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解剖学カラーアトラス 第6版

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実際の解剖体から撮影した写真による人体解剖学アトラス。人類にとっての至宝とも言うべき、繊細・緻密な剖出技術と鮮明な標本写真は他の追随を許さない。標本写真20枚、色図27枚、MR写真8枚を追加・差替。日独の著者共同執筆。図版はドイツで印刷。全世界の医療従事者が、その誇りとともに座右としてきたアトラスの第6版。
J. W. Rohen / 横地 千仭 / E. Lütjen-Drecoll
発行 2007年03月判型:A4頁:568
ISBN 978-4-260-00385-8
定価 13,200円 (本体12,000円+税)
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  • 序文
  • 目次
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第6版 序

 このアトラスも初版からすでに23年経ったので今般徹底的に改訂して装いを新たにすることになり,新しく作られた30枚近くの写真と,多くの新しい挿図,ならびに今版初めて数枚の体表解剖学の写真を付け加えた.しかし,そのために本書の頁数が増すことは望ましくないので,前版の写真を一部割愛または差し換えてレイアウトし直してある.また,近来ますます臨床上重要度を増している断面と局所解剖を詳しく表現するために,多くの最新技術によるCTおよびMRI写真が付け加えられている.
 この新版では各章を2部に分けて,第1部では系統解剖的に,例えば四肢の場合には骨,関節,靱帯,筋,血管,神経の順となっている.第2部では局所解剖的に叙述されているので,最初は表層から始まり,次に中層から深層へと進む.これは学生の解剖実習の場合のオリエンテーションに役立つであろう.
 新版を作るにあたって著者らは人体というものが如何に精密に,美しくまた素晴らしく構成されているかということに改めて気付かされた.もし本書が,学生や医師が人体の組織や器官の解剖学的構造の圧倒されるような美しさを認識するのに助けとなるならば,その目的は達せられたといえよう.解剖学的構造に深い興味を持ちその精緻さに感歎することは“人間への愛”をはぐくむことであり,このことは日常の医業においても最も基本的かつ重要なことと思われる.
 著者らはこの本のために素晴らしい作業を提供し,協力してくれたすべての方々に対し深い感謝を表したい.これらの人々の協力なくしてはこのアトラスの改訂は不可能であった.また,Schattauer GmbH(Stuttgart, Germany),Lippincott Williams & Wilkins(Baltimore, Maryland, U.S.A.),および医学書院(東京,日本)が常に著者らの要望を聞き入れ,本書の改訂に多大の努力を払ってくれたことを心から感謝するものである.
 2006年3月
 J. W. Rohen
 横地千仭
 E. Lutjen-Drecoll

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1 総論
2 頭部および頚部
3 体幹
4 胸部内臓
5 腹部内臓
6 尿生殖器系,腹膜後臓器
7 上肢
8 下肢
欧文索引
和文索引
付録1 3D STEREO ATLAS
  2 解剖学用語の語源

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解剖実習室の書見台でご遺体に臨む全ての人に
書評者: 小林 直人 (愛媛大教授・総合医学教育センター)
 2007年春,医学書院から3冊の解剖学アトラスがほぼ同時にリリースされた。『プロメテウス解剖学アトラス解剖学総論/運動器系』(坂井建雄・松村讓兒監訳,続刊あり),『グラント解剖学図譜(第5版)』(坂井建雄監訳),そしてこの『解剖学カラーアトラス 第6版』である。

 初版の発行から言われ続けてきたことではあるが,着色された細密画を中心として人体の構造を示そうとしている他のアトラスとは異なり,本書は,解剖されてゆくご遺体そのものの鮮明な写真を用いて人体の構造の真実を伝えようとしている点が特色である。また,本書の著者として日本人の名が連なっていることにも,後輩として誇りを覚える。実際,眼底の血管の写真(134頁)などに日本の医学研究者が提供したデータが使われていることには注目したい。また,脳の各葉を色分けして着色する手法は広く用いられているが,肺に実際に種々の色の色素を注入して肺区域を鮮明に示しているのには驚かされた。その対向ページには肺区域の模式図が着色された実物に近い色使いで掲載されており,著者らのアイデアには脱帽せざるを得ない。

