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これだけは知っておきたい糖尿病

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糖尿病の患者指導、患者ケアに必要な最低限の知識をぎゅっと凝縮。治療やケアの全体像をイメージでき、患者と共有できる知識が満載です。日々の看護ケアで思う疑問も、これを読めば納得。情報の整理や「学び直し」にも役立ちます。 医学書院ADBOX
シリーズ JJNスペシャル
編集 桝田 出
発行 2011年05月判型:AB頁:168
ISBN 978-4-260-01389-5
定価 2,420円 (本体2,200円+税)
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  • 序文
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本書を読まれるみなさまへ

 糖尿病診療は、この数年で大きく変貌しようとしています。2010年7月には11年ぶりに糖尿病診断基準の改定が行われ、血糖値とHbA1cを同日測定し、1回の検査でも糖尿病と診断できるようになりました。HbA1cの表記も国際標準化に向かっています。治療面では、インクレチン関連薬と呼ばれるDPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬が相次いで登場し、糖尿病治療を大きく変えるのではないかと期待されています。
 しかし、糖尿病は生活習慣とのかかわりが深く、患者の自己管理が治療の基本であるため、療養指導にあたる看護師やコメディカルスタッフの役割が重要であることに変わりはありません。
 本書は、糖尿病療養指導に携わろうとする新人看護師や復職された看護師に、基本的な知識から最新の知見、患者指導の実際を幅広く学んでいただくために企画しました。執筆者は、全国で看護教育に従事しておられる教員、糖尿病に造詣の深い専門医、臨床現場で療養指導を行っている専門の看護師にお願いしました。本書の趣旨を理解して、わかりやすくご執筆いただき、糖尿病療養指導士や最前線で勤務しておられる看護師にも、知識の整理や復習に活用できる内容となりました。また、患者指導の参考となるような事例も多く盛り込んでいただきました。コラムやNOTEは、患者とのコミュニケーションツールや知識の確認に役立てていただきたいと思います。
 今、わが国では糖尿病患者が増え続けています。糖尿病予備軍はそれを上回る勢いで増加しています。全国4,000名あまりの糖尿病専門医だけで、すべての糖尿病患者を診療するのは不可能で、糖尿病専門施設以外にも多くの方が受診しています。このような患者の指導にも、本書を活用いただければ、重篤な合併症の進行を防ぎ健康な状態を維持される一助になるのではと願っております。
 最後に、今回本書の刊行にご尽力をいただいた医学書院看護出版部の山内梢氏をはじめ、関係者に深謝申し上げます。

 2011年4月吉日
 桝田 出

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 本書を読まれるみなさまへ
 糖尿病の分野でよく使用される略語

I 糖尿病とは?
 1.糖尿病の分類とその原因
 2.糖尿病の症状と問診方法
 3.健常人と糖尿病患者の代謝の違い

 ●沖縄から学ぶ糖尿病発症予防
 ●初めて糖尿病患者に出会ったら

II 上手な血糖コントロールのための患者指導
 1.コントロールの指標と進め方-検査法
 2.血糖自己測定とその指導
 3.食事療法
 4.運動療法
 5.薬物療法
  ◆経口血糖降下薬
  ◆注射薬
 6.ライフステージ別日常生活の指導
  ◆小児の患者指導
  ◆単身者の患者指導
  ◆高齢者の患者指導
  ◆妊娠期の患者指導
 7.こころのケア

III 合併症とそのケア
 急性合併症と慢性合併症
 1.急性合併症
  ◆糖尿病昏睡と低血糖
  ◆感染症とシックデイ
 2.慢性合併症
  ◆眼合併症
  ◆腎症
  ◆神経障害
  ◆動脈硬化
  ◆足病変
  ◆皮膚疾患
  ◆歯周病
  ◆尿路系障害
  ◆消化器障害

 ●糖尿病診療システムの今

付録
 1.主な経口血糖降下薬
 2.主な注射薬
 3.主な血糖測定器

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凝縮された内容で事典としても使用できる一冊
書評者: 任 和子 (京大大学院教授・臨床看護学)
 超高齢化社会を迎えた今,生活習慣の変化と相まって2型糖尿病とその予備群は増加の一途をたどり,「糖尿病」は,医療従事者のみならず,一般にもよく知られた病気の一つとなっている。看護師や助産師は,急性期病院をはじめ,どのような機能の病院やクリニックでも,また,どの診療科に勤務しても,糖尿病を持つ患者のケアを行う必要に迫られる。企業や行政に勤める保健師もまた,糖尿病予備軍への健康教育や糖尿病重症化予防にかかわることが多くなっている。

 しかしこの病気に対する正しい知識が一般に,さらには医療の現場で普及しているかというと,大いに疑問である。1型糖尿病と2型糖尿病という成因による分類と,インスリン依存状態と非依存状態という病態の混同をはじめ,まだまだ誤解があるからだ。看護基礎教育においても,ほかの疾患に比べるとかなり詳しく学習し指導されているはずだが,いざ医療現場に立つと,自信が持てないのが実状のようだ。

