日野原重明ダイアローグ

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「週刊医学界新聞」に掲載された日野原重明氏の講演・インタビュー・対談・座談会などから11本を厳選し書籍化。医学教育、プライマリ・ケア、POS、緩和医療など、医学界の発展は日野原氏の革新の精神とともにあった。
日野原 重明
発行 2012年10月判型:A5頁:264
ISBN 978-4-260-01706-0
定価 2,420円 (本体2,200円+税)

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 (株)医学書院は1955年より「医学界新聞」を発行し続け,2012年10月29日号で通巻3000号となります。当初は旬刊でしたが,創刊2年後の1957年には週刊となり,日本の医学の最新動向や,来日した欧米の医学研究者や臨床家を招いての,各分野のホットな話題について論じあう対談なども多く掲載されました。かつては医師が主な読者対象でしたが,やがて看護師・看護教員を対象にした対談や論説なども掲載されるようになり,そのほか,リハビリテーションや栄養,あるいは「死の臨床」などという多領域に及ぶテーマを取り上げるようになってきました。
 私は戦後間もなくから今日まで,60年以上も医学書院の執筆者の一人として関わってきました。「医学界新聞」とも,創刊の1955年より,非常に深い関わりをもって今日に至っています。このたび,3000号の発行を機に,これまでに掲載された講演・インタビュー・対談・座談会などの中から11本を厳選して一冊の書籍にまとめることになりました。
 各界の専門家との対話を通して,医学教育や研修制度,プライマリ・ケア,ホスピス,診療録,臨床疫学の在り方などを提言したこれら記事を通読してみますと,日本の医療の革新に向けた,私のこれまでの活動の軌跡が明瞭になる次第です。

 2012年10月
 日野原重明

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この先生に会いたい!! 日野原重明先生に聞く
 研修医に是非読んでもらいたい本
科学・哲学・医学
 (武見太郎)
Oslerianの医学界への提言 今改めて問う 内科学とは,内科医とは
 (柴田 進・阿部正和)
英国の医療とプライマリ・ケア
 (J. Fry・小林 登・紀伊國献三)
80年代医療のアイデンティティを探る
 (川上 武)
全人的医療とホスピス
 (R. G. Twycross・B. M. Mount・植村研一)
命の選択 延命医学と有終医療
POSの発展をめざして
 (L. L. Weed・紀伊國献三・森 忠三・片田範子)
誰がために記録はある 書きすぎない,チームで共有できる記録をめざして
 (児玉安司・阿部俊子)
EBMの意義と役割 EBMの実践に向けて
 (福井次矢)
日本の医学・看護の再構築を語る 戦後50年が育んだ礎石
 (川島みどり)
 看護学講座 解剖・生理學 序

索引

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医学・医療の先駆者の証し
書評者: 高久 史麿 (日本医学会長/前・自治医大学長)
 本書は日野原重明先生の講演録,インタビュー,座談会などを中心にまとめたもので,話の内容は,W・オスラー博士の数々の言葉の紹介,医学教育,研修制度,プライマリ・ケア,ホスピス,診療録,臨床疫学の在り方,EBM,看護教育など極めて広範囲にわたっている。

 日野原先生はさまざまなシステムを日本に導入された医学・医療の先駆者として,日本で最も尊敬されている医師である。本書を通読して痛感したのは,私たちが常日ごろ感じている医学教育や医療の在り方に関するさまざまな問題点を,1973年の座談会「英国の医療とプライマリ・ケア」(J. Fry氏,紀伊國献三氏,小林登氏)に始まり,2005年の座談会「誰がために記録はある」(児玉安司氏,阿部俊子氏)に至るまで,一貫して日野原先生が指摘されておられることである。「医療はscienceをベースにしたartである」ということをたびたび強調されていることも印象深い。

 最近になってわが国では,幅広い診療能力を持った総合医(総合診療医),さらに総合医としての能力をベースに持った専門医の存在の重要性が広く認識されるようになっているが,このことも日野原先生は本書の中で繰り返して強調しておられる。病歴の聴取や身体所見の的確な把握の技術を身につけることの重要性を指摘し,検査中心の医療の現況を繰り返し批判している。私はこのような日野原先生の考えに全面的に賛成である。

 本書は対話形式のものが大部分を占めているため,非常に読みやすかった。また,私がかねてから敬愛する先生方が数多く登場されておられることもあって,楽しくかつ懐かしい思いで読了することができた。最初の章が「この先生に会いたい!! 日野原重明先生に聞く」という講演録であり,「研修医に是非読んでもらいたい本」という関連記事も付いているが,本書はその言葉通りの内容である。ぜひ一人でも多くの若い医師に読んでいただくよう,強く推薦する次第である。

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