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動画で学ぶ脊髄損傷のリハビリテーション[DVD-ROM付]

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117本もの豊富な動画により、脊髄損傷患者へのリハビリテーション実施に必要なすべての技術をDVD-ROMに収載。DVD-ROMには動画目次、画像目次、損傷高位別到達可能ADL一覧表、索引をはじめ、文中にもリンクを張り巡らせ、見たい・知りたい内容がすぐにわかる。医師や療法士をはじめとしたリハビリテーションスタッフに必要な情報を網羅した脊髄損傷リハビリテーションの決定版。 ●動画配信中! DVDより一部をご紹介します。 (音声はございません。Windows Media Playerでご覧ください)

編集 田中 宏太佳 / 園田 茂
発行 2010年05月判型:B5頁:152
ISBN 978-4-260-00778-8
定価 6,270円 (本体5,700円+税)
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  • 序文
  • 目次
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はじめに

 この本は『動画で学ぶ脳卒中のリハビリテーション』(医学書院,2005)の姉妹編であり,脊髄損傷になった患者さんが,より良いリハビリテーションを受けられるようになることを目指して作られた.
 なにげなく「この本は」と書きだしたものの,はたと考え込んだ.本なのだろうか,ホームページのようにコンテンツと呼ぶべきなのだろうか.出版社から発売されることもあり,とりあえず本と呼んでおこう.しかし単に本に動画がついているのではなく,パソコン上で見る医療情報に文章も付属していると思ってほしい.リハビリテーションは動きの医療であり,文章や図だけより,動画を主体とした参考書のほうがわかりやすいのは当然である.さらにリンクを多用し,気になった事項にすぐに移れるよう工夫してある.

 脊髄損傷は脳卒中ほど患者さんが多いわけではなく,またそのリハビリテーションは脊髄損傷を得意とする病院に集まる傾向がある.そのため,先達の技術を見て理解する機会を得にくいリハビリテーションスタッフも多いと思われる.その皆さんのために,本書を企画した.本書には脊髄損傷の患者さんの動作がほぼ網羅されている.ぜひとも見て学び,より良いリハビリテーションを実践していただきたい.

 本書の完成のために,経験豊かな中部労災病院リハビリテーション科,およびそこでリハビリテーションを行った患者さんの全面的な協力をいただいた.また,我慢強く本の完成までのサポートをしてくれた医学書院北條立人氏,川口純子氏,その他すべての関係者に感謝を捧げる.

 2010年4月
 編者

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はじめに
ご注意(必ずお読みください)
本DVD-ROM の使い方

第1編 評価法
 1 脊髄損傷の標準神経学的分類法
 2 関節可動域(ROM)の評価
 3 FIM

第2編 訓練方法
A.総論
B.各論
 1 マット上動作
 2 ベッド上動作
 3 移乗
 4 車いす
 5 起立・歩行
 6 日常生活
C.損傷高位別到達可能ADL

第3編 治療・管理法
A.総論
 1 主な合併症の医学的評価と管理
B.各論
 1 褥瘡
 2 痙縮
 3 呼吸

第4編 車いす・機器・自助具
 1 車いす
 2 移乗介護機器
 3 ECS(環境制御装置)
 4 自助具
 5 家屋改造

索引

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理学療法士に修得してほしい有機的かつ臨床的な動画本
書評者: 半田 一登 (日本理学療法士協会会長)
 本書の帯に,『リハビリテーションは「動き」の医療,だから「動き」を見て理解する』と書かれています。これを読んで瞬間的に二つのことを思い出しました。

 一つはリハビリテーション(以下リハビリ)の草創期に評者が所属していた九州労災病院のリハビリ科は医師,作業療法士とMSWで構成されて,理学療法士は整形外科所属の時期があったことです。それは当時のリハビリ科部長の考えで,マッサージを中心とした理学療法士の行為はリハビリとは一線を画すというものであったからです。言い換えれば「動き」の医療が理学療法士に強く求められていました。

 もう一つは,評者の学生時代に「動きを観察し,それを模倣する」ことが教育の段階でしきりに行われていたことです。例えば,頚髄損傷者のプッシュアップ時における肘の固定法などをつぶさに観察し,それを模倣し,その上で新たな患者を指導するという手法が採られていました。これが本書でいう動きの医療であるリハビリの重要な教育方法であると確信します。

