標準産科婦人科学 第4版

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医学生に定評のある産科婦人科学テキスト、待望の改訂版。膨大な情報を有機的に統合し、真の理解を目指すための1冊。執筆陣は各領域の第一人者。今版ではレイアウトを一新し、「本章の構成マップ」と「POINT」を新設、「主訴、主症状から想定すべき疾患一覧表」(第1章)もいっそう充実した。「医師国家試験出題基準対照表」付き。

『標準医学シリーズ 医学書院eテキスト版』は「基礎セット」「臨床セット」「基礎+臨床セット」のいずれかをお選びいただくセット商品です。
各セットは、該当する領域のタイトルをセットにしたもので、すべての標準シリーズがセットになっているわけではございません。
シリーズ 標準医学
編集 岡井 崇 / 綾部 琢哉
発行 2011年05月判型:B5頁:648
ISBN 978-4-260-01127-3
定価 9,020円 (本体8,200円+税)
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第4版序

 この教科書の編者は古い質をもつ人間なのだろうか? ITが全盛を迎え,書籍が電子媒体に置き換えられようとしている昨今である.冊子体にあっては,試験に合格するに足る知識を手早く吸収するために要領と効率を優先した参考書に学生の人気が集まっていると聞く.そんな時代に敢えて旧態依然とした医学書の改訂版を発行するのである.
 『標準産科婦人科学』は,故 水野正彦東京大学名誉教授の企画に始まり,望月眞人神戸大学名誉教授,故 桑原慶紀順天堂大学教授,丸尾 猛前神戸大学教授(現 兵庫県立こども病院長)と続く錚々たる先生方が歴代の編集者である.1994年に初版が発行されて以来,産婦人科学の普遍的知識とそれに基づく正統な臨床を中核に据えるという編集理念が脈々と継承されて来た.それによって医学生の代表的教科書として揺るぎない評価を得ている.これまでの2回の改訂でも,前記の上に新しい知見と臨床の進歩とを積み重ねる手法が採られ,当初の理念は崩されていない.そして今回,議論はあったものの,私たち編集者は産婦人科学の基本を系統的に記述する伝統的な本書の形態を変えなかった.これは,書籍出版の環境が大きく変化しつつある時勢を勘案して医学書院の方々を交え検討した結論でもあるのだが,希薄な知識を安直に暗記させる医学教育の在り方に雷同することは,結局,学生のためにならないとの編者の信念に基づくものである.丸暗記だけで国家試験に合格しても優秀な医師になれるとはとても思えない.最適な対応や治療は,論理的な思考で病因と病態とを理解して初めて選択できるものであると考えるからだ.
 以上の考量から,本書は教科書としての内容の充実を最重要視し,それぞれの領域の第一人者に執筆を依頼した.学生諸君にとって,最も信頼できる考え方の王道を習得できる筈である.精読すれば,産婦人科学の奥の深さを知り,それを理解する楽しみを知れば,君は名医に一歩近づく.

 2011年3月
 岡井 崇・綾部琢哉

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 第1章 産婦人科診療

婦人科編
 第2章 性分化と女性性器の発生
 第3章 女性性器の構造
 第4章 女性の性機能
 第5章 月経
 第6章 不妊症
 第7章 女性性器の異常
 第8章 女性性器の疾患
 第9章 加齢と疾患
 第10章 女性性器の位置異常
 第11章 女性性器の損傷と瘻
 第12章 性感染症
 第13章 避妊・ファミリープランニング
 第14章 婦人科検査
 第15章 ホルモン療法
 第16章 婦人科化学療法
 第17章 婦人科手術療法

産科編
 第18章 妊娠の生理
 第19章 妊娠の異常
 第20章 合併症妊娠
 第21章 妊娠の管理
 第22章 分娩の生理
 第23章 分娩の異常
 第24章 分娩の管理
 第25章 産科処置
 第26章 産褥期
 第27章 新生児
 第28章 母子保健

