健康行動と健康教育
理論,研究,実践

もっと見る

本書は、欧米の公衆衛生大学院で健康教育・行動変容理論の教科書として長年用いられている書籍の第3版翻訳。健康教育・健康行動変容についての最新知見を盛り込んだ、地域看護・公衆衛生分野の研究者の必携書である。初学者にもわかりやすく記載されている上、各章末の参考文献も充実した本書で、読者は各理論・モデルのエッセンスを味わいつつさらにつっこんだ学習に取り組めよう。
編集 Karen Glanz / Barbara K. Rimer / Frances Marcus Lewis
曽根 智史 / 湯浅 資之 / 渡部 基 / 鳩野 洋子
発行 2006年10月判型:A5頁:324
ISBN 978-4-260-00350-6
定価 4,620円 (本体4,200円+税)
  • 販売終了

お近くの取り扱い書店を探す

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。

  • 目次
  • 書評

開く

訳者序

編者序
第1章 健康行動と健康教育の範囲
第2章 健康行動と健康教育における理論,研究,実践
第3章 保健信念モデル
第4章 合理的行為理論と計画的行動理論
第5章 トランスセオレティカルモデルと変容のステージ
第6章 社会的認知理論
   -個人,環境と健康行動はどのように相互に作用しているか
第7章 ストレス,コーピングと健康行動
第8章 プリシード・プロシードモデル
   -健康行動理論を使って企画するために
第9章 ソーシャル・マーケティング
索引

開く

健康教育理論を難解に感じていた人も納得する一冊
書評者: 神馬 征峰 (東京大学大学院医学系研究科・国際地域保健学教室)
 健康教育やヘルスプロモーションのテキストが数多く出版されている。翻訳もあればオリジナルもある。今回出版された『健康行動と健康教育―理論,研究,実践』は翻訳ではあるが,類書に比べてはるかに深みがある。本書は,健康教育やヘルスプロモーションの基盤を固めるうえで,米国では欠かせないテキストとして君臨している。初版が1990年に出版されて以来17年。ようやく,日本でもこのテキストが米国並みに,日本の読者の健康教育理論の基盤固めに役立てられるようになったのは遅ればせながら実に喜ばしい。

 今回の翻訳は第3版がもとになっているが,評者自身は1991年に米国に留学して以来,本書とのつきあいがある。環境保健が専門であり,健康教育の専門家との交流が少なかった当時,たまたまボストンの医学書店でおもしろそうだなと思って買った本が本書の初版であった。まさかこれほどの名著として成長し,版を重ねるとは想像すらしていなかった。それがいまやいくつかの米国公衆衛生大学院の基本テキストとして用いられ,版が重ねられている。まだ評判になる前に偶然出会った本が評判書になったのは,ちょっと爽快な気分。「やはり自分の目は正しかった」ということでもあるから。常日頃,本を買いすぎて失敗している評者にとって,本書の成功はわがことのようにうれしい。

 本書の一部は,畑栄一氏や評者も,健康教育や保健師用テキストのなかで紹介してきた。今回,本書の全体像が翻訳されたおかげで,概念とコンストラクトの用語の使い分け,概念と理論の関係,理論とモデルの関係などが,かなりクリアカットにわかるようになった。さらにヘルス・ビリーフモデル,計画的行動理論,社会的認知理論,ストレスとコーピング,プリシード・プロシードモデル,ソーシャル・マーケティングなどが本書の各章を飾っている。これらの理論やモデルを一歩深く学びたい人,自分の研究にこれらを使いたい人は,ぜひとも本書を読むべきである。同時に研究志向の人は,この基盤のうえに,2002年以降の最新文献の補強が必要であろう。

 最後になるが,健康教育理論はやたら理屈がうるさいため,わかりにくいところがある。それを理解するコツは,「理論の発展過程をたどってみる」ことである。より詳しく歴史を知るためには初版から読んだほうがよいが,本書のところどころに,理論の発展過程が簡潔に書かれている。それを読めば,健康教育理論をわかりにくいと感じていた人も,納得するのではないか? 少なくとも理論の発展過程の記載には理屈臭さがあまりなく,読みやすい。数学書を読むようにすべて順を追って一歩ずつ理解しようとするのはやめたほうがよい。むしろ,各章の発展過程だけを探し当て,さっと流して読んでいただきたい。そうすれば,ちょっと得した気分になり,次はもっと深く読みたいという思いにさせられるはずである。

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。