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地域連携パスの作成術・活用術
診療ネットワーク作りをめざして

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疾患ごとの治療方針について、医療機関同士が一定のルールを決める地域連携パスが注目を集めている。病院が本来求められている急性期医療などに集中するためにも、地域の診療所と連携し、患者が安心して地域のなかで治療を受ける体制を築くことが、今、強く求められている。本書では、連携パスをすでに導入して成果を挙げている先駆的施設における成功の秘訣を、わかりやすく解説している。
編集 岡田 晋吾
発行 2007年10月判型:A4頁:172
ISBN 978-4-260-00521-0
定価 4,400円 (本体4,000円+税)
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岡田 晋吾(編者)

 私は開業医になって3年,開業医ながらまだ急性期病院のお手伝いもしており,少し変わった立場から医療に関わっています.この3年間で医療は大きく変わりましたが,特にDPCの拡大,在宅医療重視,療養病床の削減という政策が強く打ち出されたことは医療にたずさわるものとして日々実感として感じています.しかし,我々医療者は単に政策に振り回されているわけにはいきません.目の前にいる患者さんやご家族をいかにサポートし,よりよい医療や介護を受けられるようにするか考えて行動しなければいけません.そのためには患者さんが必要としているすべての医療・介護を切れ目なく提供できる地域連携システムの構築が急務であり,しかも医療者が目標を共有できかつ医療の質を保証するシステムづくりが望まれていたわけです.そこで病院内で効果をあげてきたクリティカルパス(クリニカルパス,以下パス)が重要な地域連携ツールとして考えられました.
 2006年の診療報酬改定では,大腿骨頚部骨折の地域連携パス作成・運用に対して評価して点数がつけられるようになりました.今まで病院内で行われていた患者中心のチーム医療を地域連携に拡大したものであり,すばらしい考え方だと思います.これはもともと熊本地区で先進的に行われてきた活動が評価されたものですが,そもそも診療報酬を目的として活動されてきたわけではなく,目の前の患者さんのために地域の医療者が何とかしようとしてできたものだといえます.
 本書に紹介されているさまざまな疾患に関する地域連携パスも,決して診療報酬のためではなく,地域の住民はもとより医療・福祉関係者のための地域全体の活動がパスという形になって表われたものです.最近は我々医療者に対する風当たりが強くなってきていますが,日本全国至る所で地域連携パスづくりが始まっている現況を見聞きすると,わが国の医療・福祉関係者の熱い心意気を感じることができ,とても誇らしい気持ちになります.急性期病院の職員にはなじみの深いパスですが,今後は今までパスになじみの薄かった開業医,訪問看護師,そしてケアマネージャーも参加してこの地域連携パスの作成,運用に携っていかねばならないでしょう.そのような状況の中で,本書が各地域における地域連携パスづくりに少しでも役立つことができれば幸いです.
 最後にわが国のパスの発展の大きな推進力となった日本医療マネジメント学会,日本クリニカルパス学会の活動に敬意を払うとともに,今後の両学会のますますの発展を期待し,本書の序としたいと思います.なお,この本ではクリティカルパス,クリニカルパスという用語に関しては各著者の選択にお任せしていることをあらかじめお断りしておきます.
 2007年 8月

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1 はじめに
2 地域連携パスの意義
3 地域連携パス作成のポイント
4 連携パス作成のための地域ネットワーク作りの実際
5 疾患別地域連携パスの実際
 5-1) 大腿骨頚部骨折
 5-2) 糖尿病
 5-3) PEG(経皮内視鏡的胃瘻造設術)
 5-4) 乳がん
 5-5) 胃がん
 5-6) 肺がん
 5-7) 気管支喘息
 5-8) 脳卒中
 5-9) 心臓病
 5-10) 肝臓病
6 在宅・回復期病院での連携パス
 6-1) 在宅パス-在宅終末期医療・栄養管理・療養に向けての連携パス
 6-2) 地域連携パスへの回復期病院としてのかかわりとその現状・課題
7 地域連携パスにおける地域連携室の役割
索引

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診療ネットワーク作りに役立つ全国の連携パスを収載
書評者: 武藤 正樹 (国際医療福祉大学三田病院副院長・同大学院教授)
 本書を手に取ったときの最初の思いは,「きゃ~,岡田先生に先を越された~!」でした。地域連携クリティカルパス(以下,連携パス)については,われわれも全国の連携パスを集めて,書籍化をしようと思っていた矢先だったので,一歩先を越されたというのが率直な感想です。

 このように全国で,いま連携パスが注目の的です。というのも連携パスが,06年診療報酬改定において大腿骨近位部骨折で初めて報酬対象になったこと。そして08年診療報酬改定では脳卒中がその対象になることが決まったこと。さらに08年からはじまる新たな地域医療計画の中で,連携パスが疾患別の連携ツールとしてはっきりと明記されたことなどがブームの大きな背景でしょう。

 さて,本書には大腿骨近位部骨折,糖尿病,PEG,乳がん,胃がん,肺がん,気管支喘息,脳卒中,心臓病,肝臓病そして在宅におけるさまざまなパスの運用事例が載っていいます。どのパスも各地の連携に携わる関係者によって実際に作られた貴重なパスです。

 とくに本書のがんの連携パスが参考になりました。今,われわれは三田病院のある東京都港区で,がん連携パスを開業医の先生方と構築しようとしています。このために,まず診療所にがん連携に関するアンケート調査を実施しようと思っています。そして本書の中の事例を参考にして,港区がん連携パス研究会を08年には,立ち上げようと考えています。

 岡田先生,港区がん連携パス研究会の立ち上げのときには,記念講演会にお呼びしますので,ぜひ函館から東京に来てくださいね。

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