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今日の消化器疾患治療指針 第2版

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日常診療で遭遇するすべての消化器疾患について第一線の専門医による現時点での最新・最高の治療法の実際を収載。さらに,診断・ケアを含めた臨床のノウハウをも満載した消化器疾患の総合診療事典。経験豊富な専門医による全項目全面書き下ろしの改訂新版。消化器疾患診療に携わるすべての医師の日々の診療にすぐに役立つ実地書。
シリーズ 今日の治療指針
編集 多賀須 幸男 / 三田村 圭二 / 幕内 雅敏
発行 2002年10月判型:A5頁:992
ISBN 978-4-260-10270-4
定価 13,200円 (本体12,000円+税)
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  • 目次
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1章 消化器病診療の重要トピックス
2章 画像診断の進歩と選択
3章 検査の要点
4章 主要治療手技
5章 救急治療
6章 対症的治療
7章 全身性疾患の消化器症状の治療
8章 口腔・唾液腺・咽頭の疾患
9章 食道疾患
10章 胃・十二指腸疾患
11章 小腸・大腸疾患
12章 直腸・肛門の疾患
13章 腹壁・腹膜・後腹膜の疾患
14章 肝臓疾患
15章 膵臓疾患
16章 胆道・胆嚢疾患

本書で使用されている欧文略語一覧
和文索引
欧文索引

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便利で重宝な消化器疾患の総合診療事典
書評者: 上野 文昭 (大船中央病院部長・内科)
◆待望久しい改訂版

 1991年に出版された『今日の消化器疾患治療指針』は,日々の消化器診療におけるアクセスのよいリファレンスとして,多くの医師や医療スタッフに活用されていた。早いもので出版後10年以上の歳月が過ぎ,進歩の早い分野の記載にはさすがに違和感を覚えるようになってきた。そしてこのたび,待望久しい改訂版が上梓されることとなった。

 早速第2版に目を通すと,まずこの10余年の進歩を「重要トピックス」として第1章にまとめ,大きく変貌をとげた「画像診断」が第2章,そして「検査の要点」,「主要治療手技」,「救急治療」,「対症的治療」など多くの疾患に共通する項目が続き,第7章以下が疾患別の治療指針となるわかりやすい構成である。消化器系各臓器別の章立ての冒頭には,最近の動向が簡潔にまとめられ,必要に応じてその臓器疾患に用いる薬剤や検査法などが記載されているのは親切な配慮といえる。

◆垣間見られる編集者の細やかな気配り

 疾患別の治療指針の項目立てにも,読者に対する編集者の細やかな気配りが垣間見られる。単に治療法を羅列するだけではなく,[患者や家族への説明のポイント],[医療スタッフへの注意],[知っておくと役立つこと],[専門医へ紹介する判断基準]など,実際の診療でわれわれが本当に知りたいことが随所に記載されている。これらの情報は一般的な教科書はもちろん,いくら文献を検索したところで得難いものであり,エキスパート・オピニオンを中心に構成された本書ならではの美点である。また文献も無理して格調高い学術論文とせず,[役立つ文献]として実際的なものにとどめたことは,本書が実用書であることを考えるとありがたい。

 治療指針シリーズには,より広い領域をカバーする『今日の治療指針』もあるが,当然のことながら消化器領域に関しては,本書のほうが掘り下げ方がはるかに優る。消化器疾患を診る機会の多い内科医・外科医にとっては,必要にして十分な内容が網羅されていることと思われる。

 執筆者がきわめて多数であることに付随する弱点もないわけではない。項目立ての不均一性が若干目立ち,中には編集者の意図したところと異なると思われるような記載もみられた。けれども“Multi―Authors Textbook”としてやむを得ない範囲のものであり,これだけの多くの専門医の意見を居ながらにして聞くことができるという利点のために目をつぶるべきであろう。

 本書は,消化器疾患の日常診療における便利で重宝なリファレンス・ブックである。特にすぐ相談できる消化器専門医が周囲にいない実地診療医や勤務医にとって,心強い味方となってくれるはずである。また逆に,消化器のスーパー・スペシャリストにも本書はきっと役立つに違いない。消化器の中でもさらに細分化され高度に専門化したわが国の診療では,広汎な消化器領域をすべて掌握することが困難となっているからである。

消化器疾患の臨床に関する完璧な辞典
書評者: 高崎 健 (東女医大教授・消化器外科学)
◆すみずみにまでうかがえる編集者のこだわり

 本書の第1版が発行されたのは1991年とあるので,今回約11年ぶりの改訂版発行である。今回の改訂版は内容ももちろん大きく変わっているが,旧版はA4判のハードカバーであったので書棚に置いて必要な時に取り出して調べるという使い方であったが,今回の改訂第2版は,ソフトカバーでA5版とサイズも縮小され,常に手元に置き診察現場にも持ち込んで使うことができるように形を変えている点に,まずこの版の編集者の目的としたコンセプトの変化をうかがうことができる。まさにこういう簡便な臨床医療辞書が欲しかったと言えるハンドブックとなっている。もちろん内容的にも基本的な編集の考え方に改良が加えられており,すみずみにまで編集者のこだわりの意図がうかがえる。使用対象を医師ばかりではなく,看護師,薬剤師,検査技師,その他研修医,医学生をも想定しており,専門的内容ではあるが平易に理解しやすくなるように各著者にもこの考え方が徹底し,統一されて書かれている点も本書が読みやすい理由となっている。

 全16章444項目と付録として消化器系の解剖呼称,癌の取り扱い基準,略語などで構成されている。内容的には前半の1/3(1―7章)の総論的,横断的部分と,残りの疾患別の各論部分からなっている。この総論的部分には,旧版以後近年の消化器疾患の診療の場に登場した事柄がトピックスとしてまとめられている。

 画像診断では,臓器別に種々画像検査法の比較という観点で書かれており,他の検査法については,現在の臨床における役割を明確にし,目的別に検査法の選択という観点でまとめられている。その他,近年行なわれてきている主要な標準的治療法につき,その意義,適応などについての解説が載せられている。このほかにも緊急処置,対症的治療,全身性疾患の治療法など,臨床の現場で遭遇するであろう要点についてくまなく網羅されている。

 疾患別の各論の章では,各疾患についてその疾患概念,発生機序,疫学,臨床症状,診断のポイント,治療,手術適応,成績,その他疾患の性質に合わせて適宜重要と思われる臨床上のポイントを,患者説明のポイント,医療スタッフへの指示,問診で尋ねるべきこと,知っておくと役立つこと,専門医へ転送する判断基準,役に立つ文献,など疾患の特徴を考慮し適宜疾患に合わせて項目を立て統一された形式で書かれている。疾患区分そして各疾患ごとの項目立てなど,臨床現場でちょっと知りたい事柄がすべて網羅されており,ここにも消化器疾患の臨床に関する完璧な辞典を作るという編集者の努力をうかがい知ることができる。

◆臨床現場に持ち込む必携のハンドブックとして最適

 膨大な医学知識が要求される近年の医療の現場で,偏りのないインフォームドコンセントの基のEBMを実現させていくためにも,常に自分自身の知識の確認が必須であり,患者様を前にして本で確認することは決して恥ではなく,むしろ患者様の信頼を増すことにつながる時代なのであるということを肝に銘じなくてはならないと考えている。この意味で臨床現場に持ち込む必携のハンドブックとして最適である。さらに自身の知識,経験をメモとして書き込みを加えていくことで,個人専用の辞書として完成度を増していくことも楽しみの1つとしてお勧めしたい。

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