標準法医学・医事法 第6版
最新の知見・情報を盛り込んだ法医学のスタンダードテキスト改訂版。医事法についても詳説
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本書は「法医学」編として、生体の法医学、死体の法医学、ならびに物体検査に関する知識について、最新の知見を取り入れながらわかりやすく解説し、さらには「医事法」編として、医療をめぐる各種の問題について詳説している。付録として医事法、医療法、介護保険法など、最低限おさえておくべき法規も収載。
シリーズ | 標準医学 |
---|---|
編集 | 石津 日出雄 / 高津 光洋 |
編集協力 | 池田 典昭 |
発行 | 2006年09月判型:B5頁:468 |
ISBN | 978-4-260-00193-9 |
定価 | 6,490円 (本体5,900円+税) |
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序論 法医学・医事法の現在と将来
○第1編 法医学
第1章 生体に関する法医学
A 創傷の検査
B 性・妊娠・分娩に関する検査
C 遺伝標識
D 親子鑑定
E 濫用薬物
第2章 死体に関する法医学
1 突然死(内因性急死)
A 一般的事項
B 原因疾患と特徴
2 外因による死亡
A 外因による死亡(外因死)の概観
B 機械的損傷
C 異常温度・電気・放射線などによる障害と死亡
D 交通事故損傷
E 労働災害
F 窒息
G 嬰児殺
H 小児の虐待と放置による死亡
I 中毒
3 死体現象
4 個人識別
A 硬組織個人識別
B 皮膚紋理
C 検査物体のDNA解析
5 検案と解剖
第3章 物体検査
○第2編 医事法
A 医療と法
B 医師の権利と義務
C 限界的な医療-倫理的・法的・社会的問題を内包する医療行為
D 医療をめぐる法制度の概略
E 医療事故
付録 参考法規集
A 医師法
B 医療法
C 公法関係
D 刑事法関係
E 民事法関係
F 医療関係法規
索引
○第1編 法医学
第1章 生体に関する法医学
A 創傷の検査
B 性・妊娠・分娩に関する検査
C 遺伝標識
D 親子鑑定
E 濫用薬物
第2章 死体に関する法医学
1 突然死(内因性急死)
A 一般的事項
B 原因疾患と特徴
2 外因による死亡
A 外因による死亡(外因死)の概観
B 機械的損傷
C 異常温度・電気・放射線などによる障害と死亡
D 交通事故損傷
E 労働災害
F 窒息
G 嬰児殺
H 小児の虐待と放置による死亡
I 中毒
3 死体現象
4 個人識別
A 硬組織個人識別
B 皮膚紋理
C 検査物体のDNA解析
5 検案と解剖
第3章 物体検査
○第2編 医事法
A 医療と法
B 医師の権利と義務
C 限界的な医療-倫理的・法的・社会的問題を内包する医療行為
D 医療をめぐる法制度の概略
E 医療事故
付録 参考法規集
A 医師法
B 医療法
C 公法関係
D 刑事法関係
E 民事法関係
F 医療関係法規
索引
書評
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医療現場で必要な法医学の知識を収載
書評者: 近藤 稔和 (和歌山県立医大教授・法医学)
評者が医学生として法医学を学んでいた頃(決して熱心な学生ではなかった),法医学の教科書といえば限られたものだけで,その一つが「標準法医学・医事法」であった。また,当時は法医学に対する世間の認識も低いものであったが,この20年間,医師,医学生を対象とする専門書はもとより,一般の人を対象とした法医学に関する書物,小説,マンガ,さらにはテレビドラマが放映されるなど,法医学が幅広く認知されるようになったことは言うまでもない。このことはわれわれ法医学を専門とするものにとっては喜ばしいことではあるが,その反面,小説,マンガ,ドラマなどでは,法医学が事件解決のための唯一の手段であるかのように描かれすぎていると感じているのは,評者だけではないはずである。
法医学は,単なる基礎医学ではなく,臨床医学と同様に応用医学に大別され,法治国家においては必要不可欠な学問である。本書において「法医学とは法律上問題となる医学的事項を検査,研究し,それによって問題点を解明して,法的な解決に寄与することを目的とする医学である」と定義されるように,決して法医学は犯罪捜査のための一手段ではない。現代の医学・医療の場において,外因死,突然死や医療事故等,法医学が担う役割は,一昔前とは比較にならないほど大きくなっている。したがって,法医学の講義で,評者は学生に対して「どのような分野を専攻しようとも,医師である限りは法医学的知識を持つことは医師としての最低限のマナーである」と,常々言っている。