イラスト 胸腔鏡下手術

もっと見る

低侵襲と患者のQOL最優先という時代の要請に応えて,適応も手術件数も急速に増大している胸腔鏡下手術。開胸手術に比べてメリットの多い最新基本手技を解説したテキスト。代表的な胸腔鏡下手術の手順とコツをコンパクトに図解。ビギナーにもベテランにも役立つ重要ポイントとpitfallを,シンプルなイラストで的確に示した外科医必携の書。
監修 白日 高歩
編集 岩崎 昭憲
発行 2001年08月判型:B5頁:160
ISBN 978-4-260-12238-2
定価 8,800円 (本体8,000円+税)

お近くの取り扱い書店を探す

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。

  • 目次
  • 書評

開く

総論
 序説:胸腔鏡下手術の過去・現状
 1. 胸腔鏡下手術の適応・術前管理
 2. 胸腔鏡下手術手技
 3. 胸腔鏡下手術の麻酔
 4. 胸腔鏡下手術の術後管理
 5. 胸腔鏡下手術器具
 
各論
 1. 胸腔鏡による診断
 2. 自然気胸
 3. 巨大肺嚢胞
 4. 肺良性腫瘍
 5. 原発性肺癌
 6. 転移性肺腫瘍
 7. 縦隔疾患
 8. 胸膜腔疾患
 9. 交感神経系関連疾患-胸腔鏡下胸部交感神経切除・焼灼離断術
 10. 横隔膜疾患
 11. 食道疾患
 12. 肺気腫
 13. 心膜疾患
 14. 横隔膜下肝腫瘍-経横隔膜的マイクロターゼ焼灼術
 15. 胸腔鏡下手術の展望-初心者への注意

開く

胸腔鏡下手術の入門者,必見!
書評者: 加藤 治文 (東医大教授・外科学)
 呼吸器外科の進歩は,手術侵襲の低減,摘出範囲の縮小など,患者のQOLを配慮した外科手技の変貌を急速にもたらしつつある。ことに近年の進歩は,新材料の開発,周辺器械の開発に帰するところが大きい。

◆急速な展開をとげつつあるVATS

 呼吸器の手術として,肺摘出が行なわれたのが1910年(Kummel),肺腫瘍の手術報告は,1921年(第22回日本外科学会,佐藤清一郎)であったが,以降肺癌の手術は,1942年に肺葉切除(Kent),1960年に気管支形成術(Grio)と縮小の方向へ進歩してきた。そして1990年代に胸腔鏡下手術法(VATS)が開発され,急速な展開をとげつつある。90年代前半はこの新しい手術手技の修得の時期で,90年代後半から症例の蓄積によりVATSの有用性が示され,各種疾患に対する適応と限界が検証されてきた。
 VATSの適応疾患は,当初より良性疾患である気胸,肺嚢胞,肺気腫,良性腫瘍などが主であったが,最近は転移性腫瘍,肺癌などにも適応が拡大されてきている。
 一方,1990年代にCTによる肺癌検診がわが国で試験的に開始され,微小肺癌の高発見率が証明されると,各地でCT検診が行なわれるようになり,その結果,微小結節陰影に対する診断的手法としてVATS生検の機会が増えている。もちろんそのような微小肺癌の治療面でも,VATSの利点が示されるようになっている。

◆定着してきたVATSをイラストでていねいに解説

 このようにVATSは,呼吸器外科に不可欠な手法として定着しつつあるが,適応と限界を正確に把握し,技術を正しく修得し,正しく履行すべきことは論をまたない。もとより技術の過信は許されない。肺癌に対するVATS葉切は,開胸に比べ予後が良好であるとの報告も出始めているように,胸腔鏡下手術は確かに利点は多いが,この手技を標準治療とするためには,多施設共同試験による有用性のエビデンスを世に示す必要があろう。
 白日高歩福岡大教授監修による『イラスト胸腔鏡下手術』は,こうした胸腔鏡下手術手技について基本的事項から個々の手術手技の実際面についてまで,詳細にイラストで解説されている。この要点をとらえたシンプルなイラストは,実際のリアルな写真の呈示に比べ大変わかりやすい。
 内容は,「胸腔鏡下手術の適応・術前管理」,「手術手技」,「麻酔」,「術後管理」,「手術器具」の各項を「総論」とし,「各論」には診断としての生検法から各種疾患,つまり「自然気胸」,「巨大肺嚢胞」,「肺良性腫瘍」,「原発性肺癌」,「転移性肺腫瘍」,「縦隔疾患」,「胸膜腔疾患」などの手術について,ていねいに解説されている。
 経験豊富な術者は,つねに独自の手術手技上のコツを持っているものであるが,文中随所に〈ワンポイント・アドバイス〉として白日教授のコツ,工夫が示されている。本書は,胸腔鏡下手術の入門者にとって必見書であると同時に,すでに技術を修得した者にとっても有用な参考書となるであろう。

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。