• HOME
  • 書籍
  • 整形外科診療「これだけは!」

研修医のための
整形外科診療「これだけは!」

もっと見る

整形外科医を目指す研修医が、「重大な見逃しなく、かつ要領よく」仕事を進めることができるように、研修医として最低限マスターしておかなければならない事項に限定して知識を整理した実践書。実際の診療場面に即し、内容を「診療室編」「救急室編」「手術室編」に分けてわかりやすく解説。研修医が陥りやすいピットフォールや研修で問われる要点も「サイドメモ」などにまとめた。雑誌 『臨床整形外科』 の好評連載に加筆・書き下ろしを加えて単行本化。
編集 高橋 正明
発行 2009年04月判型:B5頁:212
ISBN 978-4-260-00808-2
定価 6,160円 (本体5,600円+税)
  • 販売終了

お近くの取り扱い書店を探す

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。

  • 序文
  • 目次
  • 書評

開く

はじめに

 本書は雑誌『臨床整形外科』に2007年1月~2008年6月の1年半,全18回にわたり掲載された連載企画「臨床研修医のための整形外科」を1冊の書籍としてまとめたものです.この連載は以下のコンセプトに基づいて執筆されました.
 一般病院では,整形外科医が登場する機会が数多くあります.
1.外来診察室では:高齢化社会になり,高齢者の骨折(脊椎圧迫骨折・大腿骨頚部骨折・橈骨遠位端骨折・上腕骨頚部骨折など),骨粗鬆症,変形性脊椎症,腰部脊柱管狭窄症,変形性関節症で苦しむ患者数が増加しています.
2.救急外来では:救急車で運ばれてくる外傷患者の9割以上が整形外科医の出番です.脳外科医や外科医が担当する頭部・胸腹部外傷がある場合でも,それ以外に整形外科が扱う外傷(四肢の骨折など)を伴っていることがほとんどです.
3.病棟業務では:手術件数が増えると必然的に病棟業務が増加します.
4.手術室では:高齢者の大腿骨頚部骨折手術件数が年々増加しています.
 さて,これから整形外科を学ぼうとする研修医に最低限マスターしてもらいたいこと,すなわち重大な見逃しをなくし,要領よく仕事をこなしてもらうために必要な知識を整理していきたいと考えます.

『臨床整形外科』(第42巻,第1号)「連載にあたって」より  
 本書では,雑誌に掲載された内容に加えて,①連載中に書き忘れた内容の追加を行い,②日本整形外科学会が勧める研修内容にできるだけ関連づけるように「研修での評価項目」や「研修で経験すべき事項」を加筆しました.また,③各項目に「臨床研修Q&A」のコーナーを設け,研修医の先生からよく質問されることや注意が必要な点などをまとめました.そのほか,④症例写真や図を増やし,読者の理解の助けとなるような説明を心がけました.
 これから整形外科を学ぶにあたり,読者の先生方がスタンダードな本を購入し,勉強していかなければならないことは言うまでもありませんが,本書を読むことで,一般病院で日常行われている整形外科医の診療像が把握でき,さらに実践に役立てることができれば幸いです.また,整形外科専門医を目指し,日常診療に追われ疲れ果てている研修医の皆さんが,専門医申請時までに経験した1つひとつの大切な症例が無駄にならないように,この本が役立ち,日頃から整形外科研修記録を絶えず手元に置くきっかけになることを願います.

 2009年3月
 高橋正明

開く

I 診察室編
 1 頚椎疾患
 2 腰椎疾患
 3 肩関節疾患
 4 膝関節疾患
 5 肘関節疾患
 6 股関節疾患
 7 手の外科疾患
 8 足の疾患
 9 骨・軟部腫瘍
 10 その他の重要疾患
 11 単純X線画像読影のポイント
 12 徒手検査

II 救急室編
 1 脊椎・脊髄の外傷
 2 上肢の外傷
 3 下肢の外傷
 4 手の外傷

III 手術室編
 1 脊椎手術
 2 四肢手術

索引

開く

患者さんにもわかるような簡単な言葉で説明された教科書
書評者: 河野 友祐 (済生会宇都宮病院整形外科)
 私が高橋正明先生に初めてお会いしたのは研修医2年目のときでした。3年目以降の研修について,研修先はおろか専門科に関しても決められず迷っていた私を,とても熱心に,優しく誘ってくださいました。

