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股関節手術症例アトラス [CD-ROM付]

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著者がこれまでに行ってきた約6000件の股関節外科手術から厳選した症例を収載。付録のCD-ROMには600例を収載し、書籍本体にはそのなかから、問題のある症例、合併症例を中心に手術難易度が高く、かつ特徴的な症例を抜粋。術前・術後の長期経過が一目でわかるよう症例ごとに豊富なX線像を提示。併せて手術適応、手術のコツやピットフォール、後療法についても簡潔に記載。
佛淵 孝夫
発行 2010年06月判型:B5頁:232
ISBN 978-4-260-01013-9
定価 10,450円 (本体9,500円+税)

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 1998年9月に佐賀医科大学(現佐賀大学)整形外科教室に着任して以来11年以上が経過し,この間に約6,000件の股関節外科手術を経験してきた.その多くが人工股関節手術であり,骨切り術は600件余りと10%に過ぎない.
 本書は大きく3部から成り,第1部で各種股関節骨切り術を,第2部で様々な症例に対する初回セメントレス人工股関節置換術(THA)を,第3部として主にセメントレスTHAによる再置換術を取り上げた.それぞれに代表的な症例を提示しながら,手術適応,後療法,手術のコツ,ピットフォールなどを簡潔に記載した.原則として問題症例と合併症はほぼ全例提示した.さらに付録のCD-ROMには600例を収載した.手術の難易度については通常の初回THAを難易度Aとし,筆者自身が最も難しいと考えたものを難易度Eと分類した.本書では主に難易度CからEについて収載した.日常の股関節診療のなかで遭遇する可能性のある症例の大半はここに含まれると考えている.
 本書が,これから股関節外科医を目指す若い整形外科医のみならず,臨床の現場で手術適応や術式について意見を求められている一般整形外科医にとって少しでも役に立つものであれば幸いである.

 2010年春
 佐賀大学
 佛淵孝夫

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A 骨切り術
 A-1 大腿骨骨切り術
 A-2 寛骨臼骨切り術
B 初回セメントレス人工股関節置換術(THA)
 B-1 高位脱臼股,亜脱臼股に対する骨切り術を併用しないTHA
 B-2 高位脱臼股などに対する骨切り術併用THA
 B-3 強直股関節,高度拘縮股関節および高度頚部短縮股関節などに対するTHA
 B-4 骨切り術後に対するTHA
C 主にセメントレス人工股関節置換術(THA)による再置換術
 C-1 寛骨臼側の再置換術
 C-2 大腿骨側の再置換術

欧文索引
和文索引

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股関節外科のエキスパートによる厳選された症例集
書評者: 増田 武志 (我汝会えにわ病院理事長)
 著者は1998年より佐賀医科大学(現佐賀大学)整形外科学教室の教授に就かれ,股関節外科において特筆すべき業績を積み重ねてこられました。2009年10月より国立大学法人佐賀大学学長に就任されましたが,股関節外科への情熱は強く,多忙の中現在なお大学病院にて執刀されています。

 本書は,著者がこれまで行ってきた約6000件の股関節手術から厳選した症例を収載しており,付録のCD-ROMには実に600例が収められています。そして,書籍本体にはその中から問題のある症例,手術難度の高い症例を抜粋し,術前・術後の経過が一目でわかるよう豊富なX線像を,簡潔な文章を添えて提示しているのが特徴です。

 本書は大きく3部から成り,第1部で各種骨切り術を取り上げています。著者は人工股関節手術の第1人者である印象が余りにも強いため,骨切り術に対する造詣の深さを忘れがちです。しかし,この中に示されている大腿骨骨切り術・寛骨臼骨切り術の結果を見ると,著者の底知れぬスキルを実感します。

 第2部は,初回セメントレス人工股関節置換術(THA)の術前状態の異なるさまざまな病態に対しての結果が示されています。高位脱臼股関節,強直股関節,各種骨切り術後股関節などに対するTHAの手技,特にその合併症と対策が具体的に記されています。

 第3部は,主にセメントレスTHAによる再置換術が取り上げられています。寛骨臼側の再置換術はAAOS分類のType別に(Type 1~4),また大腿骨側のそれはEndo-Klinik分類の大腿骨欠損状態の程度別に(Grade1~4),多くの症例が網羅されています。

 股関節外科のエキスパートとされる著者が,その豊富な経験に基づき,難度の高い症例を中心にその手術方法・結果・問題点を明確に解説しています。股関節外科医をめざす若い方には勿論,現場で種々の股関節疾患を診ている者にとっても,本書は力強い味方となる1冊です。
術前から術後までの長期経過を1ページに凝縮
書評者: 内藤 正俊 (福岡大病院病院長)
 このたび発行された『X線像でみる 股関節手術症例アトラス CD-ROM付』をパノラマ風に捲り終えると30年前に初めてグランドキャニオンを眼前にした時の感動が蘇りました。著者が執刀した膨大な症例の幅広さと奥行きの深さに圧倒され,機能が回復した偉観とも言うべき股関節の群れに“あっぱれ”と感嘆の声をあげました。

 本書は約6000例の中から厳選された症例の両股関節正面像を用い,術前から術後までの長期経過が1ページで一目瞭然にわかる画期的な構成になっています。手術方法によりAからCまでの3部に分けられており,Aは各種股関節骨切り術,Bではさまざまな症例に対する初回セメントレス人工股関節置換術(THA),Cは主にセメントレスTHAによる再置換術です。各部をさらに術式ごとに細分類し,その代表症例ごとに手術適応,術前の準備,治療法選択の因子,手術のコツ,ピットフォール,後療法,合併症と対策などが箇条書きで簡潔に記載されています。各症例には細分類に応じたタイトル,性別,年齢,手術の難易度とともに手術方法の秘訣が“COMMENT”の数行に詰まっています。付録のCD-ROMには書籍に提示されていない症例を含め合計600例が収載されており,コード番号は本書の症例のタイトルと呼応するようになっています。細分類ごとの自動的なスライドショーのon,offや画像の拡大機能もあります。使い勝手がとても便利で,全体を眺めることや手術の細部のチェックが容易です。

 本書の“Column”にもお書きになられていますが,著者の佛淵孝夫佐賀大学学長は1979年に股関節外科のメッカである九州大学整形外科に入局されました。他大学から2年前に同医局に入局していた筆者は,研修1年目の著者と半年間同じ病棟で勤務しました。最初から該博な知識と凛乎たる態度が印象的で,よく患者を診ていらっしゃいました。故杉岡洋一先生が教授になられてからは文字通り右腕として診療や研究だけでなく,「骨切りワークショップ」などの実務もなさっていました。手術に対する天凛にも恵まれ,今やわが国の股関節外科のトップランナーです。

 本書では治療戦略,必須な分類,手術方法のポイントなどはすべて図解され,股関節外科の成否の判定に不可欠な両股関節正面像のみで,MRIやCTなどの特殊な画像はほとんど使われていません。無駄が一切省かれ,文章は最小限にとどめられていますので,すっきりとしたわかりやすい内容になっています。整形外科領域へのクリティカルパスの導入で先鞭をつけた著者の哲学を垣間見る思いがします。日常の診療で遭遇するほとんどの股関節疾患が本書に含まれていますので,整形外科の先生方に広く本書を推奨致します。ページを捲りながら清々しい気持ちで学び,股関節外科の妙を思う存分満喫して下さい。

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