基礎看護学[2]
基礎看護技術Ⅰ 第17版
本書の特徴
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●基礎看護技術I・IIでは、基礎看護技術についてただ単に方法や手順を学ぶのではなく、看護師として必要な判断力(問題解決能力・行動力)を身につけ、その判断に基づく介入および技術を適用できる能力を養うことを目標としています。
●本書では、看護の入り口となる「第1章:コミュニケーション」、ケアの入り口となる「第2章:ヘルスアセスメント」、全体の流れを理解する「第3章:看護過程展開の技術」、「第4章:学習支援」という項目立てとし、看護の流れを無理なく理解できる構成としています。
●ヘルスアセスメントにおいては、各系統別のアセスメント技術について目的・基礎知識・方法を丁寧に解説し、成人看護学や臨床へとつなげられるものを目ざしました。また、技術を実践する際の「根拠とポイント」を数多く示しました。
●看護過程展開の技術や学習支援については、適宜事例を取り入れることによって、理解を深められるように工夫しました。
●バイタルサインやフィジカルアセスメントの内容に加え、新しくコミュニケーションに関する動画を掲載し、内容のふり返りや実習のための事前学習に役だてていただけるように工夫しています。
*「系統看護学講座/系看」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ | 系統看護学講座-専門分野Ⅰ 2 |
---|---|
著 | 有田 清子 / 石田 寿子 / 今井 宏美 / 榎本 麻里 / 後藤 奈津美 / 坂下 貴子 / 茂野 香おる / 丹生 淳子 / 松尾 理代 / 屋宜 譜美子 |
発行 | 2019年01月判型:B5頁:368 |
ISBN | 978-4-260-03564-4 |
定価 | 2,860円 (本体2,600円+税) |
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序文
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はしがき
少子高齢化や疾病構造の変化,医療の高度化など,医療・看護を取り巻く社会の状況は著しく変化しつづけ,保健・医療・福祉のいずれの現場においても看護師への役割期待がますます大きくなっている。看護師が役割を果たすために必要な能力とは,どのようなものだろうか。臨床で出会うさまざまな患者さんの個別の状況をアセスメントし,患者さん1人ひとりに対応したオーダーメイドの看護を提供できることが最低の条件であろう。そのためには,アセスメント力にみがきをかけることや,さまざまな看護ケアを工夫できる応用力を身につけることが求められる。
ある程度の能力を身につけたとしても,発展しつづける医療技術に対応していくためには,生涯にわたって学びつづけていく必要がある。看護師は,学ぶ意志さえあれば,学ぶことができる環境に恵まれた職種である。それは,「看護師等の人材確保の促進に関する法律」によって保障されている。同法第5条では,病院などの開設者に対し「看護師等が自ら研修を受ける機会を確保できるようにするために必要な配慮その他の措置を講ずるよう努めなければならない」と明記されている。一方で,看護師にも,みずから進んで能力の開発・向上をはかるように求められている(同法第6条)。看護学生である皆さんは,生涯続く「学び」の道に一歩足を踏み入れたところであり,まずは学びつづけていくために必要となる基本的な学習姿勢を身につけてほしい。
このように,看護師は学習しつづける使命を負った職業であるが,ここで重要なのは「みずから学ぶ」ことである。学ぶということは,けっして誰かに言われて行うものではない。自己の関心や,そのときどきの状況を考えながら学習の内容と方法を自分で判断・選択できてこそ,有意義な学びが可能となる。
近年,医師の働き方改革の一環として,医行為の一部を看護師が担うことが期待されて,「特定行為研修」を量的に拡散しようとする動きがある。本書を手にしている皆さんにも,特定行為研修を受けるかどうかを決断するときがくるかもしれない。そのときには,「自分が本当に学びたいことはなにか」ということを,いったん立ちどまって考えてほしい。自分で決めたことを主体的に学べば,学ぶことを楽しく感じられるようになるだろう。
