物理療法学 第5版

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理学療法士養成課程における「物理療法学」のテキストとして最適の1冊。第5版では新たに「実習」「臨床応用」という項目を各章に設け、座学で学ぶ内容が臨床場面でどう生かされるのかを具体的にイメージできるように解説する。また新たな章として圧迫療法、振動療法、バイオフィードバック療法を設ける。巻末付録の「物理療法学における基本用語解説」は内容がさらに充実。全頁をカラー印刷とし、より見やすい紙面構成となった。
*「標準理学療法学」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ 標準理学療法学 専門分野
シリーズ監修 奈良 勲
編集 網本 和 / 菅原 憲一
発行 2020年02月判型:B5頁:376
ISBN 978-4-260-03948-2
定価 5,280円 (本体4,800円+税)

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第5版 序

 標準理学療法学シリーズ「物理療法学」の第4版が上梓されてから7年を経て,第5版を出版できるはこびとなった.この間の重要な出来事としては,「指定規則」が約20年ぶりに改正されることとなり,さらにモデルコアカリキュラムが日本理学療法士協会から提案され,理学療法教育(特に臨床実習教育)の大きな転換点を迎えていることである.
 理学療法教育における「物理療法学」の意義は不変であるが,その包含する内容は日進月歩である.第5版では物理療法の適応刺激の刺激量,頻度,時間などを変化させることでさまざまな効果,影響を及ぼす可能性について指摘し,物理療法が「古くて新しい技術である」ことを強調した.たとえば第4版で紹介された経頭蓋磁気刺激はいまやneuromodulationの重要な一翼を担うほどに一般的な手法となったが,この方法を含めこの7年間の進歩とエビデンスを取り込んで今回の改訂を行ったところである.
 第5版では全体として「リスク管理」の章を冒頭に配置し,医療安全に配慮した.また「バイオフィードバック療法」を新たに独立した部とし,第4版までマッサージ療法としていたものを「徒手的療法」とした.さらに注目を集めつつある「圧迫療法」,「振動療法」を追加した.そして今改訂のポイントとしては,各部において新たに「◯◯療法の実習」という項目を設定し,本書の主な読者であるリハビリテーションを志す学生諸氏に体験的に理解できるようにした点と,第4版まで「症例別物理療法プログラムの実際」として巻末にまとめて提示していたものを,第5版ではそれぞれの部における物理療法技術・手技の解説に続ける形で「◯◯療法の臨床応用」として示した点があげられる.また今回の改訂ではいくつかの項目において執筆者の交代をお願いした.交代のご快諾をいただいた先生方には,これまでのご尽力に深甚なる感謝を申し上げる次第である.
 物理療法が「古くて新しい技術である」ことは,物理的刺激が古代より治療に供されてきた事実を歴史的背景として,現代における刺激の生成・発生と適用方法についての著明な科学的・技術的進歩が体現している.平成から令和へと時代が進んでいくなかで,理学療法学における物理療法学の重要性は色褪せることはないであろう.読者諸賢の批判的吟味によって本書がさらに磨かれることを切に願うものである.

 2020年1月
 網本和・菅原憲一・松田雅弘

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物理療法学総論
  1 歴史と今後の課題・展望
   A わが国のリハビリテーション医療における物理療法
   B 各種物理療法の歴史
   C 戦後のわが国における物理療法の歴史的変遷
   D わが国における物理療法の発展を阻害する要因
   E 理学療法の新たな展開
  2 リスク管理
   A リハビリテーションにおける事故の事例
   B 医療におけるリスク管理
   C 医療事故とその発生要因
   D リスクマネジメントのプロセス

