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ロービジョンケアの実際 第2版
視覚障害者のQOL向上のために

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眼科領域でロービジョンケアの考え方は浸透してきたものの、実践面での普及はまだこれからの段階。視覚障害児・者のQOLの向上には、医療職のみならず、福祉職、教育職を含めた連携が不可欠である。「特別支援教育」「障害者自立支援法」など、個々のニーズに応じた支援が求められており、第2版では「連携」と「教育」に重点を置き、大幅な改訂を行った。
編集 高橋 広
発行 2006年05月判型:B5頁:328
ISBN 978-4-260-00216-5
定価 4,180円 (本体3,800円+税)

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第1章 視覚障害者とQOL
第2章 ロービジョンケアに必要な基礎知識
第3章 補助具の選択によるQOLと視機能の増強
第4章 視覚障害者のQOL向上のための訓練と援助
第5章 視覚障害者の日常生活援助
第6章 視覚障害者への年齢別対応
第7章 代表的な疾患とその対応
第8章 他の障害をもった人への対応
第9章 看護・介護で必要な援助とくふう
巻末付録・1 弱視レンズの光学に関する基礎知識
巻末付録・2 社会福祉サービス
索引

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困った時,調べたい時のロービジョンケアのバイブル!(雑誌『看護学雑誌』より)
書評者: 大音 清香 (日本眼科看護研究会理事長/西葛西・井上眼科病院看護部長)
 本書が発刊される直前,編集を担われた高橋広先生から「今までにないロービジョンケアのかかわりに視点を置いて第2版を“開発”しました」と電話をいただき,期待が膨らんだ。それから数週間後,届いたその本の表紙中央には,「乙女の像」に焦点を合わせ,その像に凸レンズでピントを合わせた写真が配されている。鮮明な「乙女の像」をレンズ越しに読者に見せるデザインから,モノを見るための探究心と,見ようとする気持ちの大切さが伝わってきた。

◆ロービジョンケアには看護師の力が必須

 一般に,ロービジョンケアの担い手として看護師の影は薄い。しかし,看護師は必要ないのだろうか? 病院の窓口で戸惑っている患者が,視力障害著明なことがある。そんな時,本書に記されている生活面の援助を把握していれば,自ずと「どうされましたか?」と声かけし,手を差しのべられる。患者は安らぎを感じると同時に不安なことなどを相談したくなるのではないか。必要ないのではなく,必要に応えていないのではないかと思えてならない。

 この第2版では,ロービジョンケアを実践するには,まずはリハビリテーションの根底にある考え方を認識してから眼科の特徴や眼科医療を理解し,コメディカルの役割とは何かを考えていく内容に整理されている。これが今回大幅な改訂を行なったねらいだったことがわかる。特に,医療スタッフの役割が充実して述べられている。たとえば,医師のリーダーシップのとり方については,編者の豊富な経験に裏打ちされた主張で貫かれており,説得力に富む内容になっているほか,コメディカル(視能訓練士,歩行訓練士,理学療法士,作業療法士,医療ソーシャルワーカー,看護師など)の活動をそれぞれ取り上げ,その役割が明確に記されている。さらに,実践面では難しいと感じられる教育関係者,社会福祉活動との連携も含め,関係者がどのようにロービジョン者にかかわっていけばよいのかについて,現状のデータ分析に基づき,リハビリテーションの考え方に立脚した役割論が展開されており,その流れが多職種間の連携の重要性を一層際立たせている。

 ロービジョン者への看護の役割が不明確な現在,それを一気に解決するのは無理だとしても,看護にもできることはある。装具・補装具にかかわらず,今維持されている機能でできることを見出し,できることを・できるだけ・できる時に発揮するためのケア,それが心の支えとなり,自立する意欲につながるケア――看護そのものが,そのままロービジョン者へのケアにもつながっているのである。

 終章(第9章)「看護・介護で必要な援助とくふう」で看護援助の実際が述べられているが,強いて言えば,本章でリハビリテーション看護の発想に基づいて,経過を辿っていく過程が記されていると,看護の役割がもっとわかりやすかったかな? とよけいに欲がでてくる関心深い著書である。

(『看護学雑誌』2007年1月号掲載)
視覚障害者への深い愛情を随所に感じ取れる書
書評者: 田淵 昭雄 (川崎医療福祉大教授・感覚矯正学科/日本ロービジョン学会理事長)
 本著の第1版が2002年に発刊されてからちょうど4年になって第2版が出版された。私は初版を読んで,「実際の診療でロービジョンケアを主体としている眼科医(著者)の経験から書かれた,教科書的ではない実践書」として多くの方々に推薦した。今回はさらに内容の充実とともに,「視覚障害者への深い愛情を随所に感じ取れる書」として同様に推奨したい。

 版を重ねるにあたって今回著者が特に意図したのは,「連携」というロービジョンケアにおいて基本的な手順の重要性とその理解である。2000年に日本ロービジョン学会が創設され,また,全国的にも各地でロービジョンケアを行う施設が活動されてはいるが,著者の目から見て「まだまだ本当の意味での十分なケアができている施設は少ない。視能訓練士や看護師,リハビリ専門職,あるいは盲学校教師や福祉関係者への啓発および彼らとの連携がロービジョンケアをレベルアップする」ことを強調している。