本書では,看護実践能力の基礎となる基本的な看護技術のうち,いわばその土台部分をなす技術を扱っている。それは,人間関係を形成するためのコミュニケーション技術,看護を計画的に展開する際に最も基本となるヘルスアセスメントの技術,アセスメントに基づく情報を活用して看護を計画的に展開する技術(看護過程の展開),さらには対象者の意思決定や治療への主体的な参画を支援する学習支援の技術である。これらの技術は,あらゆる看護技術を支える要素であり,これらの要素なしに看護援助は成立しない。たとえば,援助を提供しようとする際に,人との関係を築けなければ援助は成立せず,また援助の内容と方法に関しても,科学的な思考のプロセス,つまり問題解決技法に基づいて決定されなければ,看護師の行動はまったく意味のないものに終わってしまう。本書では,とくに「考え方」や「向き合い方」を大事にしている。看護過程展開の技術を例にとれば,クリティカルシンキングやリフレクション(みずからの行為をふり返り,学びとすること)などの考え方の基本をはじめとし,「実際におきていること(情報)の関連性の見出し方」「情報を解釈する方法」「知識の使い方」などを詳細かつ具体的に解説し,初学者が考え方を学ぶ筋道を理解できるように配慮した。
ともすると,マニュアル的な手順を追い求めたくなる看護技術であるが,本書を用いることによって,読者の皆さんが,みずから学び,考えることのできる学習者になっていただけるよう願っている。
2018年11月
著者を代表して
茂野香おる
少子高齢化や疾病構造の変化,医療の高度化など,医療・看護を取り巻く社会の状況は著しく変化しつづけ,保健・医療・福祉のいずれの現場においても看護師への役割期待がますます大きくなっている。看護師が役割を果たすために必要な能力とは,どのようなものだろうか。臨床で出会うさまざまな患者さんの個別の状況をアセスメントし,患者さん1人ひとりに対応したオーダーメイドの看護を提供できることが最低の条件であろう。そのためには,アセスメント力にみがきをかけることや,さまざまな看護ケアを工夫できる応用力を身につけることが求められる。
ある程度の能力を身につけたとしても,発展しつづける医療技術に対応していくためには,生涯にわたって学びつづけていく必要がある。看護師は,学ぶ意志さえあれば,学ぶことができる環境に恵まれた職種である。それは,「看護師等の人材確保の促進に関する法律」によって保障されている。同法第5条では,病院などの開設者に対し「看護師等が自ら研修を受ける機会を確保できるようにするために必要な配慮その他の措置を講ずるよう努めなければならない」と明記されている。一方で,看護師にも,みずから進んで能力の開発・向上をはかるように求められている(同法第6条)。看護学生である皆さんは,生涯続く「学び」の道に一歩足を踏み入れたところであり,まずは学びつづけていくために必要となる基本的な学習姿勢を身につけてほしい。
このように,看護師は学習しつづける使命を負った職業であるが,ここで重要なのは「みずから学ぶ」ことである。学ぶということは,けっして誰かに言われて行うものではない。自己の関心や,そのときどきの状況を考えながら学習の内容と方法を自分で判断・選択できてこそ,有意義な学びが可能となる。
近年,医師の働き方改革の一環として,医行為の一部を看護師が担うことが期待されて,「特定行為研修」を量的に拡散しようとする動きがある。本書を手にしている皆さんにも,特定行為研修を受けるかどうかを決断するときがくるかもしれない。そのときには,「自分が本当に学びたいことはなにか」ということを,いったん立ちどまって考えてほしい。自分で決めたことを主体的に学べば,学ぶことを楽しく感じられるようになるだろう。
