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動画で学ぶ脳卒中のリハビリテーション [ハイブリッドCD-ROM付]

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脳卒中のリハビリテーションについて、典型的な症状やよく起こる問題をピックアップし、CD-ROMに収載されている動画を中心に音声や写真を豊富に用いて、初学者にも目で見てすぐ理解できるように工夫されている。画期的なリハプログラムであるFITプログラムを実践している藤田保健衛生大学七栗サナトリウムのスタッフによって「動き」の医療であるリハビリテーションのエッセンスが凝縮された1冊。
編集 園田 茂
発行 2005年06月判型:B5頁:90
ISBN 978-4-260-00079-6
定価 5,170円 (本体4,700円+税)
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序章 この本の活用法
 1. 特徴,使用方法
 2. 内容の特色
第1章 症状・評価
 1. 典型的な障害像
 2. 国際生活機能分類(国際障害分類)
 3. 機能障害の評価(身体)
 4. 機能障害の評価(認知)
 5. 機能障害の評価(構音・摂食・嚥下)
 6. 機能障害の総合評価
 7. 歩行障害の評価
 8. 日常生活活動(動作)(ADL)
 9. その他の評価
第2章 運動学習
第3章 治療
 1. 早期リハビリテーション
 2. 関節可動域訓練(ROM訓練)
 3. 非麻痺側中心の訓練
 4. 麻痺側の訓練
 5. 痙縮のコントロール
 6. ADL訓練
 7. 歩行訓練
 8. 認知訓練
 9. 失語症,構音障害,嚥下障害の治療
付表
索引

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臨床スキルの習得・向上のための強力な味方が登場
書評者: 里宇 明元 (慶大教授・リハビリテーション医学)
 あのFIT(Full―time Integrated Treatment)プログラムという画期的な集中的・高密度リハビリテーションプログラムを提唱・実践し,世界をあっと驚かせた藤田保健衛生大学七栗サナトリウムのグループから,また,挑戦的なプロダクトが世に送り出された。選りすぐられた動画をふんだんに活用して,運動麻痺,歩行障害など日常臨床でよく経験する重要な症状や問題が一目で理解できるように工夫された,新世代の脳卒中リハビリテーションテキストの登場である。失語症や構音障害のパートでは音声も入れられており,まさに五感を総動員して脳卒中リハビリテーションの基本的スキルを「身につける」ためのガイドブックである。

 初学者を対象にしているようであるが,実に多数の「一目でわかる」動画が要を得た解説とともに収録されており,ある程度経験を積んだリハビリテーションスタッフにとっても,「今さら恥ずかしくて人に聞けない」不確かな知識を再確認・整理するうえで大変有用な構成になっている。

 CD―ROMをパソコンに入れ,クリックすると見慣れたWebブラウザーが立ち上がり,本文の目次,動画の目次,そして索引という3つのメインメニューが現れる。症状・評価,運動学習,治療の大項目のもとに,脳卒中のリハビリテーションに関する重要なトピックスが体系的に整理されており,本文の目次にしたがって読んでいくと,ネットサーフィンをしているような感覚で基本的な知識を身につけることができる。本文を読みながら「動画」をクリックすると,まさに「動かす」ことが可能であり,瞬時に言わんとすることが理解できる。「百聞は一見にしかず」である。

 ただ,本書の本当の素晴らしさを実感したかったら,本文の目次よりも動画目次を思いつくままにクリックし,ぱっと飛び出す映像をまず目に焼き付けることをお薦めする。実地臨床では,細かいことをあれこれと考える前に,まずしっかりと現象を「見る」,「聞く」ことが出発点になる。自分が「みた」映像を何と表現したらいいのか,また,それが何を意味しているのか知りたくなったら,おもむろに解説の項をクリックして拾い読みすればよい。繰り返し見たり聞いたりしているうちに,いつの間にか多くの患者さんを実際に診たような気分になり,臨床の「腕」があがったような錯覚を覚えるかもしれない。「見る目を養う」うえで,本書は格好の素材を提供してくれるであろう。このように教育的な映像を多数集められ,わかりやすく系統的に整理された編集の園田先生をはじめとする七栗のスタッフに心から敬意を表したい。

 ひとつ注文させていただくとすれば,動画を再生したときに本文の該当項目のエッセンスが音声で解説されるようになっていればよりよかったかもしれない。評者のように面倒くさがりの人間にとって,また忙しい臨床家にとって,大きな福音となったであろう。さらに,個々の動画を個別に再生するだけでなく,一連のテーマに関係する画像をあたかも映画をみるようにワンクリックで続けて再生できれば楽しみが増すかもしれない。

