症の項では「シャンプー後5分間放置した後に洗い流す」など非常に具体的に書かれてある。また,巻末には内服薬や座薬の写真まで載せてくれている。

 徳島大学医学部産科婦人科学教室は本年で創立70周年を迎えられたが,一貫して,生殖内分泌学研究を世界的にリードしてきた伝統があり,その学問的な業績には素晴らしいものがある。しかし,それだけでなく,常に実際の臨床への還元という面でも大きく寄与してこられた実績があり,「科学的であり,かつ実践的である」という伝統を培ってこられた。

 本書は,こうした徳島大学産婦人科の歴史と伝統がそのまま凝集された見事な一冊である!――そのように感じているのは私だけではないと思う。この産婦人科外来診療に必携の書が,全国の多くの産婦人科医のポケットに入れられている様子が目に浮かんでくるのである。
最も適切な薬剤が選択できる研修医必携の書
書評者: 水沼 英樹 (弘前大学医学部教授・産科婦人科学教室)
 『産婦人科外来処方マニュアル 第4版』が発刊された。産婦人科の泰斗である青野敏博徳島大学名誉教授と,その青野先生の薫陶を受け,また評者の友人として親しくお付き合いいただいている徳島大学医学部産科婦人科の苛原稔教授が編者となって,徳島大学産科婦人科の現教室員やOBが総力を挙げて編集している処方マニュアルの改訂版である。

 本書は,産婦人科の外来診療の中で日常的に遭遇する疾患に焦点を当て,その診断がついた段階で,どのように薬剤の選択を行うかを極めて明快かつ簡潔にまとめた一冊である。目前の患者に対し,最も適切な薬剤が容易に選択できるよう,そのための工夫が随所に施された内容となっている。

 まず,産婦人科外来で遭遇する疾患の診断名と使用頻度の高い薬物療法の計70項目を選出し,これらを1.周産期,2.内分泌,3.不妊,4.感染症,5.腫瘍,6.その他,の6群に分類し,1から70の通し番号をつけている。このため,本書の利用者は,疾患群から目的とする病名に容易に到達でき,さらに,その通し番号を指標とすることによって,いとも簡単に目的とする疾患の治療薬に到達できる。この通し番号の存在によって,従来の書籍にしばしばありがちであった,ページをめくり返すという煩わしさから完全に解放されることになった。

 また,本書は,ミニマムリクワイアメントに徹しており,その疾患の概略,疾患の治療目的,方針は極めて的確かつ簡潔にまとめられ,すぐに具体的な処方例が提示される。しかも,各処方例の冒頭には,「〇〇の場合」と,その処方を選択する場合の要件が付けられているので,本書の利用者は,迷うことなく目前の患者に対して最も適切な薬物の選択が可能となる。続いて,なぜその処方を行うかの医学的根拠と薬剤の副作用を含めた必要最低限の説明が「処方の解説」「薬剤の解説」として付けられているので,その薬剤の選択に関してのインフォームドコンセント取得にも十分役立つような配慮がなされている。さらに,付録としてステロイドホルモン,抗生物質の一覧表や主な剤形番号一覧表,そして産婦人科外来で使用する主な薬剤の警告集が掲載されているのも便利である。

 産科婦人科学は周産期医学,生殖医学,腫瘍学,女性医学の4つの専門分野を領するが,本書はどの分野をも網羅しているので,専門領域に関係なく外来診療に携るすべての産婦人科医にとって利便性が高くかつ教育的なマニュアルとなっている。さらに,ポケットに納まるサイズであるため,忙しく院内を駆け回る研修医にとっては必携の書として推薦できる一冊である。

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