 実際にご遺体を解剖させていただいている実習室において,次々に明らかになってくる構造を同定するために,本書はその威力を発揮するだろう。写真撮影のために一部着色されているが,血管や神経がきれいに剖出されている様子は,実習を行う者のお手本ともなる。特に最近は医学・歯学の学生にとどまらず,いわゆるコメディカルの学生が解剖体を見学させていただく機会が増えている。その際,自らの手で剖出した場合とは異なり,立体的な位置関係も含めて種々の構造の同定がかえって難しくなると思われ,貴重な見学の機会を無為に過ごしてしまう危険性がある。そこでは,本書のような実際の解剖体の写真を解説したアトラスの存在が意義深く心強いものとなるだろう。

 また,本書には解剖体では観察しにくい構造について,病理解剖と思われる無固定のご遺体の写真が用いられている。例えば,中脳の断面(117頁)や心臓の房室弁(259頁),女性の内部生殖器(355頁)の写真などは,評者にとって新鮮なインパクトを持つものであった。日頃の解剖実習では中脳の赤核を学生に示すのに苦労しているが,本書の写真を示せば一目瞭然である。最近は体表解剖の写真を掲載したアトラスや教科書が多数見受けられるが,今後は病理学者らとの共同作業で無固定の状態の内臓や関節などの写真を記録・保存する必要があるのかもしれない。

 ご遺体の写真を補完するものとして,MRI等の写真が掲載されているが,それらの画像は必ずしも鮮明とは言えない。画像診断の技術の進歩には目を見張るものがあり,ぜひ今後の改訂で最新のデータを掲載していただきたい。もちろん,画像を読み解く力には解剖学の知識の裏付けが必要であることを,医学生や研修医の諸氏にはあらためて強調しておきたい。
実習の道案内役から人体解剖学の必須指導書へ
書評者: 松村 讓兒 (杏林大教授・解剖学)
 本書は1985年を初版とする解剖学カラーアトラスの第6版である。実に23年もの間,人体解剖学を学ぶ人たちの傍らで,人体構造の道案内を果たしてきたことになる。一般には「ローエン・横地」と呼ばれる本書が如何に多くの学徒に受け入れられてきたかは「医・歯学生の間で単にアトラスと言えば本書を指す」ということからも知ることができる。

 本書はイラストや細密画による解剖学図譜ではなく,写真アトラスの範疇に属する。周知の通り,写真アトラスの優劣は,写真自体の精度もさることながら,もとになる剖出標本の質と種類に依存するため,標本作成技術とその保存管理がきわめて重要である。その点から見れば,本書は単なるアトラスではなく,きわめて質の高い人体剖出標本の存在を世に知らしめるアーカイブということができよう。将来にわたって,かくも繊細に剖出された人体標本を一堂に提示することは不可能であると言っても過言ではない。

 1985年の初版以来,本書は1990年(第2版),1994年(第3版),1999年(第4版),2004年(第5版)そして今回の第6版と4―5年のペースで改訂されている。初版の序でも述べられているように,局所ごとの提示を原則とした構成は本書の一貫した方針であり,実習に用いる学生の利便性を考慮したものである。今回の第6版においても基本的な構成は踏襲されており,旧版からの利用者にとっても違和感はない。しかしながら,新版には,読者に違和感を与えないように工夫された新しい試みが随所に見られる。

 第6版で目につくのは30余の増頁であるが,これは単なる写真の増加ではない。通常なら「削除するのは勿体ない」とも思える標本の写真が,「人体解剖実習で真に必要な資料を提示する」方針のもとに,繊細な局所標本写真や立体的な模式図に替えられている。著者らが初版でめざした「解剖学の勉学に資するアトラス」に対する思いがここでも貫かれているのである。さらに,今回の改訂では吟味された医療画像が効果的に採用されている。旧版でも医療画像は掲載されていたが,今回の改訂では質量ともに充実が図られ,格段に理解しやすいアトラスとなっている。

 初版が世に出た頃,医学部・歯学部の解剖学実習はご遺体不足に悩まされていた。現在は,20年前に比べてご遺体の不足は緩和されているが,教員の不足は進行しており,解剖学教育でもっとも重要な人体解剖実習における悩みは尽きない。このため,人体解剖アトラスの最右翼として20年以上進化し続けてきた本書の位置づけも,実習の道案内役から人体解剖学の必須指導書へと変わりつつある。

 最後に,本書の弱点を無理にあげるとするならば,書籍であることの限界つまり「触って実感できない」点にあろう。しかしながら,この弱点が指摘されなくなるのは,人体解剖実習自体がその本質を失う時でしかない。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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