 勝手なことを言わせていただいたが,昔からコンピュータには疎い評者がああしたい,こうしたいと無理難題を言うと,翌日にはあざやかに解決してあっと驚かせてくださった園田先生のこと,読者からの建設的なフィードバックがあれば,近い将来,あっと驚くバージョンアップがなされるかもしれない。今から楽しみである。
専門職間の理解も深まる脳卒中リハの案内書
書評者: 岩崎 テル子 (新潟医療福祉大教授・作業療法学)
 評者の所属する作業療法学科の何人かの学生とともに本書のCD-ROMを見た。4年次の実習を終えた学生は動画の1つひとつに納得し,「そうそう,腕がこんなふうに垂れ下がって動かないのよ」と言い,評価実習直前の3年生は「どうして右手と左手の長さがこんなに違うの」と問う。4年生はあれこれ原因を挙げるが確信が持てないようだ。本文には弛緩性麻痺との記載がある。そこで教師である評者は,「筋がまったく麻痺して動かない患者さんが,3kgもある腕をぶら下げたままこの動画のように立ったり座ったり,場合によっては伝い歩きなどしたら,肩関節はどうなるのか」と問う。4年生は「亜脱臼だ」と口々に言う。かくして評者も学生らも動画につられ,しばし時間を忘れて議論しながら見終わった。本書のCD-ROMでは,目次や索引から見たい項目を即座に,かつ自由に見ることができる。このことも学生をはじめとした若い人の興味を引き付ける要因であろう。

 また,言語聴覚学科以外の学生にとって,普段見ることのできない摂食嚥下の評価と治療は特に興味深い。VF検査の場面では作業療法学科の学生は嘆声を上げ,繰り返し見直して誤嚥のメカニズムを理解したようだ。嚥下造影の手順やVF評価法,重症度分類も大変参考になる。このように,本書は脳卒中のリハビリテーションに関わる専門職が互いの仕事を理解するためのよい案内書でもある。

 本書は3章から成り,1章の症状・評価と3章の治療の間に運動学習の章がある。障害度に応じた方法を用いて,上達度に応じた訓練量を課し,正常動作を自覚させるフィードバックを繰り返すことが強調され,指導のタイミングも説明されている。全編に優れた臨床家の目が光る。また,脳卒中の回復期リハビリテーションの基本編であると述べられているとおり,臨床での勘所がしっかりと押さえられている。

 本書では,CD-ROMの動画に音声がついているのは言語の場面が中心で,ほとんどの動画は説明文と照らし合わせる必要がある。説明文は端的に述べられており,また専門用語が多いので,脳卒中のリハビリテーションの基本的知識が必要であろう。「すべての動画に音声を入れて!」と思わず声が出そうになるが,これは編者である園田氏の密かな企みではないか。90頁という見やすく,かつ手頃な動画付き解説書に読者が引かれ,脳卒中について自主的に深く広く勉強することを期待して編集されたに違いない。そうであればその意図は十分達成されている。

動画が理解を深める脳卒中リハの入門書
書評者: 岡島 康友 (杏林大教授・リハビリテーション医学)
 FIT(Full―time Integrated Treatment)プログラムで有名な藤田保健衛生大学七栗サナトリウムのスタッフによって作られた脳卒中リハビリテーションの入門書である。ハイブリッドCD―ROMが添付されており,本文とともに動画,写真,表など見たいものをクリックすると詳細を見ることができるようになっている。流行の動画付きのインターネット・ホームページを見ているような感覚で読める本である。したがって,パソコンなくしては真価を発揮できない本ともいえる。なお,本書を編集された園田茂氏は昔からリハビリテーション医学に関するホームページを多く手掛けられており,本書にもそのセンスのよさが反映されている。

 本書は,「第1章 症状・評価」,「第2章 運動学習」,「第3章 治療」から構成されている。第1章では,麻痺,痙縮,感覚障害,肩手症候群,半側空間失認,失語,嚥下障害,歩行,ADLについて,何が評価のポイントとなるかが簡便に示されている。片麻痺の連合運動,共同運動,痙縮と歩容の関連など,動画を見ると一目瞭然に理解できる。これぞ動画の効用といえよう。なお,嚥下障害については嚥下造影やその評価チャートも挙げられており,特に力を入れているように見受けられる。

 第2章では,長下肢装具立位・歩行の問題を例に運動学習について解説している。運動学習はリハビリテーションの根幹をなす課題であり,リハビリテーション従事者として最低限知っていなければならないことを示したものと思われる。短い構成ではあるが編者のリハビリテーション哲学を感じさせる章である。第3章は,本書のタイトルでもある脳卒中リハビリテーションの実際である。早期リハビリテーションにおける座位開始の時期の問題,関節可動域訓練上の注意,促通や強制使用(constraint―induced therapy)を含めた麻痺回復手技,痙縮に対するフェノールによるモーターポイントブロック,下肢装具選定と歩行訓練,失語症・構音障害の訓練,摂食・嚥下障害訓練など,オーソドックスな内容から構成されている。特に装具による歩行改善に力点が置かれていて,歩行に関する動画の構成は素晴らしい。

 藤田保健衛生大学七栗サナトリウムではリハビリテーション界をリードする新しい試みがなされていることは周知であるが,本書では敢えて堅実な内容に限っている。脳卒中リハビリテーションに対する真摯な姿勢を垣間見ることのできる書である。脳卒中診療に携わる脳外科医,神経内科医,看護師,またPT,OT,STなどコメディカルの学生にも使える脳卒中リハビリテーションの入門書として推薦する。

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