本書では,看護実践能力の基礎となる基本的な看護技術のうち,いわばその土台部分をなす技術を扱っている。それは,人間関係を形成するためのコミュニケーション技術,看護を計画的に展開する際に最も基本となるヘルスアセスメントの技術,アセスメントに基づく情報を活用して看護を計画的に展開する技術(看護過程の展開),さらには対象者の意思決定や治療への主体的な参画を支援する学習支援の技術である。これらの技術は,あらゆる看護技術を支える要素であり,これらの要素なしに看護援助は成立しない。たとえば,援助を提供しようとする際に,人との関係を築けなければ援助は成立せず,また援助の内容と方法に関しても,科学的な思考のプロセス,つまり問題解決技法に基づいて決定されなければ,看護師の行動はまったく意味のないものに終わってしまう。本書では,とくに「考え方」や「向き合い方」を大事にしている。看護過程展開の技術を例にとれば,クリティカルシンキングやリフレクション(みずからの行為をふり返り,学びとすること)などの考え方の基本をはじめとし,「実際におきていること(情報)の関連性の見出し方」「情報を解釈する方法」「知識の使い方」などを詳細かつ具体的に解説し,初学者が考え方を学ぶ筋道を理解できるように配慮した。
ともすると,マニュアル的な手順を追い求めたくなる看護技術であるが,本書を用いることによって,読者の皆さんが,みずから学び,考えることのできる学習者になっていただけるよう願っている。
2018年11月
著者を代表して
茂野香おる
目次
開く
序章 看護技術を学ぶにあたって(茂野香おる)
A 技術とはなにか
1 行為を可能にする原理
2 技術適用と倫理的側面
B 看護技術の特徴
1 全人的なかかわりが求められる
2 人間関係を基盤とする
3 状況変化への対応が求められる
4 患者の権利擁護が求められる
5 倫理的判断が求められる
C 看護技術の範囲
D 看護技術を適切に実践するための要素
1 看護技術の目的を把握する
2 正確な方法を熟知する
3 看護技術の根拠を考える
4 患者への適用意義と個別性を考慮する
5 インフォームドコンセント
6 安全・安楽を確保する
7 プライバシーを保護する
8 患者の状態や反応を確認しながら実施する
9 実施後の客観的評価と主観的評価
E 看護技術の発展と修得のために
1 技能と技術
2 技能から技術へ
3 技術を技能へ―良質な看護実践者になるために
第1章 コミュニケーション(茂野香おる・今井宏美)
A コミュニケーションの意義と目的
1 コミュニケーションとは
2 看護・医療におけるコミュニケーション
B コミュニケーションの構成要素と成立過程
1 コミュニケーション手段
2 構成要素と成立過程
3 ミスコミュニケーション
4 看護専門職として備えるべきコミュニケーション能力向上のために
C 関係構築のためのコミュニケーションの基本
1 接近的コミュニケーションの原理
2 接近的行動の前提となる基本的な態度
3 接近的行動と非接近的行動
4 接近的コミュニケーションを成立させるためには
D 効果的なコミュニケーションの実際
1 傾聴の技術
2 情報収集の技術
3 説明の技術
4 アサーティブネス
E コミュニケーション障害への対応
1 コミュニケーションに障害がある人の特徴
2 言語的コミュニケーションに必要な身体機能
3 コミュニケーション障害がある人への対応
第2章 ヘルスアセスメント(榎本麻里・茂野香おる・有田清子・坂下貴子・今井宏美・後藤奈津美)
A ヘルスアセスメントとは
1 ヘルスアセスメントがもつ意味
2 ヘルスアセスメントにおける観察
3 ヘルスアセスメントにおける重要な視点
B 健康歴とセルフケア能力のアセスメント
1 問診(面接)の技術
2 健康歴聴取の目的
3 健康歴聴取の実際
4 セルフケア能力のアセスメント
5 情報の整理
C 全体の概観
1 フィジカルアセスメントに必要な技術
2 全身状態・全体印象の把握
3 バイタルサインの観察とアセスメント
4 計測
D 系統別フィジカルアセスメント
1 ケアにつなげるフィジカルアセスメント
2 呼吸器系のフィジカルアセスメント
3 循環器系のフィジカルアセスメント
4 乳房・腋窩のフィジカルアセスメント
5 腹部のフィジカルアセスメント
6 筋・骨格系のフィジカルアセスメント
7 神経系のフィジカルアセスメント
8 頭頸部と感覚器(眼・耳・鼻・口)のフィジカルアセスメント
9 外皮系(皮膚・爪)のフィジカルアセスメント
E 心理・社会状態のアセスメント
1 心理的側面のアセスメント
2 社会的側面のアセスメント
第3章 看護過程展開の技術(坂下貴子・茂野香おる・後藤奈津美)
A 看護過程とは
1 看護過程の5つの構成要素
2 5つの構成要素の関係性
3 看護過程を用いることの利点
B 看護過程を展開する際に基盤となる考え方
1 問題解決過程
2 クリティカルシンキング
3 倫理的配慮と価値判断
4 リフレクション
C 看護過程の各段階
