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「おしりの病気」アトラス [Web動画付]
見逃してはならない直腸肛門部疾患

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“おしりが痛い”、“血が出る”、“しこりがある”、“便が出にくい”など「おしり」の症状には決して見逃してはならない悪性疾患の徴候が隠れていることがあるのです!本書は「大迫力の直腸肛門部疾患特徴別画像一覧」「患者さん⇔医師間の認識ギャップも変換! おしり問診表」「鑑別診断を鍛えるWEBページ」「内科・内視鏡医が知りたかったQ&A」「役立つ外科治療手技動画」など、実臨床で役立つ内容をビジュアルにわかりやすく多数掲載しました!
稲次 直樹
発行 2019年11月判型:A4頁:256
ISBN 978-4-260-03955-0
定価 9,350円 (本体8,500円+税)

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 総合診療科,消化器内科,大腸内視鏡科,消化器外科,一般外科,肛門科などの実診療に役立つ『「おしりの病気」アトラス』を上梓することができました.私として無情の喜びです.ここに至りましたのは私を下部消化管学の研鑚へお導きいただいた恩師,故 白鳥常男奈良県立医科大学名誉教授のご指導の賜物です.まず初めに本書を白鳥常男名誉教授に捧げたいと思います.

本書の“ねらい”は?
 本邦における直腸肛門部疾患の動向をみると,大腸癌や炎症性腸疾患,そして高齢化に伴う排便障害,多彩な肛門疾患などの増加傾向が著しいことがわかります.これらの疾患はその症状が類似しているにもかかわらず良性疾患から悪性疾患まできわめて多彩であり,下部消化管・肛門疾患に対する診断と治療は大腸外科医や肛門科医の診療域を量的にも質的にも大きく超え,総合診療医,消化器内科医,大腸内視鏡専門医,一般外科医にまで及ぶようになってきています.
 このような時代に,私はこの半世紀,自ら大腸内視鏡検査・治療を行い,大腸・肛門疾患の内科的治療,外科的治療を行ってきました.そのなかで「直腸肛門部の疾患は直腸外科専門医・肛門科専門医に」の従来の診療感覚では患者さんの求めに応えられないとの想いが強くなってきました.そこで患者さんにとって見られたくない「直腸肛門部」をしっかり診る診療に役立つ「症例画像集」を作りたい,とりわけ直腸肛門部悪性腫瘍の早期発見・早期治療に繋がる「アトラス的成書」を作りたいと思うようになりました.また,この機会を私どもチームの臨床研究の集大成としたい,との想いも重なり「本作り」が始まりました.
 「最新の」とか「詳細に」などの言葉にとらわれず日常診療に役立つことを第一に考え,主に自験例から直腸肛門部の疾患を厳選し,「見れば,視れば,診ればわかるアトラス」を目指して総力を挙げて挑んできました.この間にともに診療し,執筆した多くの協力者,共同研究者のお力添えもいただきました.心から感謝しています.本書が真に日常診療に役立ち,一人でも多くの患者さんの「直腸肛門部疾患診療における福音」となることを願っています.

 2019年11月
 社会医療法人健生会名誉理事長
 健生会土庫病院 奈良大腸肛門病センター
 稲次 直樹

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特徴別疾患画像一覧
  肛門周囲皮膚病変(1)
  肛門周囲皮膚病変(2)
  肛門部突出性病変
  肛門周囲瘻孔形成病変
  肛門部潰瘍形成病変
  見える肛門部癌病変
  肛門部脱出性病変
  内視鏡で視える肛門管病変
  内視鏡で視える直腸の粘膜下腫瘍様疾患
  内視鏡で視える直腸の炎症性疾患
  内視鏡反転観察で視える直腸肛門部病変
  肛門鏡で視える肛門病変
  直腸内異物・肛門部外傷症例

