標準生理学 第8版

もっと見る

本書は、膨大な生理学の知識を基本概念から最新の知見まで、詳細かつわかりやすくまとめた国内最高峰のテキスト。生理学を系統的・論理的に理解することができる。第8版では、本文中の重要語句を太字で示し、章の構成マップも充実させ、より使いやすさを追求した。巻末付録「生理学で考える臨床問題」では、臨床に役立つ生理学的思考方法を培うことができる。

『標準医学シリーズ 医学書院eテキスト版』は「基礎セット」「臨床セット」「基礎+臨床セット」のいずれかをお選びいただくセット商品です。
各セットは、該当する領域のタイトルをセットにしたもので、すべての標準シリーズがセットになっているわけではございません。
シリーズ 標準医学
監修 小澤 瀞司 / 福田 康一郎
編集 本間 研一 / 大森 治紀 / 大橋 俊夫 / 河合 康明 / 黒澤 美枝子 / 鯉淵 典之 / 伊佐 正
発行 2014年03月判型:B5頁:1178
ISBN 978-4-260-01781-7
定価 13,200円 (本体12,000円+税)
  • 販売終了

お近くの取り扱い書店を探す

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。

  • 序文
  • 目次
  • 書評
  • 正誤表

開く

第8版 序

 生理学は,生体の機能とそのメカニズムを明らかにすることを目標とする,生命科学の基幹となる学問である.特に,医学に携わる者にとっては,多種多様な病気の本態を生体機能の乱れとして正しく理解するために,生理学の基礎を確実に修得し,さらに日進月歩の生体機能に関する研究成果を学び続けることが不可欠である.この生理学の全体像を,最新の知見を含めて的確に伝えることのできる教科書づくりを目指して1985年に本書の初版を上梓したが,その後順調に版を重ねて,このたび第8版を刊行する運びとなった.
 本書は,医学生を主な対象とする生理学の教科書としてはかなりの大冊であり,最新の研究成果に基づく知識を網羅しているので,一見して難解な印象を与える.しかし,初版以来,歴代の編集者が,生理学は「理解する学問」であるという原点に立って,複雑な生体機能とその発現メカニズムについて,基礎から最新の知見までを「なぜそうなるのか」という筋道を追って説くことを編集の基本方針として貫いてきたことにより,読者諸氏からは「ていねいに読み進んでいけばかえって理解しやすい本」との評価をいただき,日本語で書かれた最も標準的な生理学の教科書としての地位を築いてきた.
 第8版の編集に当たっても上記の基本方針に変更はないが,読者の要望に応えて,本書をさらに使いやすくするために次のような工夫を行った.
 (1) 全体の構成を見直し,これまで「章」としていた括りを「編」として,全体を16編に分割して,各編の下に「章」をおき,「章」の番号を本書全体で通し番号とし,全体を80章で構成することとした.
 (2) 本文中の重要語句および下線部分を太字ゴシックとして明示し,章末の「学習のチェックポイント」は割愛することとした.
 (3) 第6版から添付した別冊付録「生理学で考える臨床問題」は,利便性を考慮し,別冊とせず本体の巻末に収載することとした.
 (4) 第7版から導入した各編の最初の構成マップは,その編の概要を把握できるようにするための試みとして好評であったことから,第8版でも継続することとした.
 この第8版では,小澤瀞司,福田康一郎が監修を務め,編集として,河合康明,黒澤美枝子,鯉淵典之,伊佐 正の4名が新たに加わり,第7版で編集を務めた本間研一,大森治紀,大橋俊夫とともに7名で編集に当たることにした.執筆者については,これまで健筆をふるっていただいた22名の先生方に代わって35名の方々に新たにご参加いただいた.今回は,この間の医学・生理学分野の学問の急速な発展の成果を教科書の内容に十分反映させることを重視した結果として,執筆者68名のうち半数以上が新執筆者となった.また,新たな執筆者として,生理学以外の解剖学,薬理学,内科学,外科学などを専門とする多数の第一線の教育・研究者にご参加いただいたことにより,わが国の医学界の叡智を結集した生理学の教科書としての本書の特色が一段と強まることになった.
 これまで版を改めるたびに,生理学の基本的事項と最新の知見を,高度な内容を保ちつつ,さらにわかりやすく解説するために種々の工夫を重ねてきたが,今後ともその努力を継続していきたい.第8版に対しても各方面からの忌憚のないご意見,ご批判をお願いする次第である.終わりに当たり,本書の刊行に力を尽くされた医学書院の編集部,制作部の皆様に心から御礼を申し上げる.