 さて,本著では冒頭にカラー口絵の相当数がまとめて挿入されて非常にわかりやすくなっているが,第1-9章からなる本文は文字密度が高いため,読むのに若干疲れを覚える。しかし,豊富な内容であるがゆえのことで疲れを凌いでいただきたい。

 第1章「視覚障害者のQOL」では視覚障害者の実態や国際障害分類(ICF2002)の紹介,ロービジョンケアの担い手,「できる活動」と「している活動」の理解から「する活動」への展開が,第2章「ロービジョンケアに必要な基礎知識」では眼の構造や機能,視覚障害の検査,遺伝,教育,そして診断書の書き方などが微細に書かれている。第3章「補助具の選択によるQOLと視機能の増強」では,屈折矯正の大切さといかにうまく補助具を導入させるか,第4章「視覚障害者のQOL向上のための訓練と援助」では,さらに保有視覚をどう利用し訓練するかを紹介し,そして第5章「視覚障害者の日常生活援助」では視覚障害者にとってもっとも重要な日常生活;歩行,食事,身だしなみや衣服,排泄,居住環境,IT機器,余暇などのすべての生活場面の援助の仕方が記載されている。第6章「視覚障害者への年齢別対応」では,乳幼児,学童,中高生,成人,高齢者など,各年齢層に応じた問題に対処するそれぞれのケア法が紹介され,特に職業訓練および就労支援に関しての「連携」と事例,さらに激増している高齢者に対するケアはぜひ参考にしたい。第7章「代表的な疾患と対応」では,糖尿病網膜症,緑内障,白内障,網膜色素変性症および代表的網脈絡膜疾患,色覚異常などの疾患解説とそれぞれのロービジョンケアを,第8章「他の障害をもった人への対応」として重複障害者のロービジョンケアの問題点を明らかにしている。最後の第9章「看護・介護で必要な援助とくふう」では看護の面からみた視覚障害者への気配りや医師との連携による関わり方や,家族への支援のあり方が記載されている。

 付録として「弱視レンズの光学に関する基礎知識」と「社会福祉サービス」が紹介され,ロービジョンケアに関わる方々には,戸惑いをもった時点での必読の書として推奨する。

「ロービジョンケアのバイブル」困った時,調べたい時に
書評者: 大音 清香 (日本眼科看護研究会理事長/西葛西・井上眼科病院看護部長)
 「今までにないロービジョンケアの関わりに視点を置いて第2版を“開発”しました」と,本書が発刊される直前に,編集を担われた高橋広先生から電話をいただいた。

 どんな内容に変身するのか,期待が膨らんだ。それから数週間後,届いたその本の表紙は,第1版の紺色から一転してあずき色に変身。中央に「乙女の像」に焦点を当て,その像に凸レンズでピントを合わせた写真が配されている。鮮明な「乙女の像」をレンズ越しに読者に見せるという表紙のデザインから,モノを見るための探究心と,見ようとする気持ちの大切さが伝わってくる。

 一般に,ロービジョンケアの担い手として看護師の影は薄い。しかし,看護師は必要ないのだろうか? 病院の窓口で戸惑っている患者さんが,視力障害著明な方であることがしばしばある。そんな時,本書に記されている生活面の援助を把握していると,自ずと「どうされましたか?」と声がけし,手を差しのべて応じれば,患者にとっては安らぎと同時に不安なことなどを相談してみたくなるのではないか。必要ないのではなく,必要に応えていないだけなのではないかと思えてならない。

 この第2版では,ロービジョンケアを実践するには,まずはリハビリテーションの根底にある考え方を認識して,それから眼科の特徴や眼科医療を理解し,コメディカルの役割とは何かを考えていく内容に整理されており,これが今回大幅な改訂を行ったねらいだったことがわかる。特に医療スタッフの役割が充実して述べられている。たとえば,医師のリーダーシップの取り方については,高橋医師の豊富な経験に裏打ちされた主張で貫かれており,説得力に富む内容になっているほか,コメディカル(視能訓練士,歩行訓練士,理学療法士,作業療法士,医療ソーシャルワーカー,看護師など)の活動をそれぞれ取り上げ,専門職の役割が明確に記されている。さらに,実践面では難しいと感じられる教育関係者,社会福祉活動との連携も含め,多職種にわたる関係者がどのようにロービジョン者に関わっていけばよいのかについて,現状のデータ分析に基づき,ロービジョンケアの根底にあるリハビリテーションの考え方に立脚した役割論が展開されており,その流れが,多職種間での連携の重要性を一層際立たせている。

 ロービジョン者への看護の役割が不明確な現在,それを一気に解決するのは無理だとしても,看護にもできることはあるはず。装具・補装具にかかわらず,今維持されている機能でできることを見出し,できることを,できるだけ,できる時に発揮するためのケア,それが心の支えとなり,自立する意欲に繋がるケア……看護そのものがそのままロービジョン者へのケアにもつながっているのである。

 終章(第9章)「看護・介護で必要な援助とくふう」で看護援助の実際が述べられているが,しいて言えば,本章でリハビリテーション看護の発想に基づいて,経過を辿っていく過程が記されていると,看護の役割がもっとわかりやすかったかな? と余計に欲がでてくる関心深い著書である。

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