そういう観点からみると,本書は「生体に関する法医学」と「死体に関する法医学」の章立てがあり,法医学が単に「死」を対象とする医学ではないことを示している。第5版が発行されてから6年の月日が経ち,第6版では各分野についての基礎知識から最新の知見にいたるまで網羅されていることはもちろんのこと,各項目の始めにあった「学習目標」に加えて「観察のポイント」または「検査のポイント」が新設され,それぞれの項目における重要な点がより明確にされている。さらに,欄外コラムとして「SIDE MEMO」も新設されるなど,学生にとって非常に親しみやすく,使いやすい教科書となっている。また,学生のみならず,研修医や臨床医にとっても,実際の医療現場で法医学の知識が必要となった時や,死亡診断書(死体検案書)の書き方に迷った時の助け船としても重宝するものと思われる。月並みではあるが,このように本書は,法医学については医学生,医師を問わず,必携の一冊である。
最後に本書を執筆された先生方のお名前を拝見するにつき,恐れ多くも書評を書いている自分にハタと気がついたところで,筆を置くこととする。
医師が知るべき法知識を網羅した座右の書
書評者: 吉田 謙一 (東大大学院教授・法医学)
『標準法医学・医事法 第6版』は,スタンダードな教科書の名に恥じない重厚さ,詳細さに加えて,法改正や社会情勢の変化をタイムリーに捉えて,医師が知るべき法知識を網羅した座右の書である。学生,臨床医に加えて,若手・ベテランを問わず法医学実務家必携の書でもある。
法医学は,解剖,検査,法的対応など多様な分野を網羅している。死因の種類も千差万別,一例一例異なった既往歴・素因,生活状況,受傷状況,治療経過を有する死体や生体に対して,正しい判断,適切かつ迅速な対応を求められる。医師はまた,死因の考え方を正しく理解し,死亡診断書や死体検案書に正しく記載しなければならない。これも法医学で学ぶべき領域である。今回,新たに加わった若手学者を加えて,法医学会を代表する気鋭の執筆陣が各々,得意の分野に持てる力を注ぎ込んで執筆したことが頁ごとに彷彿させられる。
詳細な記載に加えて,各執筆者の貴重な事例の写真が多数配されている。また,単なる図解に留まらず,血液型・親子鑑定の理論を理解するのに助けになる図や表,そして,頭部外傷,窒息,ショック等の病態を理解するために工夫されたフローチャート等,法医学実務家にとってもありがたい内容である。加えて,「観察のポイント」「検査のポイント」は,臨床医が現場で注意すべきポイントであるとともに,実務家が自らの実務内容を再チェックする際,極めて有用な確認リストとなる。反面,学生にとっては難しすぎる,詳しすぎる向きもあり,事例を挙げた解説的な記載があってもよいという気もする。
医事法に2割のページを割いている点も,法医学の教科書にあっては特異である。医師法など定型的な内容に留まらず,医療法・福祉関連法,そして,生命倫理の知識と適用を要する最新の医療に対応する部分に頁を割いている。序論に,法医学とは「法律上問題となる医学的事項を検査,研究し,それによって問題点を解明して,法的な解決に寄与することを目的とする学問である。……一般臨床医は,疾病予防などの医療行政上のみでなく,司法分野に関わる役割を担っており,適切な判断,決定,実際の行動を課せられている」と書かれており,臨床医が法医学的知識と思考法を持つことの重要性が強調されている。
これまで,刑事・司法的な側面のみが法医学の領域と考えられてきた。しかし法医学には,もっと広い視点が求められる時代を迎えている。医療事故においても,単に死因を決定し,医師の法的責任を判断することに留まらず,事故の再発予防,補償,関係者の人権擁護を図る方策が求められるようになってきた。その他,労災,虐待,中毒,自殺など,法医が日常対応している事例から学び,社会に方策を提言していくことが求められている。『標準法医学・医事法 第6版』は,そのような問題を満載した啓発書でもある。
書評者: 近藤 稔和 (和歌山県立医大教授・法医学)
評者が医学生として法医学を学んでいた頃(決して熱心な学生ではなかった),法医学の教科書といえば限られたものだけで,その一つが「標準法医学・医事法」であった。また,当時は法医学に対する世間の認識も低いものであったが,この20年間,医師,医学生を対象とする専門書はもとより,一般の人を対象とした法医学に関する書物,小説,マンガ,さらにはテレビドラマが放映されるなど,法医学が幅広く認知されるようになったことは言うまでもない。このことはわれわれ法医学を専門とするものにとっては喜ばしいことではあるが,その反面,小説,マンガ,ドラマなどでは,法医学が事件解決のための唯一の手段であるかのように描かれすぎていると感じているのは,評者だけではないはずである。