I編 直腸肛門部診療の基本
  01 直腸肛門部の解剖・内視鏡像・切除標本と病理組織像
  02 器質的直腸肛門部疾患
  03 直腸肛門部の診察
   1 直腸肛門部診察の手順
   2 問診
    2-1 慢性便秘症と直腸肛門部疾患
    2-2 便失禁と直腸肛門部疾患
   3 肛門視診・指診・触診・肛門鏡診
    3-1 肛門視診
    3-2 肛門指診・触診
    3-3 肛門鏡診
   4 直腸肛門部の内視鏡検査
   5 肛門疾患の内視鏡像
   6 怒責診断法
   7 放射線非透過性マーカー Sitzmarks®を用いた簡便な消化管輸送能検査
   8 Defecography検査
   9 直腸肛門内圧検査
   10 肛門管超音波検査
  04 肛門疾患に対する治療薬─内服薬と外用薬
  05 抗血栓薬投与症例への対応
  06 直腸肛門部の検査・治療のための麻酔法
  07 直腸肛門部病変局所切除術
  08 直腸肛門部病変に対する内視鏡的粘膜下剝離術(ESD)

II編 直腸肛門部疾患アトラス
 (肛門疾患)
  01 皮垂・外痔核
  02 内痔核
  03 裂肛・肛門ポリープ・皮垂
  04 肛門周囲膿瘍
  05 痔瘻
  06 肛門部皮膚疾患
 (直腸・肛門疾患)
  07 直腸肛門部静脈瘤
  08 直腸粘膜脱症候群
  09 直腸脱
 (肛門・臀部疾患)
  10 臀部慢性膿皮症
  11 毛巣瘻(毛巣洞)
  12 Fournier症候群
 (炎症性疾患)
  13 Crohn病
  14 潰瘍性大腸炎
  15 その他の直腸肛門部の炎症性疾患
 (性感染症)
  16 肛門部の性感染症
 (薬剤関連性病変)
  17 薬剤関連性病変
 (嚢胞性疾患)
  18 嚢胞性疾患
 (良性腫瘍)
  19 良性腫瘍
 (悪性腫瘍)
  20 悪性腫瘍
   1 悪性腫瘍の概要
   2 腺癌
   3 肛門腺由来癌
   4 肛門管内分泌細胞癌
   5 悪性黒色腫
  21 肛門周囲の悪性腫瘍
   1 肛門周囲Paget病(Perianal Paget’s disease)
   2 Bowen病
   3 基底細胞癌(基底細胞上皮腫・基底細胞腫)(Basal cell carcinoma)
   4 痔瘻癌
   5 直腸カルチノイド腫瘍
  22 その他の直腸肛門部癌
   1 類基底細胞癌
   2 肛門管腺扁平上皮癌
   3 転移性肛門管癌
   4 放射線誘発大腸癌
   5 肛門管GIST
  23 その他の直腸肛門部腫瘍性病変
   1 直腸MALTリンパ腫
   2 直腸悪性リンパ腫
   3 悪性末梢神経鞘腫
 (Polyposis をきたす遺伝性疾患)
  24 Polyposisをきたす遺伝性疾患
   1 Peutz-Jeghers症候群
   2 Cowden病
   3 Cronkhite-Canada症候群
   4 家族性大腸腺腫症
 (異物・外傷)
  25 直腸内異物
  26 直腸肛門部外傷
  27 直腸腟瘻

III編 Q&A
 内科医・内視鏡医が知りたかったQ&A集

【付録】患者さん⇔医師間の認識ギャップも変換! 「おしり問診表」

あとがき
索引

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直腸肛門領域のエンサイクロペディア(百科事典)として永く読み継がれる一冊
書評者: 清水 誠治 (大阪鉄道病院消化器内科統括副院長)
 稲次直樹先生は1970年のご卒業である。私の一回りより上の大先輩であり,既に50年のキャリアを重ねておられる。しかし直接お目にかかった印象は,とにかく若々しくエネルギッシュである。情熱を持続させることの難しさを痛感する昨今であるが,かくも永きにわたり第一線で大腸肛門病の診療に携わってこられたことにまずは敬意を表したい。外科医である稲次先生と私の接点は主に大阪で開催されている「大腸疾患研究会」であるが,これまでに実にいろいろなことを教えていただいた。その稲次先生が多くの協力者や共同研究者とともにワンチームとして咲かせた大輪の花が『「おしりの病気」アトラス[Web動画付]―見逃してはならない直腸肛門部疾患』である。

