医療従事者のための眼科学

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眼科医会が養成しているOMA(ophthalmic medical assistant)のための教科書。『眼科検査のすすめ方』(医学書院刊)を元に、新たな構想で作り直した決定版。OMAの仕事を進める上で必要・十分な知識に加えて、眼科診療に携わる上で知っておくべき最低限の事項を解説。図は大きく配置し、2色刷りのビジュアルな作りの1冊。
監修 日本眼科医会
井上 治郎 / 渡辺 好政 / 久保田 伸枝 / 湖崎 克
発行 2001年01月判型:B5頁:208
ISBN 978-4-260-13770-6
定価 3,520円 (本体3,200円+税)

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  • 目次
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1 眼科医療従事者とその心がまえ
2 眼科の受付と問診
3 視器の構造
4 光学の基礎
5 視機能とその異常
6 屈折・調節とその異常
7 眼科薬理学
8 眼疾患
9 予備検査
10 屈折調節検査
11 眼鏡とコンタクトレンズ
12 その他の主な検査
13 視覚障害者の指導

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コメディカルのための現場で役立つ眼科学ハンドブック
書評者: 矢部 比呂夫 (東邦大大橋病院助教授・眼科学)
◆眼科医療を支えるコメディカル

 近年,眼科医療が以前のような結膜炎などの診療と処置を中心としたレッドアイクリニックから,多彩な検査を必要とする高度なホワイトアイクリニックへと診療形態が近代化してきた。それに伴い,医師と看護婦のみでは十分に日常の眼科診療が行なえなくなり,両者と一緒になって働くコメディカルの需要が急速に増大してきた。本書は「医療従事者のための」と銘打っているが,「眼科医療従事者」とは看護婦,視能訓練士ORT(orthoptist),そして日本眼科医会の各支部で講習会と全国統一の試験を実施して合格証を出しているOMA(ophthalmic medical assistant)と,その予備軍の医療従事者を意味する。
 国家試験をパスした国家資格を有するORTは,1999年までで合計3,613名であるのに対し,正式な国家資格ではないもののOMAは,1999年までで合格者3万9027名という多勢であり,OMAが実際の日本の眼科医療を支えていると言っても過言ではない現実がある。したがって,OMAが常に勉強して最新の知識を得ようとすることは,日本の眼科医療の向上に直結する。
 本書はそのようなOMAのための眼科学ハンドブックであり,また,OMA受験をめざす方々の自宅学習と講習のための参考書でもある。執筆陣は井上治郎,渡辺好政,湖崎克,久保田伸枝と日本眼科学会を代表する豪華な顔ぶれであり,最新の知識までを踏まえて眼科診療に必要な事項が記述してあるので,日常の診療での疑問点を即座に調べたり,通読により知識を整理する上で非常に有用である。
 医学雑誌などから最近の高度に専門化した眼科学の知識は得ることはできるが,実際の診療の現場において役立つのは整理された系統的な知識であり,断片的な知識は用を成さない。その点,本書は決して最先端の知識とは言えないものの,押さえるべき知識を整理してあるので,第1頁から最終頁まで通読することをお奨めする。

◆患者と円滑な関係の構築をめざす

 特に第1章では眼科医療従事者に望まれる基本的な挨拶,言葉遣い,身だしなみ,患者への態度などを事細かに記載してある。これらは本来,指導すべき医師が日頃,感じていてもなかなか言えない点でもある。医師国家試験をパスした若い医師を例にとっても,手術などのスキルの習得には熱心であるが,挨拶などのマナーができないがために,患者との信頼関係を構築できないケースが少なくない。このような日常の基本事項を遵守することは,患者と医療従事者の円滑な関係の第一歩であることを思いしらされる。
 また,眼科薬理学の章では,最近目まぐるしく発売された各種抗緑内障薬についても,最新の点眼薬まで詳細に記載されており非常に有用である。
 本書の価格設定は非常に低くおさえられており,眼科医療機関で働く従業員のみならず,広く若い眼科医にも購読をお奨めしたい1冊である。

なお一層充実した日本の眼科医療のために
書評者: 馬詰 良比古 (馬詰眼科)
 近年,眼科医療の進歩にはめざましいものがある。われわれ眼科専門医が日々の研鑽を積むことは当然であるが,その進歩を多くの患者さんの幸福につなげるためには,眼科医療従事者すべての,たゆまぬ努力が必要である。

◆眼科研修医にも必要な項目

 しかしながら,新しい医療技術に目を向けるあまり,基本的な知識・技術を軽視することはないだろうか。本書はわれわれ眼科医とともに眼科医療に従事するOMA(Ophthalmic Medical Assistant),ORT(視能訓練士),看護婦を対象としたものだが,眼科医自身にも熟読をお勧めする。それによって現在行なわれている診療を改革することが可能となるであろう。今何が眼科医療従事者に求められているのか,必要最小限度の知識を得ることができる。
 眼科医療従事者とその心がまえ,受付と問診の項では,医療管理者が自らその手本を示し,従事者を指導・教育すべき事柄が述べられている。とかく忘れがちなことである。特に経験の少ない眼科研修医には学んでもらいたい項目である。後の項目は眼科としての基本的な視器の構造,検査,疾患などであるが,これらの項を十分に理解した医療従事者がわれわれ眼科医の仕事を補助してくれたならば,心強い限りである。
 本書を眼科医とその医療従事者が共有する知識の基本書として活用されたならば,日本の眼科医療のなお一層の充実を望めるであろう。
 最後に,執筆された4氏のご苦労に心より感謝するものである。そして1978年以来医療従事者教育の充実を図り,多くの講習会などを主催されてきた,日本眼科医会,地方眼科医会の今後の活躍に期待する。

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