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看護にいかすリーダーシップ 第2版
ティーチングとコーチング,場面対応の体験学習

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本書では、「リーダーシップとは何か」の基本から、「リーダーシップを発揮できるようにするために、どのようにティーチングとコーチングを使い分けていくのか」という応用までを解説。また、リーダーシップに必要なコミュニケーションスキルを体験しながら身につけられる、さまざまな演習を紹介している。リーダーシップを「わかる」だけでなく、「できる」を目指してまとめられた1冊。
諏訪 茂樹
発行 2011年02月判型:A5頁:184
ISBN 978-4-260-01209-6
定価 2,200円 (本体2,000円+税)
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第2版発行にあたって

 物事の基本的な考え方を,哲学の分野ではパラダイムといいます。20世紀のパラダイムは二者択一式であり,リーダーシップ論も優れたリーダーシップスタイルをめぐって,「これか,あれか」の議論をしてきました。21世紀のパラダイムは「これか,あれか」ではなく,「これとあれの使い分け」だといわれています。特定の型にはまった一貫性のあるリーダーシップではなく,しなやかで柔軟なリーダーシップが求められているのであり,そのような21世紀のパラダイムに則って,本書も執筆されました。
 また,20世紀には近代国家の軍隊で取り入れられた上意下達のピラミッド組織が製造業を中心にして広がり,さらに病院や大学や役所などにも広がった時代でした。そして,製造業からサービス業へと産業構造の中心が移行し始めた20世紀の終わりに,ピラミッド組織は随所で機能不全となり,21世紀に入ってからは,ピラミッド組織から逆さまのピラミッドへの組織改革が進んでおります。そうすると,従来のピラミッド組織で求められた古いリーダーシップだけではなく,逆さまのピラミッドで必要とされる新しいリーダーシップについても,特にこれからの看護界を担う若い世代は学習しておかなければならず,そのような時代のニーズに対応しようとして,本書は執筆されました。
 リーダーシップは看護技術と同様,わかるだけでは役に立ちません。これまでのリーダーシップ論をまとめて,レポートを完成させたとしても,職場でリーダーシップが発揮できなければ意味がないのです。すし詰めの会場で講義や講演を受講しても,わかることしかできません。自在にレイアウトできる広めの会場でさまざまな演習を体験し,振り返りの過程で気づき,今後に向けて自己決定する体験学習が,できるためには欠かせないのです。
 2002年5月に出版された本書初版は,2010年3月に第8刷となり,さらにこの度,第2版を発行することとなりました。「わかる」だけではなく,「できる」を目指すリーダーシップ学習に,これまでと同様,今後も本書がお役に立てば,筆者としては幸いです。

 2011年1月
 諏訪茂樹

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1 理論編 これまでのリーダーシップ論の流れ
 1 看護界におけるリーダー像の多様化
  1)リーダーシップへの拒否的反応
  2)リーダーシップとヘッドシップ
  3)リーダーシップとマネジメント
  4)暴君タイプのリーダー
  5)縁の下の力持ちタイプ
  6)機関車タイプ
 2 支配・統制するリーダーから育てるリーダーへ
  1)科学的管理主義
  2)X-Y理論
  3)ホーソン工場の実験
  4)レヴィンの作業実験
  5)個人のパーソナリティとリーダーシップ
 3 「これか,あれか」から「これも,あれも」へ
  1)マネジリアル・グリッド
  2)PM理論
  3)特性論の膨張
 4 柔軟なリーダーシップ・モデルの登場
  1)発達対応モデル
   シチュエーショナル・リーダーシップ・セオリー
   自立に至る階段モデル
   自立を目指す理由
   指示への不満と指示への満足
   依存のフォロワーへの指示(積極的ティーチング)
   半依存のフォロワーへの助言(消極的ティーチング)
   半自立のフォロワーへの支持(コーチング)
   自己決定を引き出すコミュニケーション技法
   自己決定の支持(コーチング)の限界
  2)場面対応モデル
   交流分析
   場面に応じたかかわり方
   危機対処でのCPとAC
   会議でのAとA
   通常でのNPとFC
   遊びでのFCとFC
  3)LPC理論
  4)コーチングに至る最新のリーダーシップ論

