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リハビリテーションレジデントマニュアル 第3版

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日常のリハビリテーション診療に携行し、迷ったときや困ったときに、その場ですぐに役立つように、主に技術面に焦点をあてて具体的に分かりやすくまとめたリハビリテーション科レジデントの卒後臨床教育のための実践書。高次脳機能障害やがんをはじめとした最近注目を集めている疾患・障害、転倒や廃用症候群に対する予防的リハビリテーションなど、第2版以降のトピックスももれなく収載。
*「レジデントマニュアル」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ レジデントマニュアル
編集 木村 彰男
編集協力 里宇 明元 / 正門 由久 / 長谷 公隆
発行 2010年02月判型:B6変頁:544
ISBN 978-4-260-00844-0
定価 5,500円 (本体5,000円+税)
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第3版序

 本書は1994年に,リハビリテーション科レジデントのための最も身近で手軽な本として,前版までの編者であった千野直一先生の御指導の下,筆者が手伝う形で誕生しました.このマニュアル編集においては,病院内における診療実務の実際に焦点を当て,慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室で実践していることに言及するように心掛けました.本書は幸いにも読者の皆様に好評をもって受け入れていただき,7年後の2001年には第2版を発行するに至りました.
 このたび,第2版発行より7年ほど経過したこともあり,改めて第2版を見直した結果,全般的に推敲を要すること,さらには近年注目を集めている高次脳機能障害やがんのリハビリテーション,転倒予防や廃用症候群などの予防的リハビリテーションの必要性の高まり,さらには2006年より施行されている障害者自立支援法といった第2版発刊以降の社会的リハビリテーション関連のトピックスも視野に入れる必要があることなどから,第3版として全面的な改訂を行うこととしました.
 今回の版では,実際の臨床に携わっている若手の先生にも執筆していただくこととし,現在の慶應の医局(慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室,慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター,関連病院)の総力をあげて作成しました.
 全体の構成は,基本的にはこれまでの版を踏襲していますが,各項目ともに最新の知見にのっとった形で,実際に役立つ記載となるように注意を払いました.また,新たに「臨床上のコツ」を各項目の末尾に設けました.これは,レジデント,学生に対して,評価の着目点や治療上のポイントなどを一言で明瞭に示したものです.それ以外にも,読みやすく,かつわかりやすい内容構成に最大限配慮しました.
 日常診療に直ぐに役立つ改訂版になったものと自負しており,読者の皆様の臨床に少しでも貢献できれば幸いです.
 2009年12月
 木村彰男

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I リハビリテーション医学・医療とは
II リハビリテーション診断・評価学
III 障害の診断・評価法
 1 関節可動域の測定
 2 徒手筋力テスト
 3 成長・発達の評価
 4 歩行の評価
 5 言語障害の評価
 6 高次脳機能の評価
 7 心理評価
 8 摂食・嚥下障害の評価
 9 排尿障害の診断・評価
 10 疼痛の診断・評価
 11 日常生活動作(活動)の評価
 12 神経生理学的検査
 13 画像診断法
 14 神経筋の組織化学的検査
 15 呼吸機能評価
 16 運動負荷試験
IV 障害の治療法
 1 運動療法(therapeutic exercise)
 2 物理療法・機能的電気刺激
 3 日常生活動作(活動)訓練
 4 機能的作業療法
 5 義肢
 6 装具
 7 車いす
 8 杖・歩行器
 9 座位保持装置
 10 自助具
 11 言語療法
 12 神経ブロック
V 症状・障害のリハビリテーション
 1 運動障害
 2 筋力低下
 3 歩行障害
 4 上肢機能障害
 5 拘縮
 6 痙縮
 7 褥瘡
 8 摂食・嚥下障害
 9 排尿障害
 10 排便障害
 11 疼痛
 12 浮腫
 13 高次脳機能障害
 14 認知症
VI 主な疾患のリハビリテーション
 1 脳卒中
 2 脳外傷
 3 脊髄損傷
 4 脳性麻痺
 5 二分脊椎
 6 パーキンソン病・症候群
 7 神経変性疾患
 8 末梢神経損傷
 9 多発性神経炎
 10 ポリオ後症候群
 11 ジストニア
 12 悪性腫瘍(がん)
 13 筋ジストロフィー
 14 切断
 15 関節リウマチ
 16 腰痛症
 17 骨粗鬆症
 18 肩関節周囲炎・肩手症候群
 19 骨折
 20 変形性関節症
 21 脊柱側弯症
 22 虚血性心疾患
 23 呼吸器疾患
 24 糖尿病・肥満
 25 熱傷
 26 内部障害
 27 リンパ浮腫
VII 予防的リハビリテーション
 1 廃用症候群
 2 転倒予防
 3 介護予防-骨粗鬆症の予防
VIII 社会的リハビリテーション
 1 在宅リハビリテーション
 2 介護保険
 3 障害者自立支援法
 4 福祉行政
 5 福祉機器
付録
 1 リハビリテーションに必要な基礎知識
 2 略語
 3 リハビリテーション科卒後研修

索引

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実際的対処法をコンパクトに詰め込んだレジデント必読書
書評者: 水落 和也 (横浜市立大准教授・リハビリテーション科学)
 多くの読者に利用されてきた『リハビリテーションレジデントマニュアル』の第3版が発行された。初版から16年,第2版から約8年ぶりの改訂である。初版は3刷,第2版は5刷と順調に発行部数を拡大し,リハビリテーション領域では数少ないロングセラーといえよう。第2版と比較して,ページ数で144ページ(400⇒544ページ),重量で90g(280⇒370g)とボリュームが増し,白衣のポケットに入れて持ち歩くにはぎりぎりの大きさにとどまった感がある。実用書としてのコンパクトさを保ちながらいかに内容を充実させるか。編者のご苦労がうかがわれる。