 整形外科医として高橋先生の下で研修をスタートしてしばらくの時間がたったころ,先輩の先生方が雑誌『臨床整形外科』に連載を執筆されることになり,夜遅くまで原稿の準備をされる姿を目にしておりました。われわれ後輩医師への指導の後,連載を読むであろうたくさんの若手医師に,少しでもわかりやすく説明をするために丁寧に時間をかけて作業をされていた姿を今でも鮮明に覚えています。

 当時の整形外科医は高橋先生を部長とする7人。高橋先生の座右の銘(?)である「愛とチームワーク」をモットーに,緊張感の中にも和やかな雰囲気のある職場でした。高橋先生をはじめ,照屋徹先生,林俊吉先生に,当時整形外科医になりたての私は手術室や外来で,時にはお酒を交えながらたくさんのことを教わりました。その内容がこの本の中にびっしり詰め込まれています。

 初期研修医として別の病院で勤務していた私は,整形外科ローテーションの際,ほかの科では全く聞いたことがないような,たくさんの解剖学的な用語や略語に圧倒され,先生方が話をしている内容が全く理解できませんでした。

 しかしこの本の文章は非常に読みやすく,難しい言葉を並べるのではなく,患者さんにもわかるような簡単な言葉で説明されています。専門用語は日本語でも説明されており,略語には必ず説明が添えられています。整形外科医の会話を理解することにも役立ちそうです。救急外来で効率よく診察するためのフローチャートや,こぼれ話のように書いてあるサイドメモで,より一層頭の中に入りやすい状況をつくってくれます。読んでいて高橋先生をはじめとする先生方の優しさまでもが伝わってくるような内容です。

 初期研修医時代,救急外来に持っていける程度の大きさで,しかも1冊で十分という本になかなか出会えず苦労しました。何度も時間をつくっては,図書館や自分の机に走っていって調べ物をしたものです。この本は,とてもコンパクトにまとまっており,当直時にも威力を発揮することでしょう。

 本書はこれから研修医として救急外来などで研修を積まれる先生や,医師をめざす医学生,コメディカルの方々にはもちろん,若手整形外科医にとっても知識の確認を図るために,なくてはならない教科書になると思います。1人でも多くの医療関係者に,この本を読んで整形外科について少しでも学んでいただけたら嬉しく思います。
整形外科医として独り立ちするために
書評者: 高岸 憲二 (群馬大教授・整形外科学)
 厚生労働省が報告している国民生活基礎調査の有訴者率では「腰痛」および「肩こり」が男女ともに1位および2位を占めていますし,女性では3位に「手足の関節が痛む」が入っていることでわかるように,外来診療では,この種の訴えを持った多くの患者が整形外科外来を訪れています。また,救急外来では救急車で運ばれてくる外傷患者の9割以上が整形外科関連という病院もあります。平成16年に始まった卒後臨床研修システムでは整形外科は残念ながら必修科には選ばれませんでしたが,一般病院では,整形外科医がかかわる機会が数多くあります。多くの研修医が一般病院で研修を受けるようになり,指導医が十分いない病院でどのようにして彼らを一定のレベルまで引き上げることができるか,また,研修医向けの良い整形外科入門書がないかと思っておりました。

 このたび医学書院から『研修医のための 整形外科診療「これだけは!」』が出版されました。この本は雑誌『臨床整形外科』に2007年1月から2008年6月までの1年半,全18回にわたり掲載された連載企画「臨床研修医のための整形外科」を1冊の書籍にまとめたものです。

 編者の高橋正明先生は慶應義塾大学医学部整形外科医局に属され,私と同じ肩関節外科を専門とされており,学会や症例検討会での先生の発言を聞いておりますと基本に忠実で,ポイントを押さえて的確であることから,素晴らしい先生と常々感じておりました。雑誌『臨床整形外科』の編集委員会でこの連載企画が持ち上がった折,私は高橋先生が慶應義塾大学医学部付属病院で「若手医師」を指導する「卒訓担当」医師を務め,若手医師より大変慕われていたことを知っておりましたので彼なら間違いないと大賛成でした。

 連載された企画も大変好評であり,このたび1冊の書籍が出来上がりました。診断に至るフローチャート,臨床研修Q&Aやサイドメモ(問診で確認する内容),研修での評価項目など随所に日常診療に役立つ工夫が施されています。

 これから整形外科を学ぶにあたり,研修医がスタンダードな本を購入し,勉強していかなければならないことは言うまでもありませんが,本書によって一般病院で日常行われている整形外科医の診療像が把握でき,さらに実践に役立てることができることを確信しております。研修医の方は外来,当直,手術室などで是非本書を常時携帯して一日も早く整形外科医として独り立ちしていただければ幸いです。

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。