CT造影理論

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検出器の多列化が進むなど,CTの進歩は目覚しいが,CTの高速化に伴って,撮像の現場,読影の場面では何が求められているだろうか。注入速度を一定にする従来の造影剤注入方法では動脈優位相の最適撮像タイミングを外すことが多い。本書では造影剤の注入速度,造影剤量,造影剤濃度等の最適なプロトコールを明示し,診断に求められる最適な画像の作り方を解説する。
編集 市川 智章
発行 2004年04月判型:B5頁:260
ISBN 978-4-260-12717-2
定価 5,500円 (本体5,000円+税)

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    2023.11.13

  • 目次
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I. ヨード造影剤のすべて
II. CT造影理論のすべて―基礎編―
III. CT造影理論のすべて―臨床編―
付録I 非イオン性造影剤比較一覧(尿路・血管用)
付録II X線造影剤効能・効果一覧
索引

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造影プロトコールの至適化に挑戦
書評者: 大友 邦 (東大附属病院教授・放射線科)
◆造影CTのプロトコールは施設ごとに異なっている

 わが国では12,000台あまりのX線CTが稼動し(人口あたりの普及率は堂々の世界一),1年間の造影CTの件数は450万件に達している。

 ちなみに東大病院では6台のCTが設置されており,うち5台が診断用に稼動し,年間の検査件数は約32,000件,うち約20,000件で造影剤が静注されている。

 これだけあたり前に行われている造影CTではあるが,そのプロトコールは施設ごとに異なっているのが現状である。そして自分たちが採用しているプロトコールを構成している造影剤の濃度,注入速度,注入量,撮影タイミングなどの各パラメータの正当性について客観的データに基づいて説明できるかと問われると,内心忸怩たるものがある。

◆現状に正面から取り組む

 このような現状に正面から取り組み,最適な造影プロトコールの理論的な構築に挑戦したのが本書である。内容的には3部構成で,総論の1章では,ヨード造影剤の物理化学的性状,生体への影響,体内での薬理動態に加え,副作用とその対策については裁判事例を含めて解説されている。基礎編と題された2章では,この領域のパイオニアである長野赤十字病院の八町淳氏を中心とした方々が理想的なtime―density curve(TDC),造影剤使用量と撮影タイミングの適正化について,ファントム実験などに基づいた理論を展開されている。臨床編である3章では,本書の仕掛け人でもある山梨大学放射線科の市川智章講師を中心とした方々が肝臓,膵臓,腎臓の多時相造影CTの至適プロトコールの詳細を示されている。

 造影プロトコールの至適化は,解より未知数の方が多い連立方程式を解く作業に例えることができる。この作業に取り組んだ執筆者の方々の意欲は,本書自体のタイトル,章ごとに付された「すべて」という語句,そして「本書は10年,20年経っても色あせない輝きを放ち続ける」という序文に現れている。

 本書を通じて放射線科医・診療放射線技師などのCTにかかわる多くのスタッフが理解を深めることが,造影CTの質の向上に直結すると確信している。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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