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がん診療レジデントマニュアル 第8版

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昨今、免疫チェックポイント阻害剤等の躍進により多くの領域で標準療法がめまぐるしく塗り替えられている。またがんゲノム診療元年でもある2019年は、がんゲノム医療中核拠点病院・がんゲノム医療連携病院が選定され、保険診療としてがん遺伝子プロファイリング検査が開始された記念すべき年でもある。とはいえ本書の目的は変わらず、第一線の医療者に向けて目の前の医学的事象に対し常に「現実的な最適解」を提示している。
*「レジデントマニュアル」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ レジデントマニュアル
編集 国立がん研究センター内科レジデント
発行 2019年10月判型:B6変頁:584
ISBN 978-4-260-03915-4
定価 4,400円 (本体4,000円+税)
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第8版の序

 このたび,『がん診療レジデントマニュアル』の第8版が刊行されることになりました。2016年に刊行された第7版から3年の歳月が流れましたが,その間にがん診療は凄まじい変化を遂げました。第7版の刊行時にもすでに存在していた免疫チェックポイント阻害薬やがん遺伝子プロファイリング検査といった新規の医療技術が,診療に深く浸透したことが大きい要因といえます。実際に免疫チェックポイント阻害薬などの躍進により多くの領域で標準療法がめまぐるしく塗り替えられました。また,第8版が発刊される2019年は,がんゲノム診療元年ともいわれ,がんゲノム医療中核拠点病院およびがんゲノム医療連携病院が選定され,保険診療としてがん遺伝子プロファイリング検査が開始された記念すべき年です。
 一方で,医療従事者はがん診療の現場で,めまぐるしい変化に惑わされることなく,目の前の医学的事象に対し「現実的な最適解」を素早く出さないといけません。『がん診療レジデントマニュアル』第8版はこのような環境で闘う医師,看護師,薬剤師,その他すべての医療従事者の方々にとって現場ですぐに役立つマニュアルとなることを目指して作成してまいりました。今回は,2018年ASCO,ESMOまでの情報を掲載の目安としました。
 今版も国立がん研究センターのレジデントが原稿を執筆し,編集責任者6人がレビューして推敲・校正を重ねて完成させる,というこれまでの基本スタイルを踏襲していますが,今回は編集責任者の大幅な若返りが特徴です(この激動の時代,頭の柔らかい若手でないと最新の医学的知識のアップデートは間に合わないのではないでしょうか!)。本書のコラム(Memo)でも一部触れていますが,すでにリキッドバイオプシーやマイクロバイオーム,ゲノム編集など次の時代の息吹も聞こえてきており,第9版が刊行される頃には今では想像もつかないようながん診療が繰り広げられていることでしょう! 柔軟な頭と熱い心をもった,次世代を担う若い世代の皆様が多くのがん患者を救い,これからのがん診療を進歩させていくことは間違いないでしょう。本レジデントマニュアルがそのような方々の手に届き,がん診療の一助となることを祈ります。

 2019年8月
 国立がん研究センター中央病院肝胆膵内科医長 森実千種

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1 がん診療と患者医療者間のコミュニケーション
2 がん薬物療法の基本概念
3 臨床試験
4 肺がん・悪性胸膜中皮腫
5 乳がん
6 頭頸部がん・甲状腺がん
7 食道がん
8 胃がん
9 大腸がん
10 肝・胆・膵がん
11 神経内分泌新生物・消化管間質腫瘍
12 婦人科がん
13 泌尿器腫瘍
14 胚細胞腫瘍
15 造血器腫瘍
16 骨軟部悪性腫瘍
17 皮膚がん
18 原発不明がん
19 脳腫瘍
20 がん性胸膜炎・がん性腹膜炎・がん性髄膜炎・がん性心膜炎
21 感染症対策
22 がん疼痛の治療と緩和ケア
23 骨髄抑制
24 消化器症状に対するアプローチ
25 腫瘍随伴症候群,抗悪性腫瘍薬の調製・投与方法と漏出性皮膚障害
26 がん治療における救急処置─オンコロジック・エマージェンシー
27 免疫療法の有害事象

