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Minds 診療ガイドライン作成の手引き 2007

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「診療ガイドライン作成の手順ver.4.3」(福井・丹後)の事実上の改訂版を待望の書籍化。作成の手順がひと目でわかるフローチャートに始まり、必要な作業は何か? どのように進めるべきか?を実例をまじえてクリアに解説。ガイドライン作成者のみならず、利用者にとっても診療ガイドラインを評価し、使いこなすために必携の書。
監修 Minds診療ガイドライン選定部会
編集 福井 次矢 / 吉田 雅博 / 山口 直人
発行 2007年09月判型:B5頁:68
ISBN 978-4-260-00480-0
定価 2,640円 (本体2,400円+税)
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福井 次矢(編者を代表して)



 医療で扱われる病気の治療や問題の解決には,幅広い医学的知識と患者の個別性についての理解が不可欠である。しかし,医学的知識だけを取り上げても,その分野は多岐にわたり,しかもそれぞれの分野の科学的知見・技術は膨大化の一途をたどっていて,一人の医療者がすべての病気や問題を適切に解決することは,もはや不可能な状況にある。そこで,それぞれの分野の最も優れた専門家が実際に行っている診療を記述した「診療の手引き」をあらかじめ作成しておき,他の多くの医療者はそれを参照しながら診療すれば,より多くの患者が専門家レベルの質の高い医療を享受できるはずである。このような考えは医療が専門職によってまかなわれるようになるとともに出てきたはずであり,実際,古代ギリシャのヒポクラテス以来,これまでに無数の「診療の手引き」が作成されてきた。

 このような「診療の手引き」は,従来,個人レベルでさまざまな方法を用いて作成されてきた。しかしながら,医療の有効性や安全性,経済性がとりわけ重要視されるようになった1990年前後を境に,欧米では「診療の手引き」を理にかなった(科学的な)方法で作成し,その普及を促すとともに,臨床上の有用性も客観的に評価するという国家的プロジェクトに発展していった。

 米国の科学アカデミーの下部組織であるInstitute of Medicineは,1990年の報告書で,診療ガイドラインとは「医療者と患者が特定の臨床場面で適切な決断を下せるよう支援する目的で,体系的な方法に則って作成された文書」1)と定義し,根拠に基づいた医療(EBM:evidence-based medicine)の手順で作成することに最大の特徴があるとした。そして,連邦政府の外部機関であるAHCPR(Agency for Health Care Policy and Research,現在はAHRQ:Agency for Healthcare Research and Qualityに改名)によって作成された診療ガイドラインや研究助成金の配分を通じて作成された診療ガイドラインの普及により,米国の医療は,いまや「エビデンスに基づく診療ガイドライン」を抜きに語れなくなってきた感がある。



 一方,わが国においても,「エビデンスに基づく診療ガイドライン」の普及に厚生労働省の果たした役割は大きい。1996~97年の医療技術評価のあり方に関する検討会で,EBMという考え方や手順の海外での普及状況が初めて紹介され,引き続き設置された医療技術評価推進検討会(1998~99年)で,EBMを普及させる手段として,教育ワークショップの開催と診療ガイドライン作成に研究助成を行うことが決定された。同時に,この検討会では,罹病率の高さや個人および社会への負担の大きさという観点から識者の意見を集約して,診療ガイドラインを作成する疾患や病態の優先順位も決定した。そして,1999年以降,研究費の助成を受けることが決まった専門学会や研究グループはEBMの手順に関する説明会に出席したうえで,診療ガイドラインの作成にあたった。最後に,そのようにして作成された診療ガイドラインは,日本医療機能評価機構によってインターネットなどを通じて普及させることが,2001年の保健医療技術情報普及支援検討会で決定された。その結果,日本医療機能評価機構内の医療情報サービス事業によるMinds上,2007年8月現在,38の診療ガイドラインが公開されていて,医師だけでなく,一般の人々もアクセスできる状況にある。



 私は,上記のEBM・診療ガイドラインにかかわる3つの検討会すべてに委員として参加し,1999年度以降,専門学会や研究グループによる診療ガイドライン作成に先立って開催されてきたEBMの考え方と診療ガイドラインの作成手順の説明にもあたってきた。そして,2001年11月には『診療ガイドラインの作成の手順 ver. 4.3』2)を冊子体とWebで公開し,多くの診療ガイドラインの作成上,参考にしていただいてきた。今般,これまでの診療ガイドラインの作成経験,そして作成された診療ガイドラインをMinds上で公開するにあたって質の評価をさせていただいた経験などを踏まえて,現時点で最も妥当と思われる診療ガイドラインの作成手順を再度まとめることとなった次第である。



 今後,さらに質の高い診療ガイドラインを作成するうえで本手引きが広く活用され,最終目的である患者アウトカムの向上に寄与することを心から祈念するものである。

 2007年8月



〔文献〕

1)Institute of Medicine. Clinical Practice Guidelines:Directions for a New Program. Field MJ and Lohr KN, eds. Washington, D.C.:National Academy Press ; 1990

2)福井次矢,丹後俊郎.診療ガイドラインの作成の手順 ver. 4.3.2001.11.7

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第I部 総論-診療ガイドライン作成の基本
 1. 作成手順のフローチャート
 2. 診療ガイドラインの定義
 3. 診療ガイドライン作成の基本原則
 4. この手順の用い方
 5. 診療ガイドラインの構成
第II部 各論-診療ガイドライン作成の手順
 1. 作成の目的(テーマ)・対象・利用者の明確化
 2. 作成主体(団体)の決定
 3. 作成計画の立案
 4. 作成委員の選定
 5. 当該テーマの現状の把握
 6. クリニカル・クエスチョンの作成
 7. 文献検索
 8. 文献選択-採用と不採用
 9. 文献の批判的吟味とアブストラクト・フォームの作成
 10. アブストラクト・テーブルの作成
 11. エビデンスのレベル分類
 12. 推奨の決定
 13. 外部評価と試行
 14. 診療ガイドラインの有効性の評価
 15. 改訂
付録
 付録1. 文献検索の例
 付録2. 研究デザイン名一覧
 付録3. 論文チェックリスト例
 付録4. 文献リストの作成例
 付録5. (一次研究のアブストラクト・構造化抄録作成フォーム)
 付録6. アブストラクト・テーブルの作成例
 付録7. エビデンスレベル分類例
 付録8. 推奨グレード分類例
 付録9. AGREE評価法(ガイドラインの評価法)
索引

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