 本書の第一印象は,見た目に何とも美しい。表紙の赤とクリーム色で塗り分けられた「おしり」のデザインはシンプルでいて洒脱である。大判の本を手に取ってみると,程よい重さと滑らかな手触りで非常に心地よい。扉を開くと1ページ4~5枚大迫力の「おしり」の画像が黒を背景に26ページにわたって押し寄せる。ソフトなタイトルとは裏腹に中身が極めてハードであることを予感させる。続く本編のI編「直腸肛門部診療の基本」には必要な基礎的知識が全て盛り込まれているが,手間暇かけたシェーマがふんだんに用いられている。II編「直腸肛門部疾患アトラス」は本書の核心部分であり,多くの疾患の画像が提示されるとともに,凝縮した解説が加えられている。それにしても何と掲載された画像の多いことか! 帯紙には“画像・イラスト約1,250点”と記載されている。疑り深い私が実際に数えてみたところ,実に写真が1,025点,イラスト(シェーマ)195点,加えて盛りだくさんの表やチャートが40点以上と宣伝文句に偽りはなかった。画像の多い本は一般に字が大きく文字数が少ないものであるが,さにあらず。相対的に小さい文字がびっしりと並び,内容が濃いことこの上ない。巻末のIII編「内科医・内視鏡医が知りたかったQ&A集」や付録「おしり問診票」も気が利いている。外科医が内科医の視点を持つことは難しいと思うが,それができているところがただ者でない。まさに痒いところに手が届く気配り満載である。所々に埋め込まれたQRコードにスマホをかざすと,「おしり」のアイコンが現れ「鑑別診断トレーニング(略して“尻トレ”)」や診察・手術の多数の動画が閲覧できる。

 本書は稲次先生にしてなしえた畢生(ひっせい)の大作であり,この領域におけるエンサイクロペディア(百科事典)として永く読み継がれると確信する。加えて,ここまでやるかと思わせる仕掛けが随所に施されており,担当の編集者魂が垣間見える一冊でもある。一押し。
外科のみならず,内科,産婦人科,皮膚科の日常診療で活用してほしい 直腸肛門分野における必読の書
書評者: 黒川 彰夫 (黒川梅田診療所院長)
 真っ先に目に飛び込んできた「特徴別疾患画像一覧」では,多くの医師たちが戸惑う疾患がインパクトのある100余枚の写真と動画で示されている。これらの画像だけでも頭の隅に置いておくか否かで明日からの日常診療が変わるのではないか。

 直腸肛門部の疾患は,日常診療で頻度の高いありふれた疾病であり,一般に「痔」と称して軽んじて扱う傾向にある。大学の卒後研修を含む医学教育においても,辛うじて下部消化管の外科の一部として教えられるが,実際の日常診療に役立つ内容ではない。それが,わが国における『肛門病学』の実態であり,直腸肛門部疾患を扱う専門医の間では,しばしば切実な問題として論じられてきた。しかも,今日まで初心者にも理解できる成書すら存在しなかった。肛門科医がみて役立つ立派な専門書や技術書は数多存在しているのにもかかわらずである。多くの医師は,直腸肛門部疾患に対する知識が患者さんの知識と同程度しかないことに気付いていない。結果,おしりの診断・治療の問題を,患者さん側から私たち専門医に持ち込まれて難渋する場合がある。