 今日の理学療法教育の場ではさまざまな疾患による特異的な動きを観察できる機会は減少しています。臨床実習前の教育段階で患者の動きを観察する機会がほとんどなく,臨床実習においても臨床実習時間の短縮やリハビリ料での単位制の導入などによって困難性は高まる一方です。その中にあって脊髄損傷はリハビリ医療にとって重要な対象疾患でありながら,多くの理学療法士が経験できない疾患になりつつあります。しかし,理学療法士が専門職であるのならば常識として知っておかなければなりません。

 また,今日的社会背景の中で理学療法士の関心が高齢者問題に偏り,脊髄損傷に代表される障害者に対する関心が弱まっているように懸念しています。障害者リハビリと高齢者リハビリにはゴール設定に大きな違いがあり,家庭復帰を果たせば成功とされる高齢者リハビリ,社会参加を可能にしなければ成功とされない障害者リハビリ,この違いを乗り越えるためにはそれぞれの疾患別リハビリを十二分に習得しなければなりません。

 このような状況下で「動画によって動きを知る」「文字によって手順を確認する」「文字によって留意事項を確認する」という有機的で臨床的な『脊髄損傷のリハビリテーション』本が完成したことは誠に意義深いことと思います。先に出版された『動画で学ぶ脳卒中のリハビリテーション』に続くこの動画本の完成が今後のリハビリの発展に寄与することを確信するとともに,さらなる疾患別リハビリのシリーズ化を期待しています。
脊髄損傷リハのポイントがわかる
書評者: 大橋 正洋 (神奈川リハビリテーション病院リハビリテーション科部長)
 リハビリテーション(以下,リハ)医療の領域で,脊髄損傷は常に特別な位置にある。脊髄損傷を患者の視点から考えると,ある日突然,今まで当たり前に行えていたさまざまな動作ができなくなり,いっぽうで褥瘡や尿路合併症の予防など,あるいは移動のための車いす操作など,健常であったときには考えもしなかった特別な行動を実行するように強いられる。リハ・プロセスを,生活へ再適応のためのさまざまな行動を学習すること,と定義するならば,脊髄損傷者はまさにリハ・プロセスを必要としている。さらに多職種の関与なくしては,脊髄損傷者が高いレベルのQOLを獲得することは困難であり,多職種が連携して行う医療は,まさにリハ医療の本体でもある。

 しかしながら多くの医療者は,当然,自分自身に脊髄損傷者としての生活体験がないため,支援のポイントや医療を含めた多職種の役割分担について知らないことが多い。
 近年の医療制度の改革に伴い,脊髄損傷患者は,専門のリハ施設ではなく,回復期リハ施設で機能訓練を受ける場合が増えていると推測される。回復期リハ施設の利用者の中で脊髄損傷者は少数派である。したがって病棟および機能訓練スタッフも,何を目標に介入や支援を行えばよいのか戸惑っているに違いない。

 本書の執筆陣は,脊髄損傷のリハにおいて長年の実績がある中部労災病院,そしてリハ専門職の教育機関として豊富な経験を持つ藤田保健衛生大学のリハスタッフが中心になっている。したがって書かれていることの内容に間違いがなく,わかりにくい情報を文字や写真だけでなく,動画で提供しているため,脊髄損傷リハのポイントを知りたい読者には,有り難い構成になっている。また,脊髄損傷者の治療にかかわった経験がある専門職であっても,自身の専門外の領域でどのようなサービスが行われているのかを再認識する目的でも利用できる本である。

 しかし本書を入門編とするならば,将来,上級編の発刊を企画してもよいのではないだろうか。例えば理学療法を例に考えると,一つ一つの運動訓練を分断して行うことは少なく,一回の訓練時間内でも,障害レベルや本人の状態に応じて,いくつかの目的を持った動作を複合させながら治療の流れを作っているはずである。このあたりのことが少々理解しにくい。

 また高齢社会を反映して,しびれ・痛み・痙縮などの訴えが強い高齢不全四肢麻痺患者の増加があり,そうした問題への具体的な対処方法を示すことが望まれる。

 『動画で学ぶ脳卒中のリハビリテーション』も発刊されており,今後もシリーズ化される企画なのであろう。そうであれば,このシリーズに上級編が加わると,読者にとってはさらに有益となるはずである。

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