ヒヤリ・ハット11,000事例による
エラーマップ完全本
医療事故対策にこの1冊!
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本書は著者が3年を費やして完成させた,看護のヒヤリ・ハット11,000事例を整理したエラーマップとその解説からなる。11,000事例の「事実」の整理により,エラーとその要因が施設を超えて共通していることが明らかになった。この事実を共有することが,有効な事故対策の第一歩となるだろう。
著 | 川村 治子 |
---|---|
発行 | 2003年07月判型:A4頁:132 |
ISBN | 978-4-260-33289-7 |
定価 | 3,080円 (本体2,800円+税) |
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目次
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序 事例収集からエラーマップ作成まで
I 診療の補助業務におけるエラー発生要因と対策
注射
内服与薬
チューブ類の管理
輸血
検査関連
手術看護
人工呼吸器,医療ガス
II 療養上の世話におけるヒヤリ・ハット事象発生要因と対策
転倒・転落
経管栄養
経管栄養以外の食事
摂食中の窒息・誤嚥
異食・誤飲
入浴
熱傷・凍傷
自殺・自傷
暴力
盗難
III そのほかのヒヤリ・ハット事象発生状況と対策
病態評価
情報の記録・連絡
説明・接遇
あとがき
さくいん
I 診療の補助業務におけるエラー発生要因と対策
注射
内服与薬
チューブ類の管理
輸血
検査関連
手術看護
人工呼吸器,医療ガス
II 療養上の世話におけるヒヤリ・ハット事象発生要因と対策
転倒・転落
経管栄養
経管栄養以外の食事
摂食中の窒息・誤嚥
異食・誤飲
入浴
熱傷・凍傷
自殺・自傷
暴力
盗難
III そのほかのヒヤリ・ハット事象発生状況と対策
病態評価
情報の記録・連絡
説明・接遇
あとがき
さくいん
書評
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事故防止に心強い味方となる一冊
書評者: 宮本 敦史 (大阪大学大学院病態制御外科学/前厚生労働省医療安全推進室)
医療を取り巻く環境は,この数年間で大きく変化してきた。特に,医療事故をめぐっては,多くの事例が報道され,社会の信頼が揺らぎかねない状況に陥っている。
かつて医療界では,「事故は起こらないもの」,あるいは,「事故は起こした当事者の問題」という意識があった。しかしながら,単に当事者の問題として片付けるのではなく,すべての関係者が共同で問題点の解決に当たる必要があるとの認識が広がりつつある。そのような状況の中,医療機関におけるリスクマネジメントの一環として,ヒヤリ・ハット事例の収集も盛んに行なわれるようになったが,一方で,「事例は集まったが分析が進まない」という声をよく耳にする。
◆現場に即した分析方法
事例分析の手法としては,発生頻度などをみる定量的分析と,個々の事例を深く掘り下げて原因を追及する定性的分析が考えられるが,それぞれに一長一短がある。すなわち,定量的分析では全体的な傾向が把握できるかわりに詳細な要因分析ができない,一方,定性的分析のみでは全体が見えてこない。
本書における11,000事例の分析では,個々の事例を掘り下げたうえで,さらに,それらを類型化することによって全体を鳥瞰することが可能となっており,まさに両者の長所を取り入れたものであると言えよう。この手法によって,全体的な傾向を把握したうえでそれぞれの事象の原因を把握することが可能となっている。特に,発生頻度が高い内服薬・注射薬に関連した事例や転倒・転落に関連した事例に関しては,事例の整理方法から詳細に説明されており,読者が実際の事例を分析していくうえでも大いに参考になるであろう。
◆すぐに使える事例集
一般に,事故はいくつかの事象が連鎖し,複数の要因が重なることによって発生すると考えられるため,同じ内容の事例について,各々の要因を分析した結果を集めてみると,どの事例にも共通した要因が見えてくる可能性がある。例えば,「誤嚥」に関する項目をみると,パンによる窒息が多いことが示されている。ある施設においてパンを誤嚥するという事例が発生しても,単にその事例のみではパンが誤嚥の危険性の高い食品であると認識することは困難であるが,多くの事例を収集することによって同様の事例が多数発生していることがわかれば,パンを危険な食品として認識することが可能になる。これが多数の事例を収集・分析することの重要性のひとつである。