法医学は,単なる基礎医学ではなく,臨床医学と同様に応用医学に大別され,法治国家においては必要不可欠な学問である。本書において「法医学とは法律上問題となる医学的事項を検査,研究し,それによって問題点を解明して,法的な解決に寄与することを目的とする医学である」と定義されるように,決して法医学は犯罪捜査のための一手段ではない。現代の医学・医療の場において,外因死,突然死や医療事故等,法医学が担う役割は,一昔前とは比較にならないほど大きくなっている。したがって,法医学の講義で,評者は学生に対して「どのような分野を専攻しようとも,医師である限りは法医学的知識を持つことは医師としての最低限のマナーである」と,常々言っている。そういう観点からみると,本書は「生体に関する法医学」と「死体に関する法医学」の章立てがあり,法医学が単に「死」を対象とする医学ではないことを示している。第5版が発行されてから6年の月日が経ち,第6版では各分野についての基礎知識から最新の知見にいたるまで網羅されていることはもちろんのこと,各項目の始めにあった「学習目標」に加えて「観察のポイント」または「検査のポイント」が新設され,それぞれの項目における重要な点がより明確にされている。さらに,欄外コラムとして「SIDE MEMO」も新設されるなど,学生にとって非常に親しみやすく,使いやすい教科書となっている。また,学生のみならず,研修医や臨床医にとっても,実際の医療現場で法医学の知識が必要となった時や,死亡診断書(死体検案書)の書き方に迷った時の助け船としても重宝するものと思われる。月並みではあるが,このように本書は,法医学については医学生,医師を問わず,必携の一冊である。
最後に本書を執筆された先生方のお名前を拝見するにつき,恐れ多くも書評を書いている自分にハタと気がついたところで,筆を置くこととする。
医師が知るべき法知識を網羅した座右の書
書評者: 吉田 謙一 (東大大学院教授・法医学)
『標準法医学・医事法 第6版』は,スタンダードな教科書の名に恥じない重厚さ,詳細さに加えて,法改正や社会情勢の変化をタイムリーに捉えて,医師が知るべき法知識を網羅した座右の書である。学生,臨床医に加えて,若手・ベテランを問わず法医学実務家必携の書でもある。
法医学は,解剖,検査,法的対応など多様な分野を網羅している。死因の種類も千差万別,一例一例異なった既往歴・素因,生活状況,受傷状況,治療経過を有する死体や生体に対して,正しい判断,適切かつ迅速な対応を求められる。医師はまた,死因の考え方を正しく理解し,死亡診断書や死体検案書に正しく記載しなければならない。これも法医学で学ぶべき領域である。今回,新たに加わった若手学者を加えて,法医学会を代表する気鋭の執筆陣が各々,得意の分野に持てる力を注ぎ込んで執筆したことが頁ごとに彷彿させられる。
詳細な記載に加えて,各執筆者の貴重な事例の写真が多数配されている。また,単なる図解に留まらず,血液型・親子鑑定の理論を理解するのに助けになる図や表,そして,頭部外傷,窒息,ショック等の病態を理解するために工夫されたフローチャート等,法医学実務家にとってもありがたい内容である。加えて,「観察のポイント」「検査のポイント」は,臨床医が現場で注意すべきポイントであるとともに,実務家が自らの実務内容を再チェックする際,極めて有用な確認リストとなる。反面,学生にとっては難しすぎる,詳しすぎる向きもあり,事例を挙げた解説的な記載があってもよいという気もする。
医事法に2割のページを割いている点も,法医学の教科書にあっては特異である。医師法など定型的な内容に留まらず,医療法・福祉関連法,そして,生命倫理の知識と適用を要する最新の医療に対応する部分に頁を割いている。序論に,法医学とは「法律上問題となる医学的事項を検査,研究し,それによって問題点を解明して,法的な解決に寄与することを目的とする学問である。……一般臨床医は,疾病予防などの医療行政上のみでなく,司法分野に関わる役割を担っており,適切な判断,決定,実際の行動を課せられている」と書かれており,臨床医が法医学的知識と思考法を持つことの重要性が強調されている。
これまで,刑事・司法的な側面のみが法医学の領域と考えられてきた。しかし法医学には,もっと広い視点が求められる時代を迎えている。医療事故においても,単に死因を決定し,医師の法的責任を判断することに留まらず,事故の再発予防,補償,関係者の人権擁護を図る方策が求められるようになってきた。その他,労災,虐待,中毒,自殺など,法医が日常対応している事例から学び,社会に方策を提言していくことが求められている。『標準法医学・医事法 第6版』は,そのような問題を満載した啓発書でもある。
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