看護カンファレンス 第3版

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看護現場で数多く経験するカンファレンスとは何か、その目的と具体的方策を理解しておくことは臨床ナースはもちろん、臨床実習を前にした看護学生にも重要である。忙しい臨床でよりよい看護を提供しつづけるために、カンファレンスをいかに効果的に運営し、参加すべきかを解説。学生、教員、臨床実習指導者、師長それぞれにとっての看護カンファレンスの要点が具体的に理解できる1冊。
川島 みどり / 杉野 元子
発行 2008年11月判型:B5頁:184
ISBN 978-4-260-00654-5
定価 2,090円 (本体1,900円+税)

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第3版 序

 本書は初版から数えて24年,第2版からは14年を経ているといい,息長く本書を活用していただいたことへの感謝の気持ちでいっぱいである。初版時に新人だった方たちは,病院では看護管理の中枢で活躍されているだろうし,第2版の頃の新人は,押しも押されもしないエキスパートとしてご活躍のことと想像する。
 その間,看護を取り巻く環境の変化は一段と加速していることは,誰しも認めることだろう。とりわけ,人口の高齢化,疾病の重症化,そして医療技術の高度化,入院期間の短縮化は,病院の日々の看護業務ばかりではなく,在宅看護のありように影響を及ぼしている。プライマリナーシングの普及やクリティカルパスの導入なども,従来のカンファレンスの形を変える要因にもなっているようだ。また,IT化によって,正確な情報がすみやかに得られるシステムの確立・普及も,近年の医療現場の特記すべき変化である。このように,効率性という面では格段の進歩を認める一方,看護現場の様相は,かってない高速過密回転の状況になっていることも再三指摘されている。何よりも,当の看護師らが最も実感していることだろう。そうした状況にあるからこそ,チーム内の意思統一を図る看護カンファレンスの意義はますます重要であると思う。
 第1版では,看護レベルの向上とよりよい看護の実践を行うことをめざして,日課として定着している看護カンファレンスを有効に機能させるための具体的な方策と,カンファレンスの成功は職場の活性化に通じることを強調した。第2版では,深刻化する看護ヒューマンパワー不足を反映した職場環境を念頭に,限られた時間内で上手にカンファレンスを運営するにはどうすればよいかということについて,いっそう具体的な運営手法を述べた。また,職位や立場別のカンファレンス成功の要点についての加筆を行った。今回の改訂では,どのような看護提供方式であっても,「よりよい看護実践を行うためのスタッフ間の意思統一の重要性はいささかも変わらない」との初版以来の考え方を踏襲しながら,第2版当時にも増して変化した職場環境を念頭に,加筆修正を行った。しかし,患者に目を向けたよりよい看護実践への,一貫して変わらぬ看護師の思いは,初版時に協力いただいたありのままのカンファレンスの記録にも現れていて,今回もそのまま提示させていただいた。他の事例などをみても,真実は年月を経て迫力があり,看護の本質は変わらぬことを再確認した次第である。
 激化する環境の変化があっても,患者中心の思想を堅持して,年齢や疾患にかかわりなく,その人の個別性を尊重したケアを実践するという基本を,今後も忘れないようにしたい。よりよい看護実践の核ともなる,質の高いカンファレンスの定着をめざすうえで,本書がお役に立てれば幸甚である。
 関西と東京に距離を隔てていても,いつもツーカーで意思の疎通のできる関係を維持しながらの共著が,3度までも実現したことを心から喜びたい。最後に,医学書院看護出版部の品田暁子さんに心から感謝申し上げる。

 2008年晩秋
 川島みどり

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第3版 序
第2版 序
初版 序

第1章 看護におけるカンファレンス
 1.看護提供方式と看護カンファレンス―主体的に参加し実践するために
 2.看護カンファレンスの種類
 3.カンファレンスにみる問題点
 4.カンファレンスの必要性
 5.カンファレンスの目的
 6.看護過程とカンファレンス
 7.看護記録とカンファレンス
 8.申し送りとカンファレンス
 9.ウォーキングカンファレンス
 10.ケースカンファレンスの実際
 11.カンファレンスと職場の活性化

第2章 カンファレンスの基本要素
 1.必須の道具としてのカンファレンス
 2.カンファレンスの4つの要素
 3.議題を明確にする
 4.参加者の役割を果たす
 5.まずよく聞く努力を
 6.意見が対立するとき,どうする?
 7.自由な雰囲気をつくる
 8.司会の技術を身につける

第3章 カンファレンスの運営
 1.カンファレンスの種類
 2.司会の技術―(1)目的を明確にし,準備をする
 3.司会の技術―(2)雰囲気を盛り上げる手立て
 4.司会の技術―(3)感情をキャッチして討論を展開していく
 5.記録の技術
 6.運営の実際―忙しい,参加者が集まりにくい病棟での工夫

第4章 カンファレンスの選択
 1.目的に合ったカンファレンスの方法を選ぶ
 2.看護チームの特性によって違うカンファレンスのもち方
 3.ウォーキングカンファレンスのいろいろ
 4.クリティカルパスの「項目」を活用したカンファレンス
 5.カンファレンス記録の工夫

第5章 学生のためのカンファレンスの要点
 1.カンファレンスが上手になるコツ―十分な準備と発言
 2.議題を明確にしよう
 3.計画的に進めよう
 4.積極的に参加しよう
 5.いつでもどこでもの精神で
 6.司会をしてみよう
 7.カンファレンスをする際,心がけること

第6章 臨床指導者・教員のためのカンファレンスの要点
 1.学生カンファレンスの目的
 2.実習グループのプロセスにかかわる指導者の役割
 3.指導者の参加の仕方
 4.沈黙のタイプと対策
 5.カンファレンス導入のヒント
 6.臨床実習カンファレンスの進め方
 7.カンファレンスのなかでロールプレイングを使う
 8.学生,臨床指導者,教員の合同研修の効果
 9.カンファレンス技術の上達を

第7章 師長のためのカンファレンスの要点
 1.会議の目的を明確に
 2.師長会の運営
 3.看護部長の役割をチェック
 4.師長会の新しいスタイル
 5.委員会活動の機能を見直そう
 6.質の高い委員会活動のために

公開討論のいろいろ
あとがき

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