本書では,11,000にも及ぶ事例の分析により,さまざまな場面で発生する事例がパターン化され,どのような要因でどのような事例が発生するかを認識することが可能となっている。さらに,単に要因分析に止まらず,各々の事例に対する対策まで検討されている点が本書の特徴である。現実に即した内容となっており,すぐにでも実際の医療現場での事故防止対策に活用できるものと思われる。
また,事例の発生場面,発生要因および対策が項目別に整理されており,事故防止対策への活用のみならず,新人職員等への教育用ツールとしての利用価値も高いであろう。
◆事故予防のために
個々の医療機関でのヒヤリ・ハット事例の分析は重要であるが,それ自体は問題が発生したことに対するreactiveな対応である。一方,多数の事例の分析に基づいてパターン化された内容を知ることにより,事例が発生する前にproactiveに対応することが可能となる。事故予防の観点からみれば,これは一歩進んだ段階と考えることができる。このようなproactiveな対応,一歩進んだ対応を取るにあたり,本書は大いに参考となるであろう。
書評者: 宮本 敦史 (大阪大学大学院病態制御外科学/前厚生労働省医療安全推進室)
医療を取り巻く環境は,この数年間で大きく変化してきた。特に,医療事故をめぐっては,多くの事例が報道され,社会の信頼が揺らぎかねない状況に陥っている。
かつて医療界では,「事故は起こらないもの」,あるいは,「事故は起こした当事者の問題」という意識があった。しかしながら,単に当事者の問題として片付けるのではなく,すべての関係者が共同で問題点の解決に当たる必要があるとの認識が広がりつつある。そのような状況の中,医療機関におけるリスクマネジメントの一環として,ヒヤリ・ハット事例の収集も盛んに行なわれるようになったが,一方で,「事例は集まったが分析が進まない」という声をよく耳にする。
◆現場に即した分析方法
事例分析の手法としては,発生頻度などをみる定量的分析と,個々の事例を深く掘り下げて原因を追及する定性的分析が考えられるが,それぞれに一長一短がある。すなわち,定量的分析では全体的な傾向が把握できるかわりに詳細な要因分析ができない,一方,定性的分析のみでは全体が見えてこない。
本書における11,000事例の分析では,個々の事例を掘り下げたうえで,さらに,それらを類型化することによって全体を鳥瞰することが可能となっており,まさに両者の長所を取り入れたものであると言えよう。この手法によって,全体的な傾向を把握したうえでそれぞれの事象の原因を把握することが可能となっている。特に,発生頻度が高い内服薬・注射薬に関連した事例や転倒・転落に関連した事例に関しては,事例の整理方法から詳細に説明されており,読者が実際の事例を分析していくうえでも大いに参考になるであろう。
◆すぐに使える事例集
一般に,事故はいくつかの事象が連鎖し,複数の要因が重なることによって発生すると考えられるため,同じ内容の事例について,各々の要因を分析した結果を集めてみると,どの事例にも共通した要因が見えてくる可能性がある。例えば,「誤嚥」に関する項目をみると,パンによる窒息が多いことが示されている。ある施設においてパンを誤嚥するという事例が発生しても,単にその事例のみではパンが誤嚥の危険性の高い食品であると認識することは困難であるが,多くの事例を収集することによって同様の事例が多数発生していることがわかれば,パンを危険な食品として認識することが可能になる。これが多数の事例を収集・分析することの重要性のひとつである。
本書では,11,000にも及ぶ事例の分析により,さまざまな場面で発生する事例がパターン化され,どのような要因でどのような事例が発生するかを認識することが可能となっている。さらに,単に要因分析に止まらず,各々の事例に対する対策まで検討されている点が本書の特徴である。現実に即した内容となっており,すぐにでも実際の医療現場での事故防止対策に活用できるものと思われる。
また,事例の発生場面,発生要因および対策が項目別に整理されており,事故防止対策への活用のみならず,新人職員等への教育用ツールとしての利用価値も高いであろう。
◆事故予防のために
個々の医療機関でのヒヤリ・ハット事例の分析は重要であるが,それ自体は問題が発生したことに対するreactiveな対応である。一方,多数の事例の分析に基づいてパターン化された内容を知ることにより,事例が発生する前にproactiveに対応することが可能となる。事故予防の観点からみれば,これは一歩進んだ段階と考えることができる。このようなproactiveな対応,一歩進んだ対応を取るにあたり,本書は大いに参考となるであろう。
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