臨床検査 第8版

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・診療の現場では、「臨床検査」を欠かすことはできません。医師の補助や患者の介助、検体移送などにおける注意事項を「看護のポイント」として記載しました。また、看護師が実施・患者指導を行うことも多い簡易検査について具体的な記述を充実させました。検査結果の取り扱い(守秘義務)などについても触れています。
・なぜこのような反応・数値が出るのかを知ることで、病態と解剖生理の知識がつながります。解剖生理学の授業と並行しての学習もできるように、イラストなどを適宜配置して解説を加えました。
・本書には各診療科で行われる検査が横断的にまとめられており、主要な検査項目の知識を網羅しています。授業や実習だけにとどまらず、新たに働きはじめた臨床現場でも、リファレンスとして役だてることができます。

*「系統看護学講座/系看」は株式会社医学書院の登録商標です。

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  • 序文
  • 目次

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はしがき

 医療は病に悩む人々に治療や看護ケアを行って,心身を健康な状態に戻し,社会生活に復帰させる行為をいう。それには生活習慣を改善するなどして病気になるのを予防したり,後遺症に対してリハビリテーションなどを行うことも含まれる。
 このように医療は幅広い領域に及ぶ行為であるが,現代における医療には大きく2つの特徴があげられる。それは,多職種の協働・連携によるチーム医療と,科学的根拠に基づく医療である。

チーム医療の実践
 人々の病気を治療し,また健康を増進するには,多くの医療職が協力し,それぞれの専門性を発揮して医療の質を高めることが求められる。
 医師は病気を診断し,薬物療法や手術などによって治療を行う。看護師は看護ケアを通じて,患者の心身の回復を担当する。薬剤師は調剤や服薬指導を行う。管理栄養士は患者の栄養管理や,栄養食事療法を担当する。臨床検査技師は臨床検査を実施し,診療放射線技師はX線撮影や放射線治療を担当する。このほかにも理学療法士や作業療法士,言語聴覚士など,多くの職種が医療にかかわり,チームを組み,協力して医療を行っている。

科学的根拠に基づく医療
 また現代では,科学的根拠に基づいて医療が行われることが求められている。ヒポクラテスの時代以来,医療はおもに経験と伝承によって行われてきた。しかし20世紀以降,科学が急速に発展し,ものごとの理論的な背景がはっきり示されるようになった。医療においても治療や処置の効果が科学的に証明され,根拠に基づいて実践されるようになり,さらに発展を続けている。

臨床検査を学ぶ意味
 さて,こうした現代の医療の特徴を着実に活用し,高度の医療を行って人々の健康をまもり増進するには,医療職が共通の知識をもって議論することが重要である。病棟などではカンファレンス(臨床討論)が行われ,医療職が互いの専門知識をもとに話し合って,個々の患者に最適の医療を行う計画をたてて実行される。
 こうした討論をスムーズに行うには,医療職すべてが共通の言語を使って,患者の病態や治療方針,治療効果,ケアプラン策定などについて話し合わなくてはならない。その共通言語の1つが臨床検査である。病気を確実に診断したり,治療方針を決定するためには,臨床検査を欠かすことはできない。したがって,すべての医療職は臨床検査の意義や目的を理解し,検査データを解釈できることが望まれる。
 しかしながら,数多くあるすべての臨床検査について理解しておくことは,けっしてやさしいことではない。そこで本書は,看護師を目ざして勉学に励む看護学生,また医療の現場で活躍している看護師に対し,臨床検査をわかりやすく学んでもらうために編集された。
 本書を活用して,看護ケアの実践に役だてていただきたいと願う。

改訂の趣旨
 本書第8版でのおもな改訂点は,以下のようなものである。基本的な構成は第7版を踏襲しつつ,看護師が医療施設で行う検査の介助や患者の指導について,より理解が深まるように,文章の修正などを加えることにした。
 第1章では,場面別の臨床検査として遺伝子検査の項目を加えた。また第2章では,ベッドサイドで看護師が行うこともある迅速検査や,患者の自己測定の指導などについて加筆したほか,検査によって生じる医療者の感染防止についても内容を充実させた。
 つづく第2部では,各領域別の検査方法や検査機器などについて内容が刷新された。とくに第10章の生体検査については,心電図検査や内視鏡検査など,看護師が補助・介助を行うことの多い内容を増やし,一層有用性を高めることとした。
 巻末には,おもな検査項目の基準値を整理して掲載した。基準値は測定方法や施設によって違いが出るが,学習の際の目安として活用していただければと思う。
 改訂版の編集にあたり,多くの執筆者にご協力をいただいた。ここに厚く御礼を申し上げる。

