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がん診療レジデントマニュアル 第4版

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好評を博している国立がんセンターのレジデントマニュアル第4版。(1)practical、(2)concise、(3)up to dateという編集方針をさらに徹底。現時点で最適ながん治療をまとめるべく全面改訂。分子標的薬や抗体などの新しい抗がん剤の開発やそれらの併用療法、また放射線治療、免疫治療など、治療選択肢が非常に多様化している昨今、がんに携わる医療者に欠かせない1冊。
*「レジデントマニュアル」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ レジデントマニュアル
国立がんセンター内科レジデント
発行 2007年03月判型:B6変頁:424
ISBN 978-4-260-00310-0
定価 4,180円 (本体3,800円+税)
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  • 序文
  • 目次
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第4版 序
執筆者/勝俣範之(国立がんセンター中央病院 内科医長)

 1997年5月の初版発行以来10年が経過し,がん診療レジデントマニュアルも第4版を発行することとなりました。このマニュアルを作成した当初は,2つの目的がありました。1つ目は,臨床現場の第一線で働く研修医やレジデントのためのよいマニュアルを作りたいということ,2つ目は,当時ほとんど知られていなかった「腫瘍内科学:medical oncology」の啓蒙のためでした。よいマニュアル作りという点では,何よりも現場で役立つものをということで,初版より継続されている“レジデントによる執筆”の方針を貫いてきており,内容を吟味するにあたっては,EBMの手法にのっとって,標準的な内容を記載することに細心の注意を払ってきました。また,第4版の改訂では,編集責任者として,新たに米国腫瘍内科専門医でもある国立がんセンター東病院化学療法科の中島光氏を加え,編集委員によるpeer reviewを強化し内容の充実を図るとともに,これまで取り上げてこなかった脳腫瘍,HIV関連腫瘍の章を加え,腫瘍内科学全般を網羅する内容とすることができました。
 年間50万人以上が「がん」で亡くなっていく現状の中,がん診療のレベルの向上,地域格差の是正を理念とし,2006年8月にがん対策基本法が成立され,今後ますます腫瘍内科医の需要が高まってくると思われます。腫瘍内科医の役割として,“がん薬物療法の専門家”であることはもちろんですが,内科医として,“診療ナビゲーター”であることがより重要であると思われます。“診療ナビゲーター”とは,主治医として,患者のよき相談役,サポーターになるばかりではなく,手術適応があれば外科医に,放射線治療の適応があれば放射線治療医へ患者を紹介するなど,チーム医療のコーディネーターでなくてはいけません。これから腫瘍内科医を目指そうという若い医師たちに,この“診療ナビゲーター”になることをぜひ目指してほしいと思います。最後に,ご協力いただきました医学書院の安藤恵さん,栩兼拓磨さんに心より感謝申し上げます。
 2007年1月

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1. がん告知とインフォームド・コンセント
2. がん薬物療法の基本概念
3. 臨床試験
4. 肺がん
5. 乳がん
6. 胃がん
7. 食道がん
8. 大腸がん
9. 肝・胆・膵がん
10. 婦人科がん
11. 泌尿器がん
12. 造血器腫瘍
13. 骨・軟部肉腫
14. 皮膚がん
15. 頭頸部がん
16. 原発不明がん
17. 脳腫瘍
18. HIV関連腫瘍
19. がん性胸膜炎・がん性腹膜炎・がん性髄膜炎・がん性心膜炎
20. 造血幹細胞移植
21. 感染症対策
22. がん性疼痛の治療と緩和医療
23. 骨髄抑制に対するアプローチ
24. 消化器症状に対するアプローチ
25. 抗がん剤の調整・投与方法と漏出性皮膚障害
26. がん治療における救急処置,電解質・内分泌異常
付録1 抗がん剤の種類
付録2 抗がん剤の略名
付録3 体表面積算定表
あとがき
索引

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臨床腫瘍学を志す者に必読・必携の一冊
書評者: 徳田 裕 (東海大教授・乳腺/内分泌外科)
 臨床腫瘍学に関する情報も湯水のごとく存在しており,authorizeされたguidelineやrecommendationなどを含めてほとんどの情報をonlineで入手することが可能である。しかし,実地医療の現場においては,それぞれを別個に検索し入手しているのでは,診療のスピードについていけない。やはり,基本的な事項については,ある程度まとまったマニュアルが必要である。しかも,実臨床での利用が容易であるためには,ポケット版という携帯性も重要である。そこにも執筆者の配慮が感じられるが,本書はタイトルにも示されているように,対象読者はレジデントであるが,シニアレジデントが中心になって執筆しているのであるからそれももっともなことである。

 このようなガイドライン的なものは,2―3年ごとの定期的な改訂が求められる。本書は,第4版であり,10年間に4版を重ねているということは,まさに,それを実践しているといっても過言ではない。

 Level of evidenceの概念を紹介するとともに,本書の内容にもevidenceの評価を行うという斬新な手法を導入し,また,コミュニケーションスキルや,臨床試験のプラン,EBMの基本的事項など,従来にない幅広い内容となっている。特に,支持療法関連,感染症対策,消化器症状に対するアプローチ,がん性疼痛の治療については,evidenceやguidelineに基づいて記載されており,実践できわめて役立つであろう。さらに,本邦未承認の最新の分子標的薬も紹介するなど臨床の最先端の事項も記載されている。