 第3版で新たに追加された章は「VII.予防的リハビリテーション」であり,各章で新設された項目は,「III.障害の診断・評価法」の章で呼吸機能評価,「V.症状・障害のリハビリテーション」の章で運動障害,上肢機能障害,高次脳機能障害,「VI.主な疾患のリハビリテーション」の章でポリオ後症候群,ジストニア,悪性腫瘍(がん),内部障害,「VIII.社会的リハビリテーション」の章で障害者自立支援法である。いずれもこの10年のリハビリテーション医療の対象疾患の拡大,社会福祉施策の変化にタイムリーに対応している。

 マニュアルとは実際的・実用的な解説書の意味であり,必ずしも小さい必要はないのだが(小さいのはハンドブック),医療現場で役立つマニュアルの条件は,常に携帯でき,知りたい情報が素早く手に入り,しかも当座の実際的対処法が示されることであろう。

 例えば脳外傷後遺症の患者さんが急性期治療を終えて紹介状を持って外来に現れたとして本書を活用してみよう。

 ①この患者さんの障害像を把握する上で脳外傷後遺症の一般的特徴を知りたい⇒「脳外傷」の項(pp286-288)を読む。
 ②障害を客観的に評価するための検査は何が必要か⇒「高次脳機能の評価」の項(pp47-53)を読み,必要なテストバッテリーを選ぶ。
 ③外来リハビリテーション処方はどうすればよいか⇒「V.症状・障害のリハビリテーション」の章にある「高次脳機能障害」の項(pp264-268)を読んで認知リハビリテーションの処方を作成する。
 ④調整すべき福祉サービスはあるか⇒「障害者自立支援法」の項にある自立支援サービスの種類の一覧表(pp430-437)を読んで,就労継続支援の利用について医療ソーシャルワーカーに調整を依頼する。

 いかがだろうか。本書一冊あれば,ほんの数分間で,経験あるリハビリテーション専門医のような顔をして診療が進められるのである。リハビリテーション医学を志すレジデント諸氏にとって,これほど頼りになる本はないかもしれない。

 若者の活字離れ,出版業界の低迷と活字文化の衰退が指摘されている。確かに最近の医学生は重い教科書を持ち歩かず,医学電子辞書をポケットからさっと取り出して,手際良く情報を手に入れている。近い将来,何十冊もの医学書が入ったiPadのような電子書籍媒体一つを持ち歩いて診療にあたるようになるのかもしれないが,本書のような書籍の楽しみの一つは,足りない情報を手書きで追加したり,強調するところをマーカーで色分けしたりして自分なりの大切な一冊,いわばマイマニュアルを作ることでもある。使い古して手あかのついた自分だけの一冊を持ち歩く喜びを大切にしたい。

リハビリテーション医学の学び方を最短ルートで提示
書評者: 橋本 圭司 (国立成育医療センターリハビリテーション科医長)
 評者が医学部を卒業して間もなく,まだ右も左もわからず,しかし志だけは大きく「リハビリテーション医学を極めたい」などと思っていたころに,本書第1版に出会った日のことを今でも鮮明に覚えている。

 さまざまなリハビリテーション医学関連書籍の中から,真っ先に同書を購入したものだが,同じ病院の研修医の中でも,この貴重なマニュアルを手にしていたのは,ごく一部であったと思われる。しかし,それゆえに,ほかの分野の医師たちとは違うベクトルでの医療の理解・実践に心を躍らせることができたのも事実であった。

 あの日から10年以上が経過して,もう1度,第1版を手にとってみると,コンパクトな白いマニュアルの余白には,われながら初々しい書き込みや,表紙の裏にはさまざまな評価スケールの切り貼りがしてあり,本は手あかで汚れている。

 さて,このたびの第3版は,編集の木村彰男先生をはじめ慶應義塾大学リハビリテーション医学教室や関連病院の諸先生方による改訂版である。最近のトピックス(高次脳機能障害やがんのリハビリテーション,転倒予防や廃用予防などの予防的リハビリテーション,社会的リハビリテーションなど)や評価や治療のポイントを,項目ごとに要約形式で見事にまとめられている。評者自身は,まず項目ごとに収載されている「臨床上のコツ」を拝読し,その上で,各執筆者の先生方と,まさに実際に対話をしながら教えをいただいているような感覚で理解を進めることができた。

 リハビリテーションは,その解釈によってさまざまな対象をも含むことがあり,一臨床医学としては,とっつきにくい側面がある。そのような中で,本書は,わが国のこの分野のリーダーたちが,読者に実際に語りかけて下さるような息吹を感じとることができる良書といえよう。

 リハビリテーション医療は,机上の勉強だけでは理解できない要素を多面的に意識する必要がある。あまりに高度に情報化された社会において,何がスタンダードで何が先進的なのかといったことを理解する間もなく,次の情報が押し寄せてくる。本書はそのような時代に,われわれリハビリテーション医療にかかわる人間一人ひとりが,何を理解し,どう歩んだらよいのかを,最短ルートで端的に示してくれているように感じた。リハビリテーション医学を志すレジデントのみならず,リハビリテーションチームにかかわるあらゆるスタッフにとって必読・必携の書である。

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