 2014年2月 梅香る日に
 編集者一同

開く

 序章
第1編 生体の一般生理
 第1章 細胞の微細構造と機能
 第2章 細胞・生体とその環境
 第3章 水分子の特性と浸透圧
第2編 神経と筋
 第4章 膜興奮性とイオンチャネル
 第5章 筋肉とその収縮
 第6章 興奮の伝達
第3編 神経系の形態と機能/概説
 第7章 神経細胞学/総論
 第8章 神経回路機能/総論
第4編 感覚機能
 第9章 感覚機能総論
 第10章 体性感覚
 第11章 聴覚
 第12章 平衡感覚
 第13章 視覚
 第14章 味覚と嗅覚
第5編 運動機能
 第15章 筋と運動ニューロン
 第16章 脊髄
 第17章 脳幹
 第18章 大脳皮質運動野と大脳基底核
 第19章 小脳
 第20章 発声と構音
第6編 自律機能と本能行動
 第21章 自律神経系
 第22章 本能的欲求に基づく動機づけ行動
第7編 高次神経機能
 第23章 大脳皮質の機能局在
 第24章 統合機能
第8編 体液
 第25章 ヒトにおける体液の調節-統合機能の重要性
 第26章 酸塩基平衡の基本概念
第9編 血液
 第27章 血液の組成と性状
 第28章 血液細胞の産生
 第29章 赤血球
 第30章 鉄の代謝
 第31章 白血球
 第32章 免疫反応と炎症
 第33章 血小板と凝固機能
 第34章 血液型
第10編 循環
 第35章 循環系の基本的性質
 第36章 血液循環
 第37章 心臓の働き
 第38章 循環系の調節
 第39章 局所循環
第11編 呼吸
 第40章 呼吸生理学の基礎
 第41章 肺の換気
 第42章 肺循環とガス交換
 第43章 血液ガスの運搬
 第44章 呼吸の調節
 第45章 呼吸の適応と病態
第12編 腎臓
 第46章 腎臓生理学の基礎
 第47章 糸球体濾過と腎循環
 第48章 有機物質の尿細管再吸収と分泌
 第49章 尿細管のNa+,Cl-輸送
 第50章 K+輸送
 第51章 Ca2+,Mg2+,リン酸の輸送
 第52章 尿濃縮と希釈
 第53章 腎における体液量調節
 第54章 腎における酸塩基輸送と調節
第13編 消化と吸収
 第55章 消化と吸収の一般原理
 第56章 食物の摂取と輸送
 第57章 胃
 第58章 肝・胆および膵外分泌系
 第59章 小腸
 第60章 大腸の機能と排便
 第61章 栄養素などの消化と吸収
第14編 環境と生体
 第62章 エネルギー代謝
 第63章 体温とその調節
 第64章 概日リズム
 第65章 運動と体力
 第66章 環境因子と発達,成長,加齢
第15編 内分泌
 第67章 内分泌総論
 第68章 視床下部ホルモン
 第69章 下垂体ホルモン
 第70章 ACTH,副腎皮質ホルモン
 第71章 副腎髄質ホルモン
 第72章 ゴナドトロピンと性腺ホルモン
 第73章 甲状腺刺激ホルモンと甲状腺ホルモン
 第74章 カルシウム代謝の内分泌制御
 第75章 消化管ホルモン
 第76章 膵島ホルモン
第16編 生殖
 第77章 生殖腺の性分化・発達
 第78章 男性の生殖機能
 第79章 女性の生殖機
 第80章 妊娠と分娩
付録
 1 生理学で考える臨床問題
 2 医師国家試験出題基準対照表
 3 医学教育モデル・コア・カリキュラム対照表