 その原因としては,吸収された糖がどのように代謝され,糖代謝異常が起こるとどうなるのかといった身体における基本的なメカニズムなどを理解していないことが挙げられよう。また糖尿病が重症化すると合併症は全身に及び,学習すべき事項はさらに広範となる。

 この難解な疾患について,本書では「糖尿病とは?」「上手な血糖コントロールのための患者指導」「合併症とそのケア」の三部に分類し,患者を目の前にしたとき,おのおのの引き出しから知識が出てくるように,ポイントを絞って整理されている。また,難しい言葉や言い回しを避け,平易に丁寧に解説されており,そのまま,患者に説明できるフレーズがいくつもあるのも便利だ。本書の裏表紙に,「治療やケアの全体像を患者とともにイメージし,共有できる」と記載されている。「全体像を共有する」という本書のねらいは,十分成功していよう。

 本文145ページという限られたページ数に凝縮され,図や表を駆使してビジュアル豊かに見せてくれる内容は,事典としても十分機能する。さらに2010年に発表された新しい診断基準や,インクレチンの働き,DPP-4阻害薬やGLP-1受容体作動薬など新しい治療戦略について,かなりのページ数を使って解説されていることはありがたい。

 インスリン関連のインシデントやアクシデントは,糖尿病の専門病棟以外で発生しやすい。また,糖尿病を持ちながらほかの疾患の治療目的で入院した患者の糖尿病教育は優先順位が下がりがちである。そのような困難に直面している現場でも,ぜひ学習会のテキストとして使用したい一冊である。

 基礎的知識を広汎・広範に取り上げ,かつ,わかりやすくまとめてある本書は,手にとったそのときから,糖尿病患者のケアにあたる看護師・助産師・保健師の助けとなるに違いない。
糖尿病看護に携わり始めたナースに最適な一冊
書評者: 瀬戸 奈津子 (阪大大学院准教授・看護実践開発科学)
 生活習慣病に含まれる2型糖尿病は,国民病的課題である。糖尿病やその看護を全般的に取り上げた書籍もおのずと多数出版されている。その中で本書は,『これだけは知っておきたい糖尿病』というタイトルを裏切らない。糖尿病の病態生理から体内のメカニズム,薬の作用機序,そしてこころのケアにまで,満遍なく必要な知識が網羅されており,糖尿病看護に携わり始めたナースにとって,最適な内容になっている。また健常人と糖尿病患者の代謝の違い,そしてDPP4阻害薬やGLP-1受容体作動薬などの新薬についても丁寧に説明されており,診断・治療ともに進歩の目覚ましい糖尿病に焦点を当ててまとめられている。まさに若手のナースや復帰したてのナースが患者の療養指導にあたって知っておいてほしい情報をぎゅっと濃縮したという,キャッチフレーズの通りである。

 私たち読者にとって装丁やデザインも大切である。本書の表紙にはキュートなイラストが描かれており,つい手に取ってみたくなる。中身は終始落ち着いたトーンの色合いであり,ページを開いたら図表が多く用いられ,適切にコラムやNOTEが散りばめられ,とにかく読みやすい。そのコラムは,持続血糖モニター(CGM)や慢性腎臓病としての糖尿病腎症のステージ分類などトピックス的なものばかりで,いずれも興味深く,糖尿病ケアにかかわる姿勢や態度から最新の知識まで,さらに医療制度にまで幅広く言及されている。特に,「沖縄から学ぶ糖尿病発症予防」では,文字通り予防の観点から療養指導や生活習慣病指導のヒントが与えられ,糖尿病看護にかかわる私たちの課題を明確にしてくれる。

 「ライフステージ別日常生活の指導」では,事例が示されており,看護実践をリアルにイメージしやすい。「小児の患者指導」では,その特徴のみならず,学童期におけるサマーキャンプの活用や学校でのインスリン注射,学校給食と食事療法など,生活に即した要点がまとめられている。また「妊娠期の患者指導」においては,妊娠の準備から分娩後の生活指導に至るまで,周産期についてわかりやすく述べられている。

 さらに,「慢性合併症」では,皮膚疾患,歯周病,尿路系障害,消化器障害をも項目立てし,それぞれ詳しく書かれていて,他書と一線を画する。

 糖尿病を主科とする病棟の若手ナース,そして移動したばかりのナースはもとより,糖尿病を主科としない病棟のナースステーションの戸棚に据え置き,糖尿病について学びたいと思ったときにタイムリーな一冊である。

 糖尿病に関する情報をぎゅっと濃縮しながらも,わかりやすい本書なら,臨床ナースのみならず,初学者である学部学生への基礎教育にもぜひ活用したい。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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