質的研究への挑戦 第2版

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著者が看護研究のための独自の質的研究方法論として開発した「看護概念創出法」を軸に、質的研究とは何か、質的研究にはどんな種類があるか、質的研究はどのように進めたらよいかを、初学者にもわかりやすく説いた解説書。第2版では、「Berelsonの方法論を参考にした看護教育学における内容分析」を補足し、研究の実例を入れ替え、全体的な見直しを図って、よりわかりやすく充実した内容となった。
舟島 なをみ
発行 2007年04月判型:A5頁:352
ISBN 978-4-260-00430-5
定価 3,740円 (本体3,400円+税)

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第2版 序

執筆者/舟島なをみ



 『質的研究への挑戦』の誕生は1999年,それから8年の時を経て2007年,改訂の運びとなった。学習と研究を重ね,それらを元に構想を練り,一語一語綴る作業は,過去の軌跡,未来の軌跡との対話の連続である。「読むことは築くこと,書くことは創ること」(藤原咲子『父への恋文』.山と渓谷社,2001)という一文が,この過程を見事に表現しているように感じ,筆者の心をとらえて離さない。

 本書『質的研究への挑戦』を「創る」ためには,「築く」作業として看護職者の過去の軌跡から目をそらすことなく未来の軌跡を展望し,それに基づき志を同じくする研究者や大学院生とともに学習と研究を重ねることが必要不可欠である。また,決して順風満帆ではないこの過程を価値づけ,激励し続けてくださる方々,仕事の機会を与えてくださる方々,さらにこの過程に関心を寄せてくださる方々の存在なくして,築くことも創ることも実現しない。

 初版刊行から約8年間,千葉大学看護学部看護教育学教育研究分野は絶え間なく質的研究を進めてきた。この過程を通して,Berelson, B.の内容分析を用いた研究は,その精神を生かしつつ,より精度の高い結果を得るために有用な手続きを確立した。この手続きを成文化し,本書の第2章「1.内容分析」の項に「4)Berelson, B.の方法論を参考にした看護教育学における内容分析」として第2版に加筆した。

 また,看護概念創出法は千葉大学看護学部において開発された研究方法論であるが,既に一人歩きを始めており,お問い合わせを頂くことも少なくない。これらの方々が詳細な研究の展開を理解できるように,看護概念創出法を使用した研究の中から,行動と経験を解明した最新の研究,各2件を選択し,結果産出に至る過程を詳述した。この過程のために,中山登志子さん,金谷悦子さん,山品晴美さんには多大なる協力をいただいた。

 望月美知代さん,山下暢子さんには,改訂原稿を複数回精読していただき貴重な意見をいただいた。医学書院の杉之尾成一氏には,本書改訂の機会とともに,期間内での完成に向け,的確な支援を提供していただいた。『質的研究への挑戦 第2版』を「築く」こと,「創る」ことに貢献してくださったこれらの皆様に感謝申し上げる。

 さらに,「築く」「創る」ことに迷った際の羅針盤として群馬県立県民健康科学大学の杉森みど里学長の存在があったことを記し,感謝の意を表したい。

 2007年 春

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第1章 看護理論と質的研究
  I. 看護理論の必要性
  II. 看護理論の理解に向けて
  III. 看護理論はどのように開発されてきたか
  IV. 看護理論はどのように定義されるか
  V. 看護理論のステ ップアップ
第2章 看護学研究に使用されてきた質的研究方法論
  I. 看護学研究にはどのような質的研究方法論が使用されてきたか
  II. 研究方法論とは何か
  III. 各研究方法論の特徴と成果
第3章 看護のための質的研究方法論-看護概念創出法-
  I. 看護概念創出法の誕生
  II. 看護概念創出法
第4章 看護概念創出法-研究の実例と成果-
 A. 行動を表す概念の創出
  I. 病棟内の各勤務帯リーダーの行動を解明する
  II. 看護学実習カンファレンスにおける教授活動を解明する
 B. 経験を表す概念の創出
  I. 看護系大学・短期大学に就職した新人教員の職業経験を解明する
  II. 男性看護師の職業経験を解明する
  III. 看護学修士を目指す大学院生の研究論文作成にかかわる学習経験を解明する
索引

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