結核 第4版

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2005年春の結核予防法改正により、今なお日本最大の感染症である結核に関連する制度・法律は大きく様変わりした。1985年の初版以来、斯界の定本であり続けてきた『結核』の今回の改訂では、新法であらためて「早期発見・早期治療」の対応が推奨されるなか、現場の医師に必要な知識のアップトゥデイトに必須の情報が盛り込まれた。基礎・臨床ともに最前線の専門家たちによる待望の第4版。
監修 泉 孝英
編集 冨岡 洋海
発行 2006年04月判型:B5頁:484
ISBN 978-4-260-00097-0
定価 15,950円 (本体14,500円+税)

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第1章 結核診療の基礎知識
 A. 結核菌の基礎
 B. 結核の感染と発病
 C. 結核の病理
 D. 結核免疫
 E. 結核の化学療法
 F. 結核の外科療法
 G. 結核の悪化と再発
 H. 耐性菌感染,難治性結核
第2章 肺結核の診断・治療
 A. 肺結核の診断
 B. 肺結核と鑑別すべき疾患
 C. 肺結核の治療
 D. 肺結核の治療上問題となる合併症
 E. 肺結核による呼吸不全と処置
第3章 気管・気管支結核および肺外結核
 A. 気管・気管支結核
 B. 結核性胸膜炎
 C. 結核性膿胸
 D. 胸囲結核
 E. 結核性心膜炎
 F. 結核性リンパ節炎
 G. 粟粒結核
 H. 筋骨格系結核
 I. 結核性髄膜炎,脳結核
 J. 消化器結核
 K. 皮膚結核
 L. 乳腺結核
 M. 眼結核
 N. 中耳結核
 O. 喉頭結核
 P. 尿路・男性性器結核
 Q. 女性性器結核
第4章 小児結核・高齢者結核
 A. 小児結核
 B. 高齢者結核
第5章 非結核性抗酸菌症
 A. 非結核性抗酸菌症の基礎
 B. 非結核性抗酸菌症の診断
 C. 非結核性抗酸菌症の臨床像-肺感染症を中心に
 D. 非結核性抗酸菌症の治療と予後
第6章 HIV感染症と抗酸菌感染症
 A. AIDS指標疾患としての抗酸菌感染症とわが国での状況
 B. AIDSにおける結核
 C. AIDSにおける非結核性抗酸菌症
第7章 結核・非結核性抗酸菌症症例
第8章 結核の社会学
 A. わが国における結核の現況と将来-今後の結核対策
 B. 結核の集団発生
 C. 集団発生の予防
付録1 結核の歴史
付録2 わが国における結核文献
索引

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新知見を余さず収載 基礎―臨床を総括する
書評者: 藤田 次郎 (琉球大教授・感染病態制御学(第一内科))
 『結核 第4版』を通読し,書評を述べさせていただく。

 私自身,以前からこの本に親しんでいたという点で愛着を持っていたが,第4版の内容は新しい知見が多く盛り込まれ,内容を刷新したという印象である。もともとまず1985年に「結核」の第1版を出版しようと企画された泉孝英先生の先見の明に感銘するのみならず,この書を継続して改版されているエネルギーにも敬意を表したい。

 もし本書がなかったと仮定しよう。結核予防会からも多数の優れた医学書が出版されており,それはそれで歴史の息吹に触れることができるものが多く,その当時の研究者の努力に感銘しながら私自身も愛用している本もある。しかしながら内容的には,若干古くなっているものも多いことも事実であり,かつ本書のように,結核病学全体を包括したような書は少ない。

 客観的に考えて,日本の結核病学は,患者数の多かったこと,検査法が高いレベルで広く普及していたこと,および結核予防法など公費医療システムの整備されていたこともあり,世界一のレベルにあるといえる。現在の独立行政法人,国立病院機構の多くの病院は結核療養所としてスタートしたものが多く,かつ結核が国民病であった時代には最高の人材が結核の臨床,および研究に従事したと考えられる。その優れた先人達の遺産を引き継ぎ,それを土台にさらに発展させたのが本書といえる。どの章を読んでも,UpToDateの内容が網羅されており,現段階の最高の結核病学を集積したものであると断言できる。

 私自身は,結核,および非結核性抗酸菌症の画像所見に特に興味を持って拝読したが,その両者とも優れたものであり,かつ多数の症例が紹介されていることに驚嘆した。また外科領域の記載も歴史的な背景も含め充実しており,内科医の私にはたいへん参考になった。さらに臓器別のとらえ方,年齢,および基礎疾患への配慮,症例呈示,および結核の社会学など,さまざまな配慮を持って編集されている点にも,監修者,および編集者の意気込みを感じることができる。

 しかしながら本書の圧巻は付録の部分にある。付録1の「結核の歴史」は,ただいたずらに結核の脅威をあおるのではなく,歴史観からわが国における結核の現状を正確に評価しており,本書をより格調高いものにしている。さらに付録2の「わが国における結核文献」は,わが国における結核研究が歴史的に判断しても世界最高の質・量を誇ることが明らかにされている。このような詳細な資料をどのように調査されたのか,その調査方法にも関心を持った。

 本書は,呼吸器内科医のみならず,結核診療に携わる多くの臨床医のバイブルとなりうるし,該当する行政機関,および保健所などでも備えておくべき書であると考える。しかしながら,個人的には,結核について断片的な知識しか有していない若い先生方にぜひ,本書を通読していただき,結核に関する最新情報を学んでもらうことを切望するものである。

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