マタニティ診断ガイドブック　第4版

第4版の序

　本書の初版の発行は，2004（平成16）年であり，開発に要した7年を加えると17年の月日を経ていることになります．この間の看護診断の普及は目覚ましく，電子カルテにも組み込まれて臨床現場で広く活用されています．しかしながら，その多くは実在型の看護診断であり，ウエルネス型やヘルスプロモーション型の看護診断が主である助産や母性看護領域では活用しにくく苦慮している状況は続いています．
　最近になって，本書を活用して産科棟用の電子カルテを作成しようとする声が聞かれるようになりました．今回の改訂にあたっては，そうしたことにも配慮しながら，日本看護診断学会や日本看護学会等の交流集会でいただいたご意見や研究会のメンバー自身の体験に基づいてかなり綿密に検討しました．特に，各期毎の診断名や診断指標の表現の統一や内容の調整には数多くの議論や意見交換を行い，資料の確認にもたくさんの時間を費やしました．
　2012（平成24）年7月，『NANDA-I看護診断　定義と分類 2012-2014』が発行されました．かなり大きく改訂されているものの，助産や母性看護領域への活用は相変わらず難しい状況です．この領域における診断は，明治時代（1868～1912年）からの助産師の教育と活動が基盤となっている日本のほうがはるかに明確であり，実績もあります．助産や母性看護領域では，活用しにくい翻訳に合わせるよりも，日本文化に根ざした日本語による伝統のある診断名のほうが使いやすいと自負しながら改訂にあたってきました．
　今後とも本書の教育および臨床現場でのご利用とともに，忌憚のないご意見・ご感想をお寄せくだされば幸いと存じます．
　なお，本書第3版の序でもお知らせしましたように，本書を基にした診断名がNANDAインターナショナルで採用されましたが，今後も引き続き提案するつもりでおります．ご支援のほどよろしくお願い申し上げます．

　2013年1月吉日
　日本助産診断・実践研究会
　代表　青木康子

妊娠期のマタニティ診断
●妊娠期の経過診断（GP）　5類型と26の診断名
　1．妊娠の確定
　2．妊娠時期・分娩予定日
　3．母体の状態
　4．胎児の状態
　5．胎児付属物の状態
●妊娠期の健康生活診断（GH）　4類型と42の診断名
　1．基本的生活行動
　2．精神・心理的生活行動
　3．社会的生活行動
　4．出産育児行動

分娩期のマタニティ診断
●分娩期の経過診断（LP）　6類型と36の診断名
　1．分娩開始
　2．分娩時期
　3．母体の状態
　4．胎児の状態
　5．胎児付属物の状態
　6．分娩予測
●分娩期の健康生活診断（LH）　4類型と26の診断名
　1．基本的生活行動
　2．精神・心理的生活行動
　3．社会的生活行動
　4．出産育児行動

産褥期のマタニティ診断
●産褥期の経過診断（PP）　2類型と10の診断名
　1．産褥日数
　2．母体の状態
●産褥期の健康生活診断（PH）　4類型と44の診断名
　1．基本的生活行動
　2．精神・心理的生活行動
　3．社会的生活行動
　4．出産育児行動

新生児期のマタニティ診断
●新生児期の経過診断（NP）　3類型と16の診断名
　1．日齢
　2．出生直後の状態
　3．新生児の状態
●新生児期の健康生活診断（NH）　2類型と12の診断名
　1．養護
　2．環境

本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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