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内分泌代謝疾患レジデントマニュアル 第3版

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脂質異常症、糖尿病、メタボリックシンドローム、甲状腺疾患・・・内分泌代謝疾患は診療現場で当たり前のように遭遇する。しかも新しい糖尿病治療薬の発売、成長ホルモン補充療法の保険適用など、常に知識のアップ・デートが必要な領域。毎日出会う内分泌疾患、代謝疾患に誠実に向き合うための知識をふんだんに盛り込んだ充実の改訂版。
*「レジデントマニュアル」は株式会社医学書院の登録商標です。

情報更新のお知らせ
2010年7月26日付でお知らせした情報更新内容を含め、再更新したものを PDFファイル(78KB) にまとめましたので、どうぞご利用ください。
シリーズ レジデントマニュアル
吉岡 成人 / 和田 典男
発行 2010年03月判型:B6変頁:368
ISBN 978-4-260-01011-5
定価 3,520円 (本体3,200円+税)
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  • 序文
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第3版の序

 内分泌代謝疾患が稀でマイナーな疾患からメジャーな疾患に変容しつつあります.
 例えば,日本における慢性疾患の代表は高血圧症ですが,本態性高血圧と考えられている患者の3~10%は原発性アルドステロン症ではないかと考えられています.高血圧症患者は約4,000万人ですので,全国に,何と120~400万人もの原発性アルドステロン症患者が潜在しているということになります.しかも,アルドステロンの分泌過剰があっても低カリウム血症を呈する患者はわずか1/4程度にすぎないといわれています.また,副腎に腫瘍が存在しても,腫瘍そのものは非機能性であり,他側の副腎に結節性過形成が存在し,画像上は『正常』と思われる副腎からアルドステロンの分泌過剰が認められるという症例も稀ではないことがわかってきました.脂質異常症,糖尿病,メタボリックシンドローム,さらには甲状腺疾患…,内分泌代謝疾患は日常診療の現場でも,ありふれた疾患になってきました.
 治療という点でも,内分泌代謝疾患では新しい治療薬が導入されつつあります.
 2006年からは成人成長ホルモン欠損症(AGHD)に対する成長ホルモン補充療法が保険適応となりました.下垂体腫瘍に対する内科治療として,プロラクチノーマに対して週に1回の服用で腫瘍縮小効果を示すカベルゴリン(カバサール®)が広く使用されるようになり,アクロメガリーに対しては4週に1回の注射ですむオクトレオチド徐放薬(サンドスタチンLAR®)や成長ホルモン受容体拮抗薬であるペグビソマント(ソマバート®)も使用されるようになりました.また,選択的アルドステロン拮抗薬であるエプレレノン(セララ®)も登場し,手術を行わない原発性アルドステロン症患者の治療に用いられています.糖尿病の治療に関してはインクレチン関連製剤として,DPP-IV阻害薬(ビルダグリプチン,シタグリプチン,アログリプチン),GLP-1アナログ製剤(リラグルチド)が登場し,今後の展開が注目されています.
 内分泌代謝疾患は教科書でときどきお目にかかる疾患ではなく,毎日の診療の現場にちりばめられている,しかも新しいアップ・デートな知識が要求される疾患であるといえます.
 このような背景をもとに今回,内分泌代謝疾患レジデントマニュアルを改訂することになりました.今回は,吉岡,和田の2人がそれぞれ代謝疾患,内分泌疾患の各分野について第2版出版以降のこの5年間のトレンドを意識して改訂作業を行いました.しかし,私たち2人がキャッチアップできる範囲はきわめて限定的なものです.この小さなマニュアルをさらにブラッシュアップするために,読者のみなさまから多くのご意見,ご要望をお聞かせいただけますれば幸甚に存じます.
 医師としてわたくしが臨床の現場に携わってから早いもので四半世紀を超える時間が過ぎました.内分泌代謝疾患レジデントマニュアルを作成してからの10年を振り返り,医学も学問という視点からだけではなく,医療という実践の現場でいかに応用するかという利用者(患者さんや家族,一般の市民)の視点からも変化していくのだということをいま実感しています.医師卒後研修システムの改変を契機に医療のシステムそのものの問題点がさらし出され,それをどのように解決していくのか,大きな社会問題となっています.行政の面からどのような解決策がとられるのか…,根本的な改革を行うチャンスではありますが国民の代表者たちや官僚が練る解決策に大きな期待をもつことはできないのが残念です.
 これからの10年後,20年後に医療のシステムがよりいっそう充実したものとなり,医学がさらに健全なものになるべく発展を遂げてほしいと思うのはわたくしが齢を重ねたからかもしれません.
 さいごに,マニュアルの改訂作業にご尽力いただいた医学書院の中根冬貴さん,増江二郎さんに感謝いたします.