付録1 抗悪性腫瘍薬の種類
付録2 抗悪性腫瘍薬の略名
付録3 体表面積算定表

あとがき
和文索引
欧文索引

Memo 一覧
 ・遺伝子検査におけるインフォームド・コンセント
 ・臨床研究法
 ・リキッドバイオプシー
 ・大腸がんにおけるBRAF V600E遺伝子変異
 ・がん診療連携拠点病院とがんゲノム医療中核拠点病院─がん医療の均てん化
 ・MSI-H/dMMR
 ・遺伝性腫瘍について
 ・CD30陽性末梢性T細胞リンパ腫(CD30+PTCL)に対する初回治療
 ・造血器腫瘍に対するBCL2阻害薬
 ・MicroRNAをターゲットとした薬剤開発
 ・新専門医制度とがん薬物療法専門医
 ・アドバンス・ケア・プランニング(ACP)
 ・マイクロバイオーム

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重要な知見が要領よくまとまった現場で役立つマニュアル
書評者: 南 博信 (神戸大大学院教授・腫瘍・血液内科学)
 『がん診療レジデントマニュアル』が改訂され第8版が出版された。初版が世に出されたのが1997年だから22年にもわたって利用されていることになる。本マニュアルは疫学・診断から治療までを要領よく網羅しコンパクトサイズにまとめているため,白衣のポケットに入れてベッドサイドで知識を確認するために便利に活用できる。国立がん研究センターの若手内科医が書いているので,治療それも薬物療法が中心にまとめられている。がん薬物療法に携わっている内科医がよく利用しているのも理解できる。

 目を通してもらうとわかるが,本マニュアルの薬物療法の記載には全て根拠論文が示されている。患者さんは一人として同じ人はいないのだから,マニュアルだけでは実際の治療はできない。必ず根拠論文をあたって,その治療をどのような患者さんのどのような状況でどのように使うべきか,その効果の大きさと副作用の程度からどの位の有用性が期待できるのかを把握してから治療に当たる必要がある。今は病棟や外来でも簡単にインターネットにアクセスできる時代である。この根拠論文は必ず役に立つはずである。逆に言えば,必ず根拠論文をあたってから治療に臨まねばならない。治療の根拠論文にすぐたどり着けるという意味でも,本マニュアルは非常に便利な一冊である。

 日本臨床腫瘍学会のがん薬物療法専門医試験会場では,試験開始前やあるいは休憩時間にこの『がん診療レジデントマニュアル』で知識の整理をしている受験生がほとんどと言ってよいくらいに多い。それだけ信頼されている。このマニュアルで試験勉強をしている人もいると聞く。しかし,本マニュアルは日常がん診療にあたって素早く知識を確認するために使用することを念頭に書かれている。したがって,がん薬物療法の基本的な考え方,原理・原則を学ぶためには書かれていない。あくまでも知識の整理・確認のためのマニュアルであり教科書ではない。試験前に知識を確認するのはよいが,腫瘍内科学の本質は本マニュアルでは学習できない。DeVitaや日本臨床腫瘍学会などが出している教科書で腫瘍内科学の本質をきちんと学んでから,本マニュアルで知識を整理してほしい。

 本マニュアルはほぼ3年ごとに改定され常に新しい治療を取り入れている。しかし,がん薬物療法は進歩が目覚ましく,毎年治療体系が変わっている。実際に,本マニュアルが出版された後の半年でも治療体系が変わったがんもある。本マニュアルに頼るだけでなく,がん治療に携わる者は常に新しい情報を把握する努力が必要である。

 とはいえ,本マニュアルでは重要な知見を要領よくまとめられており,がん診療の現場で必ず役に立つはずである。私も常に白衣のポケットに入れている。本マニュアルが有効に活用され,がん薬物治療の向上に貢献することを願って止まない。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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