2 トレーニング編 リーダーシップの体験学習
 1 リーダーシップ研修の実際
  1)リーダーシップ学習の重要性
  2)意識と行動を変化させる体験学習
  3)振り返りと気づき
  4)研修の企画
  5)学習効果の測定
 2 発達対応モデルに基づくトレーニング
  発達対応モデルとは
  ・指示(積極的ティーチング)について学ぶ ブラインド・ウォーク
  ・助言(消極的ティーチング)について学ぶ アドバイザー・トレーニング
  ・支持(コーチング)に必要な熱意を学ぶ サイレント・トーク
  ・支持(コーチング)に必要な受容を学ぶ 価値交流学習
  ・支持(コーチング)に必要な技法を学ぶ〈その1〉
    うなずき・相づち・繰り返しトレーニング
  ・支持(コーチング)に必要な技法を学ぶ〈その2〉 要約トレーニング
  ・支持(コーチング)に必要な技法を学ぶ〈その3〉 共感トレーニング
  ・支持(コーチング)に必要な技法を学ぶ〈その4〉 質問トレーニング
  ・フォロワーとのやりとりを振り返る プロセス・レコードによるグループワーク
  ・フォロワーの満足度を知り,自分の接し方を改善する 
    リーダーシップのフィードバック
 3 場面対応モデルに基づくトレーニング
  場面対応モデルとは
  ・チームワークについて学ぶ 協力ゲーム
  ・会議時の関係を学ぶ 栄養学教室&地理学教室
  ・危機対処時の関係を学ぶ ブラインド・ワーク
  ・通常時の関係を学ぶ ブレーン・ストーミング
  ・フォロワーから見た自分を学ぶ 性格フィードバック

文献
索引

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リーダーシップを身につけるトレーニングに最適の書
書評者: 金井 Pak 雅子 (東京有明医療大教授・看護管理学)
 リーダーシップは,組織において永遠の課題である。看護において,看護師が最初にリーダーシップという言葉を耳にするのは,チームリーダー研修の時であろう。特に病院においては,それまでチームメンバーとして患者のケアを遂行する役割から,チームをまとめるという役割を担うことになる。そのようなとき,何を頼りにリーダーシップスキルを身につけるのか,看護師にとっては大きな課題である。

 本書は,そのような方々への救世主ともいえる具体例が豊富に紹介された本である。マネジメントに関する本は,とかく固い表現や難しい理論が紹介されることが多い。しかし,本書は,著者の研修担当者としての豊かな経験をもとに,大変読みやすい表現で書かれている。

 理論編では,よく使われる理論がわかりやすく解説され,さらにトレーニング編では,リーダーシップ研修の実際,そしてリーダーとしての役割における発達対応モデルに基づく具体的トレーニングが大変わかりやすく紹介されている。特に,それぞれのトレーニングに関して,そのねらい,時間や人数,準備,進め方などコンパクトにまとめられ実践しやすい内容である。

 本書を手に取りながら,具体的に進めていくことも可能なように「気づきノート」として自由に書き込めるページがあるのが特徴である。ただ読み進める本ではなく,活用しながら自然と内容が学習できる仕組みである。

 本書は,第2版ということで初版に比べて,色刷りとなっている。これも読みやすさを推進している。色刷りといってもうるさい色ではなく,さりげない配色なので目にもやさしい。

 本書を使ってトレーニングを受けた看護師が,その後管理職となりさらなるリーダーシップを発揮する場面において,本書を活用することになるであろう。経験を積んでから,本書を読み返すことで自己のリーダーシップスキルを振り返ったりすることができる。したがって,比較的若い看護師から,経験を積んだ看護師まで使うことができる本である。

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