和文索引
欧文索引

開く

基礎医学を学ぶ基盤として全ての医学生に通読をお薦めしたい教科書
書評者: 永井 良三 (自治医大学長)
 今日,生理学は基礎医学の一科目とされているが,臨床医学を含め,すべての生命科学の基盤は生理学である。しかしながら,これは比較的近年のことであり,19世紀中期に始まる。当時,若い生理学者や医学者が,「物理学や化学に基づく生理学」,さらに「生理学に基づく臨床医学」の必要性を唱えた。これにより生理学は,物質に還元しつつ生体システムの解明をめざすようになった。近代生理学の影響力は極めて大きく,社会学や自然主義文学の成立にも影響を与えた。生理学は,複雑なシステムの理解に威力を発揮するからである。その学習は医学の基本であり,王道でもある。

 しかしながら,最近は分子生物学の進歩が目覚ましく,生理学においても専門分化が進んだ。分子レベルの理解の重要性は紛れもない事実であるが,分子レベルだけでは生理学を理解できない。特に医学生には,分子機能についての最新の知見を基に,器官や個体の機能と制御機構について,全体像を把握することが何よりも必要である。

 本書は,医学生が生理学を学ぶ上で,出色の教科書である。1985年に初版が上梓され,長く全国の医学生に愛用されてきた。今回改訂された第8版においては,全体が16編に分割された。各編の下には合計80章が置かれ,1178ページの構成となった。また,巻末には医師国家試験や医学教育のコアカリキュラムと関連する項目が挙げられ,それらと関連するページが一覧表としてまとめられている。どの章の記載も簡潔明瞭であり,論理的に記載されているために読みやすい。鍵となる生理学的概念については多くの図が提示され,理解を容易にしている。また,各項目にはAdvanced Studiesの欄が設けられ,関連する最新の知見が紹介されている。より深い学習を望む学生には,英語と日本語の文献が参考となるはずである。執筆陣はわが国の生理学の第一人者たちである。また,解剖学,薬理学,内科学,外科学などの関連領域の教育・研究者も参加しており,文字通りわが国の精鋭による陣容である。

 最近は,最新の知識をインターネットなどから容易に入手することができるようになった。しかしながら,系統的に書かれた教科書を通読し,全体を俯瞰することは,いつの時代でも学習の基本である。本書はどこからでも読むことができ,図表と文字数のバランスも適切である。医学生の学習する科目は多く,各科目の情報量も膨大であるが,まず生理学によって全体像を理解するのが賢明である。そのための最適の教科書として,本書の通読を全ての医学生にお薦めする。
高度な内容をわかりやすく説明した教科書
書評者: 小島 至 (群馬大生体調節研究所教授・細胞調節学)
 生理学は,生体のさまざまな機能とそのメカニズムを明らかにする学問である。生体内で起こるさまざまな現象を理解する学問であり,いろいろな病態を理解する基盤となる。守備範囲は非常に広い。

 この膨大な内容を持つ生理学を,「ただ暗記するのではなく,考えながら読んで理解する」ことをめざした『標準生理学』が最初に出版されたのは,1985年のことである。ずっしりと重い,紺色の表紙の本を初めて手にした日のことを,今でもよく覚えている。重厚な内容であるにもかかわらず,読者の理解を助ける,いろいろな工夫にあふれていた。

 その後,分子細胞生物学の進歩により生理学も大きく発展し,『標準生理学』も改訂を重ね,その都度最先端の内容を取り入れながらバージョンアップしてきた。それは難しい内容が大幅に増えたことを意味するが,読みやすさとわかりやすさを一層充実させ,「考えながら読んで理解する」という当初のスタイルを貫いてきた。