 2010年2月
 筆者を代表して 
 吉岡成人

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 本領域で使用される略語一覧

I 内分泌疾患
common diseaseとしての内分泌疾患の診療
1.甲状腺疾患
 1.バセドウ(グレーブス)病
 2.慢性甲状腺炎(橋本病)
 3.甲状腺機能低下症
 4.粘液水腫性昏睡
 5.亜急性甲状腺炎
 6.甲状腺結節
 7.甲状腺クリーゼ
2.下垂体疾患
 1.下垂体前葉機能低下症
 2.先端巨大症(末端肥大症),巨人症
 3.クッシング病
 4.プロラクチノーマ
 5.尿崩症
 6.SIADH(ADH不適切分泌症候群)
3.副腎疾患
 1.アジソン病
 2.クッシング症候群
 3.原発性アルドステロン症
 4.褐色細胞腫
 5.副腎インシデンタローマ
 6.急性副腎不全(副腎クリーゼ)
4.副甲状腺疾患
 1.副甲状腺機能低下症
 2.原発性副甲状腺機能亢進症
 3.悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症
 4.高カルシウム血症クリーゼ
5.膵内分泌疾患
 1.インスリノーマ
6.性腺疾患
 1.男性性腺機能低下症
 2.女性性腺機能低下症
7.内分泌関連疾患
 1.神経性食思不振症
 2.バーター症候群とジッテルマン症候群

II 代謝疾患
代謝疾患の診療-検査値を診療にフィードバックする
1.糖尿病
 1.糖尿病の診断
 2.糖尿病の治療
 3.糖尿病の薬物治療
 4.糖尿病の合併症
2.脂質異常症
3.痛風,高尿酸血症
4.肥満とメタボリックシンドローム

付録
1.内分泌負荷試験
2.内分泌疾患の主な徴候と鑑別診断
3.関連WEBサイト

事項索引
薬剤索引

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この一冊があれば自信をもって対応できる
書評者: 成田 琢磨 (秋田大大学院准教授 内分泌・代謝・老年内科学)
 医学に限らず,科学の分野はまさに日進月歩であり,しばらく前に通用していた知識,技術が日々変化していっています。われわれの日常臨床の専門分野である内分泌代謝分野についても同様で,例えば糖尿病治療では10年くらい前は研究の一分野であったインクレチンが,日本でも昨年から一気に4種類の薬剤が市販され,糖尿病治療を大きく変えようとしています。

 また第3版の序に吉岡先生がお書きになっているように,原発性アルドステロン症の診断の進歩や,実はありふれた疾患であることの再認識,メタボリックシンドロームのクローズアップ,アクロメガリーの治療薬の進歩,エプレレノンの登場など内科的にここ数年,内分泌代謝疾患の診断治療のパラダイム変化が急激に起きてきています。またこれも吉岡先生が書いておられますが,内分泌代謝疾患は決してまれなものでなく,他の分野の診療でも,例えば糖尿病は避けて通れないし,電解質異常を的確に補正するにも原因として内分泌疾患を正確に鑑別しないと治療効果が上がらない,また頻脈・不整脈の背景に甲状腺機能異常がかなりの割合で潜み,見逃されると後で大変です。また特異的な症状を出さない場合が多く,常に内分泌代謝疾患を種々の病態の背景疾患として考えないといけないことを,いろいろな分野の先生方に認識してもらう必要があります。

 その中,吉岡・和田両先生が,内分泌代謝分野の進歩をアップデートなかたちで改訂されたのが,この『内分泌代謝疾患レジデントマニュアル 第3版』です。もともとレジデントや非専門の先生方にとって,取り付きにくい分野である内分泌代謝疾患に関して,手っ取り早く,かつ正確に診断・治療の知識を解説されたものですが,実はわれわれ専門家も白衣のポケットや外来・病棟の机に常備し“あれどうだったかな?”と思ったときいち早く手が届くのがこのマニュアルです。今回の改訂では2010年に変わった事項も(例えばHbA1c値のJDS値とNGSP値の問題,診断基準の改定内容,インクレチン治療や,原発性副甲状腺機能亢進症でMIBIシンチが保険適用になったことなど)カバーされており,タイムリーな改訂です。

 また,甲状腺疾患と妊娠の問題,バセドウ病治療ガイドラインの内容など詳しく書かれており,内分泌を専門とするわれわれも知識の整理に非常に有用な一冊です。また巻末にインターネット時代を反映し種々の学会,ガイドライン等のwebサイトを紹介しているのも新たな配慮と思われます。

 もちろん,レジデント・非専門の先生にも頻度の高い疾患を中心に過不足なく,かつ文献も示しながら,症例やSide Memoを通して詳しい知識が得られ,この一冊があれば自信を持って内分泌疾患患者に対応できるように配慮されています。ぜひこの一冊を携帯して,日々の診療の内分泌代謝疾患の診療指針としていただければと思い,ご推薦申し上げます。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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