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看護理論家の業績と理論評価 第2版

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日本の看護研究者が、30人の看護理論家の業績および理論の紹介、それぞれの理論の評価を解説。第2版では新たに理論家2人を追加し、横断的に「ケアリング」を概観する章を設け、「理論開発」の解説を加えるなど内容をブラッシュアップした。本書で紹介される看護理論家とその理論は、看護系大学院生、学部生の基礎教養として知っておくべきもので、これからの看護学・看護科学の発展のために欠かせないものである。
編集 筒井 真優美
発行 2020年03月判型:B5頁:624
ISBN 978-4-260-03961-1
定価 7,040円 (本体6,400円+税)

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第2版序

 地球温暖化,少子高齢化,AIの進化,医療技術の進歩など看護を取り巻く現状は,大きく変化しています.内閣府の第5期科学技術基本計画において,わが国が目指すべき未来社会の姿として「Society 5.0」が提唱されました.Society 5.0で実現する社会は「経済発展と社会的課題の解決を両立する,人間中心の社会(Society)」です(https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/index.html).「人間中心の社会」(Society 5.0)では,看護学は重要な役割を担える学術分野と考えられます.

 看護学は実践科学であり,人間の健康と安寧を対象にしていることは,多くの看護科学者によって明らかにされています.看護実践をよりよいものに導き,人々によりよいケアを提供するために,実践を記述し,説明し,よりよい結果を予測する看護理論が大きな役割を果たしています.

 本書『看護理論家の業績と理論評価』の初版発行から5年が過ぎました.日本では2014年から2019年にかけて,看護系大学が235校から272校に,修士課程が146校から183校,博士課程が72校から101校と増加し続けています.修士課程・博士課程,特に理論を開発する博士課程においては看護理論に関する授業科目が必須です.
 そこで今回の第2版では,初版に以下の3点を追加致しました.
 第1に,「理論開発」について追加しました.米国では多くの博士課程で,看護学の知の発展に関する系統立てたコースワークが必修となっており,授業で概念分析や理論開発などが求められます.しかし,日本ではこのようなコースワークのある大学院は少なく,院生たちは手探りで理論開発をしています.
 第2に,看護学にとって重要な概念である「ケアリング」の追加です.ケアリングは,看護系大学の理念などに標榜されているにもかかわらず,さまざまな解釈がされているため,概観をまとめました.ケアリングに関する理論家は本書でも,Benner,Leininger,Watsonの3大ケアリング理論家,第25章のMarilyn A. Ray,第31章 Kristen M. Swanson,第32章 Anne Boykinが含まれています.
 第3に,Kolcaba,Meleisの理論を修士課程などで活用する学生・院生も増えてきたので,追加しました.

 本書は,第I部で,看護理論の評価をしていくうえで基盤となる知識をまとめています.「第1章 看護学・看護科学の発展」では,看護学の学問体系,看護理論研究者の業績などとともに,日本の看護理論および邦訳を一覧表にし,先達の看護理論への熱い思いを掲載しています.「第2章 看護理論」では,看護理論を哲学,看護モデルなどに分類せずに看護理論として解説し,「第3章 理論の評価と理論開発」は本書の主軸となる理論評価の内容と,理論評価の理解を深めたうえでの理論開発について解説しています.「第4章 看護理論の歴史」は巻末の年表とともに看護学の発展を理解するために書かれています.「第5章 看護理論と倫理」では,今後,看護学が発展するために重要となる倫理について取り上げています.また,あらたに「第6章 ケアリングの概観」を追加しました.
 第II部以降では,初版同様に,各看護理論家を,理論の出発点となるような書籍や論文等の「最初の代表的著作」の発行年代順に掲載しています.最初の代表的著作が発行された時期をもとに,各看護理論家を,第II部「『看護覚え書』発行~1959年」,第III部「1960~1969年」,第IV部「1970~1979年」,第V部「1980年以降」と分類をしています.
 看護理論を理解するには理論家の生きた時代背景や国・地域の文化の理解が重要となりますので,巻末に日本と世界における看護の流れに関する年表と,各理論家の生誕地と主に活躍した都市を紹介した地図を掲載しています.

 本書の意図を理解していただき,お忙しい中にこの第2版も快く執筆を引き受けてくださり,真摯に取り組んでくださいました執筆者の皆様に感謝します.なお,第11章のドロシー・E・ジョンソンを執筆くださった兼松百合子先生がお亡くなりになりました.謹んでご冥福をお祈り致します.
 日本赤十字看護大学図書館司書の小松久美様には文献に関してお世話になりました.最後に医学書院の堀口一明様,北原拓也様にはさまざまな形で支援していただきました.ありがとうございました.

 2020年 スノーフレークの咲くころ
 編者 筒井真優美

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第I部 看護理論の発展と理論評価の基盤となるもの
 第1章 看護学・看護科学の発展
 第2章 看護理論
 第3章 理論の評価と理論開発
 第4章 看護理論の歴史
 第5章 看護理論と倫理
 第6章 ケアリングの概観

第II部 『看護覚え書』発行~1959年
 第7章 フローレンス・ナイチンゲール:創まりの看護理論
 第8章 ヒルデガード E. ペプロウ:看護における人間関係の概念枠組み
 第9章 ヴァージニア・ヘンダーソン:人間のニードと看護独自の機能
 第10章 アーネスティン・ウィーデンバック:臨床看護における援助技術
 第11章 ドロシー E. ジョンソン:ジョンソン行動システムモデル

第III部 1960~1969年
 第12章 フェイ・グレン・アブデラ:21の看護問題
 第13章 マドレン M. レイニンガー:文化ケアの多様性と普遍性
 第14章 アイダ・ジーン・オーランド:看護過程の教育訓練
 第15章 ジョイス・トラベルビー:人間対人間の看護
 第16章 マイラ E. レヴァイン:保存モデル

第IV部 1970~1979年
 第17章 マーサ E. ロジャーズ:ユニタリ・ヒューマン・ビーイングズ
 第18章 ドロセア E. オレム:セルフケア不足看護理論
 第19章 アイモジン M. キング:目標達成理論
 第20章 ベティ・ニューマン:ベティ・ニューマン・システムモデル
 第21章 シスター・カリスタ・ロイ:人と環境の統合を創る能力(適応)
 第22章 ラモナ T. マーサー:母親役割移行過程理論(Becoming a Mother)
 第23章 ジーン・ワトソン:ヒューマン・ケアリング・サイエンス
 第24章 マーガレット A. ニューマン: 拡張する意識としての健康の理論
        (Health as Expanding Consciousness : HEC)
 第25章 マリリン A. レイ:ビューロクラティック・ケアリング理論

第V部 1980年以降
 第26章 ローズマリー・リゾ・パースィ:人間生成(humanbecoming)理論
 第27章 ノラ J. ペンダー:ヘルスプロモーション・モデル
 第28章 パトリシア・ベナー: 看護実践の明示化(articulation)から
       看護学教育法のたゆまぬ探求
 第29章 パメラ G. リード:セルフ・トランセンデンス
 第30章 マール H. ミシェル:不確かさ理論
 第31章 クリステン M. スワンソン:ケアリング中範囲理論
 第32章 アン・ボイキン:ケアリングとしての看護
 第33章 シェリル・タタノ・ベック:産後うつ病理論
 第34章 クリストファー・ジョーンズ:リフレクティブ,ナラティブ
 第35章 キャサリン・コルカバ:コンフォート理論
 第36章 アフアフ I. メレイス:移行理論

付録
 年表:日本・世界の出来事と看護の理論化の流れ
 地図:看護理論家の生誕地・活躍した都市

索引

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