 2014年3月,小澤瀞司先生と福田康一郎先生の監修による『標準生理学 第8版』が上梓された。表紙は明るい白で,本文はカラフルでわかりやすい図が多く,大変読みやすく,また見て楽しい内容である。全体は,16編80章から構成されている。各編の冒頭には,その編の内容をわかりやすく図示した構成マップがあり,わかりやすい図と3段階に色分けされた重要事項により,その編で何を学ぶべきかとその意義が明快に示されている。ちょっと難しいこと,一歩進んだ内容がAdvanced Studiesという形で書かれているので,より深い理解を希望する読者には楽しみに映るであろう。また巻末には「生理学で考える臨床問題」が収載されている。臨床の場で問題となるさまざまな病態を,生理学の立場からどう考えていくかが示されているのである。生理学を理解することが,臨床におけるさまざまな病態を考える上でいかに重要かが端的に示されており,本書の大きな特色となっている。

 高度な内容をわかりやすく説明した本書は,生理学を学ぶ学生だけでなく,臨床の場に出た医師にとっても貴重な内容を提供する優れた教科書といえる。
一層わかりやすくなった国内最高峰の生物学テキスト
書評者: 持田 澄子 (東医大教授・細胞生理学)
 『標準生理学』は,それまでに出版されたどの生理学の教科書よりも分厚く,そして,高度な内容の教科書として,1985年6月に初版が出版された。本書は,生理学を理解する上で鍵になる基本的な概念や生理学的なものの見方・考え方を説明した医学生の教科書であったが,基礎医学研究に携わる若手研究者にとってもバイブルのような存在であり,頻繁にページを繰ったものである。

 その後,改訂を重ね,「生理学のすべてを丁寧に解説する国内最高峰のテキスト」として,第8版が2014年3月に出版された。2009年に出版された第7版の編集に,さらに4名の日本を代表する生理学者が加わり,また,22名の先生方に代わって35名の先生方が新たに参加し,総勢68名の先生方の執筆を,小澤瀞司先生と福田康一郎先生が監修されている。第8版では,読者が本書をより使いやすくなるような工夫が随所に施され,生体の機能とそのメカニズムの詳細をとてもわかりやすく解説しており,感嘆に値する。

 今回の改訂では,これまで下線を引かれていた重要語句が太字ゴシックとして明示され,とても見やすくなった。また,第6版から別冊付録として添付されていた「生理学で考える臨床問題」が本体の巻末に収載されたので,本文を読み進みながら読者の理解力を診断できるようになった。さらに,第7版から導入されている「構成マップ」には,模式図が多く入れられ,重要事項が3段階に色分けして明示され,読者が概要を把握しやすく,また,覚えやすい工夫がなされている。これまで「章」としていた括りを「編」とし,各編の下に「章」が置かれ,章の番号が通し番号で80章にもなる大冊であるが,各編の最初に「本編を学ぶ意義」が1ページにまとめられており,読者に何を学ぶべきかを考えさせる希少な教科書である。

 第8版では,半数以上が新執筆者であるので,第7版までと比較して,多くの最新情報が新しい模式図を用いて鮮明に表示され,簡潔な文章で解説されており,驚かされる。筆者の研究分野である「第6章 興奮の伝達」では,シナプス伝達に関する最先端の知見がふんだんに盛り込まれ,神経生理学研究の進歩が反映されていてうれしく思う。また,「第7章 神経細胞学/総論」では,視床と大脳皮質の機能解剖学の解説が加えられ,「第16章 脊髄」では非常にわかりやすくきれいな図が使われている。「第23章 大脳皮質の機能局在」では,高次神経機能のしくみが端的に解説されている。などなど,列挙しきれないほどの改訂がされている。

 本書は,生理学を学ぶ学生だけでなく,大学院生や臨床医が生体機能について疑問を抱くときに,的確に答えを明示してくれる貴重な教科書である。

開く

本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

正誤表はこちら

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。