資料:医師国家試験出題基準対照表
和文索引
欧文索引

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徹底して臨床の実践に資するという編集方針の教科書
書評者: 武谷 雄二 (東大大学院教授・産婦人科学)
 本書を通覧してまず感じたことはとにかく読みやすいということである。なぜかというと,とかく教科書の記述にありがちな,あらゆる知識を百科事典のごとく総花的に平坦に紹介するスタイルでないからである。個々の知識を区区として紹介するのではなく,ある生理学的現象や特定の病態の理解の一助として説明している。換言すれば,知識の羅列的紹介よりも生体が織りなす複雑系の理解を前景化しているものである。

 また,このことを可能にする技法として,章の構成にさまざまな趣向が凝らされている。さらに,本書を読みやすくしているしかけとして,“POINT”というコラムを設け,あらかじめどこに着目すべきかの指示がある。また各章のはじめにはその内容が図示されており,一目瞭然である。したがって,ついつい流れに沿って編集者が意図する世界に引き込まれてしまう。

 本書には臨床への還元を強く意識した工夫が随所にみられる。従来の教科書は疾患の説明が主であり,それに付随して症状が記載されている。またおびただしい知識の山を淡々と不連続に述べる傾向がある。

 一方,本書では生殖器系の形態,現象を述べる際にはその臨床的意義と関連づけて解説している。さらに第1章では,主訴・症状から診断にたどりつくというように,実地の診療の際の思考経路を模した流れになっている。このように徹底して臨床の実践に資するという編集者の哲学がくみ取れる。

 昨今,産婦人科学は生殖内分泌学,婦人科腫瘍学,周産期医学などいくつかのサブスペシャリティーに分かれ,相互の関連性が希薄になりつつある。これらは生殖医学という共通の土壌の中で育まれたものであり,同じディシプリンとしての相互理解がないと各分野の将来の発展も望みがたい。その点,拡散化しつつある産婦人科の各分野を見事に束ね,簡にして要を得た編集といえる。日進月歩の産婦人科学の将来の形を明示したものともいえる。

 本書は医学生の教科書として大いに薦められるが,読者の知識,経験に応じて幅広く利用できる教科書といえる。初期の研修医,産婦人科専門医をめざしている医師,産婦人科医の生涯研修としても活用していただきたい。
揺るぎない産婦人科学教科書
書評者: 吉村 泰典 (慶大教授・産婦人科学)
 われわれが専攻する産婦人科学は,生殖医学,周産期医学,婦人科腫瘍学,さらには女性のプライマリケアのそれぞれの専門分化が推奨されるほどその範囲は広く,女性の生涯を通じてその健康に奉仕する女性医学としての性格を有するようになってきている。どの学問においても分化と統合は常に必要であり,教育においては方法論的に産科学そして婦人科学として器官別に細分化して論ずるよりは,産婦人科学は女性の生態学,病態学として大きく捉えられるべきである。

 医学教育における教科書の重要性は贅言を要しない。これまで数多くの優れた産婦人科学の教本が上梓されているが,最近では医学生諸君にほとんど使用されることがなくなり,知識は電子媒体や簡素化された冊子体より得られることが多くなっている。卒前教育で重視すべきことは,体系化されたスタンダードな知識を包括的に理解させることにある。その基準となるのは医師国家試験出題基準であるが,基準にかなった断片的な知識の蓄積だけでは産婦人科学の奥深さや魅力は到底理解できない。

 「標準産科婦人科学」は,1994年に初版が発刊され,爾〈じ〉来17年間にわたり,産婦人科学の代表的な教科書として揺るぎない評価を受けている。今回の改訂においては産婦人科学のコアとなる普遍的知識に加えて,日進月歩する産婦人科医療を鑑み,医学生にとって必要な新知見もふんだんに取り上げられている。しかもこれまでの本書の伝統ともいえる産科婦人科学の基本が系統的に記述されており,各分野の病態生理の包括的理解を容易にし,かつ医療の実践に向けての問題解決能力の陶冶〈とうや〉に資するよう意を尽くされている。岡井崇教授と綾部琢哉教授の医学教育に対するphilosophyが体感できる素晴らしい教本であり,医学生にとってまさに必読の書である。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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