物理療法学各論
 I 温熱療法
  1 温熱療法の定義・分類
   A 温熱療法の定義
   B 温熱療法の分類
   C 物理療法における温熱療法の位置づけ
  2 温熱療法の基礎と生理学的作用
   A 温熱療法の基礎
   B 温熱療法の生理学的作用
  3 温熱療法の実際①:ホットパック
   A ホットパック(蓄熱式パック)
   B 電熱ホットパック(発熱パック)
   C 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
   D 課題と展望
  4 温熱療法の実際②:パラフィン浴
   A 特徴,効果
   B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
   C 実施手順
   D 課題と展望
  5 温熱療法の実際③:極超短波療法・超短波療法
   A 極超短波と超短波
   B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事項
   C 極超短波療法の特徴と実施手順
   D 超短波療法の特徴と実施手順
   E 課題と展望
  6 各種温熱療法の実際④:超音波療法
   A 特徴
   B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
   C 実施手順
   D 課題と展望
  温熱療法の実習
   A 伝導熱(ホットパックとパラフィン)
   B エネルギー変換熱(極超短波療法)
  温熱療法の臨床応用
   A 変形性関節症への実際
 II 寒冷療法
  1 寒冷療法の定義・分類
   A 寒冷療法の定義
   B 寒冷療法の分類
  2 寒冷療法の基礎と生理学的作用
   A 寒冷療法の基礎
   B 寒冷療法の生理学的作用
  3 寒冷療法の実際
   A アイスマッサージ
   B アイスパック
   C コールドパック
   D 冷水浴
   E コールドスプレー
   F 持続的冷却装置
   G 携帯用急冷パック
   H 極低温療法
   I 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
   J 課題と展望
  寒冷療法の実習
   A 寒冷療法後の表在温度の時間経過(クリッカー)
  寒冷療法の臨床応用
   A 野球選手の投球後のアイシング
   B 足関節捻挫に対するリコンディショニング
 III 水治療法
  1 水治療法の定義・分類
   A 水治療法の定義
   B 水治療法の分類
   C 物理療法における水治療法の位置づけ
  2 水治療法の基礎と生理学的作用
   A 水治療法の基礎
   B 水治療法の生理学作用
  3 水治療法の実際
   A 部分浴(気泡浴,渦流浴)の実際
   B 交代浴の実際
   C Hubbard浴の実際
   D 運動用プールの実際
   E 適応疾患例と禁忌
   F 注意を要する事象
   G 感染対策
  水治療法の実習
   A 部分浴
  水治療法の臨床応用
   A 下肢骨折における部分浴
 IV 電気刺激療法
  1 電気刺激療法の定義・分類
   A 電気刺激療法の定義
   B 電気刺激療法の分類
   C 物理療法における電気刺激療法の位置づけ
  2 電気刺激療法の基礎と生理学的作用
   A 電気刺激療法の基礎
   B 電気刺激療法の生理学的作用
   C 電気刺激を用いた診断
  3 電気刺激療法の実際①:神経筋電気刺激/治療的電気刺激
   A 特徴
   B 中枢神経障害に対するTES
   C 末梢神経障害に対するTES
   D 創傷に対するTES
   E その他の障害に対するTES
   F エビデンス
   G 展望
  4 電気刺激療法の実際②:機能的電気刺激(FES)
   A 特徴と効果機序
   B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
   C 実施手順
   D エビデンス
   E 展望
  5 電気刺激療法の実際③:経皮的電気神経刺激(TENS)
   A TENS使用のための􄻏痛の基礎知識
   B 特徴と効果機序
   C 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
   D 実施手順
   E エビデンス
   F 展望
  6 電気刺激療法の実際④:中周波,干渉波
   A 特徴と効果
   B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
   C 実施手順
   D 課題と展望
  7 電気刺激療法の実際⑤:経頭蓋磁気刺激および特殊刺激療法
   A 経頭蓋磁気刺激(TMS)の基礎
   B 磁気刺激を用いた臨床応用
   C 経頭蓋直流電気刺激(tDCS)
  電気刺激療法の実習
   A 刺激パラメータの相違による刺激特性の主観的分析
   B TENSの痛みに対する効果の検証
   C 運動療法との併用における筋出力発揮効果の検討
  電気刺激療法の臨床応用
   A 末梢神経麻痺へのTES使用の実際
   B 変形性膝関節症の痛みへのTENS使用の実際
   C 脳卒中片麻痺患者の歩行障害への電気刺激療法
   D 脳卒中片麻痺患者への運動療法との併用による筋力増強効果
   【TOPIC 1】褥瘡における電気刺激療法の効果
 V バイオフィードバック療法
  1 バイオフィードバック療法の定義・分類
   A バイオフィードバックの定義
   B バイオフィードバック療法の分類
   C 物理療法におけるバイオフィードバック療法の位置づけ
  2 バイオフィードバック療法の基礎と生理学的作用
   A バイオフィードバック療法の基礎
   B バイオフィードバック療法の生理学的作用