 どうやら日本臨床腫瘍学会のがん薬物療法専門医の認定試験受験生の必読書になっているようであるが,レジデントのみならずスタッフにも勧めたいポータブルな教科書であり,専門疾患以外の診療にも有用であろう。

 背表紙の裏にまで,よく使われる有害事象の共通用語基準が記載されており,まさに,膨大な資料を限られたスペースに簡潔に凝縮している,臨床腫瘍学を志す者にとって,必読,必携の一冊であると思う。
 今後も改訂がすすめられると思うが,PDAに取り込んで使えるような,new versionもぜひ,期待したい。
がん医療で必要な事項をもれなくコンパクトに収載
書評者: 根来 俊一 (兵庫県立がんセンター部長・化学療法)
 本書は今回で第4版。このことだけでも,がん医療の第一線で勤務するいかに多くの若手医師などに愛読・利用されているかがわかると思います。第4版の構成は,はじめに総論的に「がん告知とインフォームド・コンセント」,「がん薬物療法の基本概念」,「臨床試験」が取り上げられ,続いてメインである各臓器・組織の悪性腫瘍に対する診断,治療,予後までが簡潔に記載されており,最後にがんに伴う合併症,抗がん剤に伴う有害事象(副作用)対策,緩和医療などが記載された構成となっています。第一線のがん医療現場で必要な最小限度の事項がもれなく記載されています。がん医療に携わる多忙な若手医師には,きわめて便利な構成と内容となっています。このようなコンパクトで便利なマニュアルを企画・制作された方々の先見性とご努力に心からの敬意を表したいと思います。

 腫瘍内科学は急速に進歩しており,数年前のエビデンスはもはや時代遅れとなり,役に立たないばかりか有害にすらなる現実からすれば,本書の執筆・編集に係わる方々には大変ですが,できれば毎年小改訂され,数年ごとに大改訂するという作業を希望いたしたいと思います。

 一方,本書を利用される先生方におかれては,次の点に留意していただきたいと思います。本書は確かにがん医療の最前線で日々苦闘されている若手医師にとって大変便利なマニュアルではありますが,このマニュアルに記載されている内容は,世界中の研究者が臨床試験などを積み重ねて到達した知見のエッセンスのみであるということです。エッセンスだけを鵜呑みにしてはいけません。必要な項目については,ぜひ原著論文に遡ってエビデンスとなった背景を,各人で批判的に確認するという作業が必要です。マニュアルの便利さは重要ですが,それを利用する医師は便利さに埋没するのではなく,それを出発点としてより深い知識を得るために原著論文に遡るという努力を惜しんではいけないと思います。本書はその手引き書(腫瘍内科学へのナビゲーター)としての性格をも内包していることを忘れないでください。

 最後に,本書の編集責任者である勝俣範之先生が,第4版の「序」に書かれた大変重要な言葉を引用したいと思います。「……腫瘍内科医の役割として,“がん薬物療法の専門家”であることはもちろんですが,内科医として,“診療ナビゲーター”であることがより重要である……」と述べられている言葉に包含されている深い意味を,読者である若い先生方には,ぜひ汲み取っていただきたいと思います。
がん専門医療者をめざすすべての医師・コメディカルに
書評者: 石岡 千加史 (東北大加齢研教授・癌化学療法)
 今,日本の医療には,がんの専門医が必要です。日本人の2人に1人はがんに罹患し,3人に1人はがんで死亡する時代を迎え,不足するがん専門医の育成の必要性が社会や国に認識されるようになりました。がん薬物療法専門医,放射線腫瘍認定医,婦人科腫瘍学会専門医,がん治療認定医など学会が主導するがん治療に特化した専門医・認定医制度がスタートしたほか,早期医学教育における系統的な臨床腫瘍学講義がモデル・コアカリキュラムに取り入れられるなど,専門医を育成するための基盤整備が急ピッチで進められています。また,がん看護専門看護師やがん関連の認定看護師制度,がん専門薬剤師制度など,質の高いコメディカルのがん専門医療者の育成も軌道に乗り,将来,がん医療の標準化とその向上を支える人材養成はようやく目処が立ったところです。このような背景から,最近,全国で学会やNPO等が主催する教育セミナーや講演会が数多く開催されていることは,がん治療に携わりながら専門医を育成する立場から大変喜ばしいことです。

 本書は現場ですぐに役に立つマニュアルとして版を重ね,早10年の月日が経ちました。この間,コンパクトながら系統的にまとめられた内容が好評で,主に腫瘍内科をめざす若い研修医やレジデントに愛読されてきました。がん専門医療者に求められる知識は,各臓器別,治療法別の知識に留まらず,がんの疫学,臨床試験,がん薬物療法の基礎知識,緩和医療など臨床腫瘍学の幅広い領域にわたります。今回の第4版は,前版までの読みやすくかつ系統的な内容・書式を継承しつつも,疫学データや標準治療などを最新の内容にアップデートしたもので,腫瘍内科医はもとより,がん専門医療者をめざすすべての医師,コメディカルの入門書として大変有用だと思います。さらに若い医療者や学生を育成する指導者のための参考書としても役に立つはずです。

 本書をきっかけに,将来,1人でも多くの若い医師,看護師,薬剤師などの医療者や学部・大学院の学生ががん専門医療者をめざし,日本のがん医療を支える人材として育つことを期待します。

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