 2018年10月
 編者を代表して
 奈良信雄

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第1部 臨床検査の基礎
 第1章 臨床検査とその役割(奈良信雄)
   A 診療における臨床検査の役割
   B 臨床検査の種類
   C 臨床検査の場面と目的
   D 臨床検査結果の評価
 第2章 臨床検査の流れと看護師の役割(奈良信雄・井上智子・松本哲哉・稲垣美智子・大桑麻由美)
   A 臨床検査の流れ
   B 臨床検査の準備
   C 検査を受ける患者への説明と注意
   D 検体の採取法,保存・移送法
   E 検査に伴う危険とその防止
   F 看護師が実施・指導する検査
   G 生体検査とその介助
   H 検査結果の取り扱い

第2部 おもな臨床検査
 第3章 一般検査(北島信治・和田隆志・奈良信雄)
   A 尿検査
   B 便検査
   C 体腔内貯留液検査
   D 脳脊髄液(髄液)検査
   E 関節液検査
   F 消化液検査
 第4章 血液学的検査(奈良信雄・東田修二)
   A 赤血球沈降速度(赤沈;血沈)
   B 血球検査
   C 出血・凝固検査
   D 溶血性貧血の検査
   E 骨髄検査
 第5章 化学検査(前川真人・和田隆志)
   A 血清タンパク質の検査
   B 血清酵素の検査
   C 糖代謝の検査
   D 脂質代謝の検査
   E 胆汁排泄関連物質の検査
   F 窒素化合物の検査
   G 骨代謝関連検査
   H 腎機能の検査
   I 水・電解質の検査
   J 血液ガス分析
   K 鉄代謝関連検査
   L 銅代謝関連検査
   M ビタミンの検査
   N 血中薬物濃度の検査
 第6章 免疫・血清学的検査(東田修二)
   A 炎症マーカーの検査
   B 液性免疫の検査
   C 細胞性免疫の検査としての血球細胞表面マーカー
   D 自己抗体の検査
   E アレルギー検査
   F 免疫学的妊娠反応の検査
   G 腫瘍マーカーの検査
   H 輸血に関する検査
 第7章 内分泌学的検査(村上正巳・森村匡志・常川勝彦)
   A 下垂体前葉ホルモンの検査
   B 下垂体後葉ホルモンの検査
   C 甲状腺ホルモンの検査
   D 副甲状腺ホルモンの検査
   E 副腎皮質ホルモンの検査
   F 副腎髄質ホルモンの検査
   G 男性性腺ホルモンの検査
   H 女性性腺ホルモンの検査
   I 膵臓ホルモンの検査
   J 消化管ホルモンの検査
   K その他のホルモンの検査
 第8章 微生物学的検査(松本哲哉)
   A 感染症の診断と検査
   B 各種感染症と検査
   C 各種病原体と検査
 第9章 病理学的検査(北川昌伸)
   A 細胞診
   B 病理組織検査
   C 剖検診断
 第10章 生体検査(川良徳弘・東條尚子・碓氷章・叶内匡・山田一郎・荒木昭博)
  I 生理機能検査
   A 循環機能検査
   B 呼吸機能検査
   C 神経機能検査
  II 画像検査
   A 超音波検査
   B 磁気共鳴画像(MRI)検査
   C サーモグラフィー
  III 内視鏡検査

巻末資料 おもな検査項目と基準値
索引

Column,NOTE
 間違ったダイエットがまねく貧血
 感度と特異度は高さを両立できるか
 検体の採取と保存
 肉中心の食事と尿のpH
 白血球数の異常低値
 播種性血管内凝固(DIC)の検査法
 栄養評価タンパク質
 溶血と血清LD
 健康な人のCK異常高値
 ペプシノゲンを用いた胃がんスクリーニング(ABC検診)
 血糖値が1,000mg/dL
 メタボリックシンドローム
 CKDの重要性
 さまざまな酸塩基平衡の緩衝系
 TDMが有効な薬物
 急性白血病患者の骨髄移植
 ホルモンの測定法
 成人成長ホルモン分泌不全症
 低トリヨードサイロニン症候群(low-T3症候群)
 新生児マススクリーニング
 検査結果は診療にどのように反映されるか
 菌血症と敗血症
 ベセスダシステム
 電子顕微鏡診断
 コンパニオン診断
 臨床病理検討会
 観血的血圧測定
 標準12誘導心電図
 呼吸機能検査のおもな略語
 ピークフローメーター
 酸素と二酸化炭素の拡散
 からだに電気を流して大丈夫なの?

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