   C バイオフィードバック療法と運動学習
  3 バイオフィードバック療法の実際①:筋電図によるバイオフィードバック
   A 特徴
   B 適応疾患例・禁忌
   C 実施手順
   D 課題と展望
  4 バイオフィードバック療法の実際②:視覚的バイオフィードバック
   A 特徴と効果
   B 適応疾患例・禁忌
   C 実施手順
   D 課題と展望
  バイオフィードバック療法の実習
   A 筋電図
   B 視覚を用いたもの
   【TOPIC 2】バーチャルリアリティを用いた例
 VI 光線療法
  1 光線療法の定義・分類
   A 光線療法の定義・分類
   B 物理療法における光線療法の位置づけ
  2 光線療法の基礎と生理学的作用
   A 光線療法の基礎
   B 光線療法の生理学的作用
  3 光線療法の実際①:紫外線療法
   A 特徴と生理学的効果
   B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
   C 実施手順
   D 課題と展望
  4 光線療法の実際②:赤外線療法
   A 特徴と生理学的効果
   B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
   C 実施手順
   D 課題と展望
  5 光線療法の実際③:レーザー療法
   A 特徴と生理学的作用
   B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
   C 実施手順
   D 課題と展望
  光線療法の実習
   A レーザー照射後の皮膚変化と主観的訴えの経時的変化
   【TOPIC 3】関節リウマチに対するレーザー療法
 VII 徒手的療法
  1 徒手的療法の定義・分類
   A 徒手的療法の定義
   B 徒手的療法の分類
   C 現在における使用頻度
  2 徒手的療法の基礎と生理学的作用
   A 徒手的療法の基礎
   B 徒手的療法の生理学的作用
  3 徒手的療法の実際①:筋膜リリース
   A 特徴と効果
   B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
   C 実施手順
   D 課題と展望
  4 徒手的療法の実際②:軟部組織モビライゼーション
   A 特徴と効果
   B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
   C 実施手順
   D 課題と展望
  5 徒手的療法の実際③:関節モビライゼーション
   A 特徴と効果
   B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
   C 実施手順
   D 課題と展望
  徒手的療法の実習
   A 横断マッサージ
  徒手的療法の臨床応用
   A 肩関節痛に対する治療の実際
 VIII 牽引療法
  1 牽引療法の定義・分類
   A 牽引療法の定義
   B 牽引療法の分類
  2 牽引療法の基礎と生理学的作用
   A 牽引療法の基礎
   B 牽引療法の生理学的作用
  3 牽引療法の実際①:頸椎牽引療法
   A 特徴と効果
   B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
   C 実施手順
   D 課題と展望
  4 牽引療法の実際②:腰椎牽引療法
   A 特徴と効果
   B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
   C 実施手順
   D 課題と展望
  牽引療法の臨床応用
   A 上肢頸腕痛
 IX 圧迫療法
  1 圧迫療法の定義・分類
   A 圧迫療法の定義
   B 圧迫療法の分類
  2 圧迫療法の基礎と生理学的作用
   A 圧迫療法の基礎
   B 圧迫療法の生理学的作用
   C 圧迫療法の効果
   D 圧迫療法の適応疾患例
   E 圧迫療法の禁忌と注意を要する事象
   F 浮腫
  3 圧迫療法の実際①:間欠的空気圧迫法
   A 特徴と効果
   B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
   C 実施手順
  4 圧迫療法の実際②:弾性ストッキング
   A 特徴と効果
   B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
   C 実施手順
   【TOPIC 4】がんに対する圧迫療法
 X 振動療法
  1 振動療法の定義・分類
   A 振動療法(バイブレーション)の定義
   B 振動療法の分類
   C 物理療法における振動療法の位置づけ
  2 振動療法の基礎と生理学的作用
   A 振動療法の基礎
   B 振動療法の生理学的作用
  3 振動療法の実際①:痙縮に対する振動療法
   A 特徴と効果
   B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
   C 実施手順
   D 課題と展望
  4 振動療法の実際②:固有受容感覚に対する振動療法
   A 特徴と効果
   B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
   C 実施手順
   D 課題と展望
  5 振動療法の実際③:痛みに対する振動療法
   A 特徴と効果
   B 適応疾患例・禁忌,注意を要する事象
   C 実施手順
   D 課題と展望
  振動療法の臨床応用
   A 痙縮に対する振動療法

物理療法学における基本用語解説

索引

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