 今回の稲次直樹先生が著した『「おしりの病気」アトラス』は,直腸肛門部疾患を知ろうとする若き医師たちにとっては,これまでにない教科書となるであろう。

 I編の「直腸肛門部診療の基本」では,実際の診察の手ほどきが,問診表から順序よく,写真をふんだんに使ってわかりやすく述べられている。若き医師のみならず,ベテランの医師にとっても有益な内容である。

 II編の「直腸肛門部疾患アトラス」では,良性の痔疾患から始まり,注意すべき直腸肛門部の悪性腫瘍までが,臨場感のある写真を網羅しながら明確に解説されている。視診所見,病態,病理組織,鑑別診断,症状,治療方針そして経過が示されており,専門医にとっても非常に勉強になるので,この分野における必読の書となるであろう。

 巻末にある,III編の「内科医・内視鏡医が知りたかったQ&A集」,さらに付録の患者さんとの意思疎通やコメディカルの仕事に役立つ「おしり問診表」も興味深い企画となっている。

 実際に,帯で武藤徹一郎先生も述べられているように,この本は,稲次直樹先生にしかなし得なかった大作といえる。直腸肛門部疾患を知ろうとする医師の百科事典として後世にまで残ることであろう。また,外科の先生だけでなく,内科,産婦人科,皮膚科の先生方にも日常診療で利用されることを期待している。

 知り合って40年近く切磋琢磨して共に歩んできた友の一人である稲次直樹先生の著書は,私の日常診療の現場でも「座右の書」となるに違いない。医学,医療のみならず全人間的視野を持って人に接する人柄と心の奥に秘めた普遍的で高邁なphilosophy(哲学)を持った人が,稲次直樹先生であることを述べて擱筆(かくひつ)する。
肛門科をめざす若手医師はもちろん,病院で勤務する全ての外科医,内科医にもお薦めしたい名著――診察室や内視鏡室に置いて活用すべき肛門部疾患のバイブル
書評者: 板橋 道朗 (東女医大消化器病センター教授・消化器・一般外科)
 久しぶりに若手医師へ自腹での購入をお薦めしたい本に出合えました。まさに感動です。『「おしりの病気」アトラス』は,肛門部疾患のバイブルといえます。

 非常に丁寧に読者の必要とするものは何かを考え抜き,緻密な計画をもって作られています。まさに,直腸肛門疾患に対する稲次直樹先生の長年の真摯な診療そのものが反映された本といえます。

 何より,質の良い疾患画像やイラストが1200枚以上,非常に豊富に掲載され,驚いたことにスマートフォンでwebにアクセスすると,写真をみて取り込むことができます。もちろんPCにもダウンロード可能です

 肛門科でなければみることが少ない疾患も写真入りで惜しみなく紹介されています。一例として挙げるならば,「自動温水洗浄便座症候群」をご存知でしょうか? 「自動温水洗浄便座症候群」の患者さんの特徴的なおしりの所見が写真入りで紹介されています。肛門科でなければみることが少ないであろう疾患です。写真とともに疾患の治療法まで解説され,さらにweb動画配信のQRコードが盛りだくさんにちりばめられています。

 Webページでは実際の手技の閲覧はもちろんのことですが,画像を用いて鑑別診断トレーニングなどもできます。

 私はこのような丁寧な本は初めて拝見しました。大学で医学部生に肛門疾患の講義を担当していますが,この本を学生に紹介して医学部図書館の蔵書とし,そして講義でも一部の写真を使わせていただきたいと思います。

 私自身の実臨床でも「目からうろこ」のバイブルが手に入りました。私の戸棚の『大腸癌治療ガイドライン』のすぐ隣に置かせていただき,時間があれば拝読しています。

 肛門科をめざす若手医師はもちろんのこと,病院で勤務する全ての外科医,内科医にもお薦めしたい,まさに名著です。

 そして,診察室や内視鏡室に置いておいて,バイブルとしての活用をお薦めします。

※画像の二次利用には転載許諾の手続きが必要です。

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