1 アセスメント(情報の収集と分析)
2 看護問題の明確化(看護診断)
3 看護計画
4 実施
5 評価
D 看護記録
1 看護記録とは
2 記載・管理における留意点
3 看護記録の構成
◎章末資料
第4章 学習支援(屋宜譜美子・丹生淳子・松尾理代・石田寿子)
A 看護における学習支援とは
1 学習支援とはなにか
2 看護師の役割としての学習支援
3 看護の学習支援技術の発展
B 健康に生きることを支える学習支援
1 学習支援の基本となる考え方
2 さまざまな場で行われる学習支援
C 健康状態の変化に伴う学習支援
1 外来における学習支援
2 入院時の学習支援
3 退院時の学習支援
D 学習支援の実際
1 個人を対象とした学習支援
2 家族を対象とした学習支援
3 集団を対象とした学習支援
巻末資料
動画一覧
索引
A 技術とはなにか
1 行為を可能にする原理
2 技術適用と倫理的側面
B 看護技術の特徴
1 全人的なかかわりが求められる
2 人間関係を基盤とする
3 状況変化への対応が求められる
4 患者の権利擁護が求められる
5 倫理的判断が求められる
C 看護技術の範囲
D 看護技術を適切に実践するための要素
1 看護技術の目的を把握する
2 正確な方法を熟知する
3 看護技術の根拠を考える
4 患者への適用意義と個別性を考慮する
5 インフォームドコンセント
6 安全・安楽を確保する
7 プライバシーを保護する
8 患者の状態や反応を確認しながら実施する
9 実施後の客観的評価と主観的評価
E 看護技術の発展と修得のために
1 技能と技術
2 技能から技術へ
3 技術を技能へ―良質な看護実践者になるために
第1章 コミュニケーション(茂野香おる・今井宏美)
A コミュニケーションの意義と目的
1 コミュニケーションとは
2 看護・医療におけるコミュニケーション
B コミュニケーションの構成要素と成立過程
1 コミュニケーション手段
2 構成要素と成立過程
3 ミスコミュニケーション
4 看護専門職として備えるべきコミュニケーション能力向上のために
C 関係構築のためのコミュニケーションの基本
1 接近的コミュニケーションの原理
2 接近的行動の前提となる基本的な態度
3 接近的行動と非接近的行動
4 接近的コミュニケーションを成立させるためには
D 効果的なコミュニケーションの実際
1 傾聴の技術
2 情報収集の技術
3 説明の技術
4 アサーティブネス
E コミュニケーション障害への対応
1 コミュニケーションに障害がある人の特徴
2 言語的コミュニケーションに必要な身体機能
3 コミュニケーション障害がある人への対応
第2章 ヘルスアセスメント(榎本麻里・茂野香おる・有田清子・坂下貴子・今井宏美・後藤奈津美)
A ヘルスアセスメントとは
1 ヘルスアセスメントがもつ意味
2 ヘルスアセスメントにおける観察
3 ヘルスアセスメントにおける重要な視点
B 健康歴とセルフケア能力のアセスメント
1 問診(面接)の技術
2 健康歴聴取の目的
3 健康歴聴取の実際
4 セルフケア能力のアセスメント
5 情報の整理
C 全体の概観
1 フィジカルアセスメントに必要な技術
2 全身状態・全体印象の把握
3 バイタルサインの観察とアセスメント
4 計測
D 系統別フィジカルアセスメント
1 ケアにつなげるフィジカルアセスメント
2 呼吸器系のフィジカルアセスメント
3 循環器系のフィジカルアセスメント
4 乳房・腋窩のフィジカルアセスメント
5 腹部のフィジカルアセスメント
6 筋・骨格系のフィジカルアセスメント
7 神経系のフィジカルアセスメント
8 頭頸部と感覚器(眼・耳・鼻・口)のフィジカルアセスメント
9 外皮系(皮膚・爪)のフィジカルアセスメント
E 心理・社会状態のアセスメント
1 心理的側面のアセスメント
2 社会的側面のアセスメント
第3章 看護過程展開の技術(坂下貴子・茂野香おる・後藤奈津美)
A 看護過程とは
1 看護過程の5つの構成要素
2 5つの構成要素の関係性
3 看護過程を用いることの利点
B 看護過程を展開する際に基盤となる考え方
1 問題解決過程
2 クリティカルシンキング
3 倫理的配慮と価値判断
4 リフレクション
C 看護過程の各段階
1 アセスメント(情報の収集と分析)
2 看護問題の明確化(看護診断)
3 看護計画
4 実施
5 評価
D 看護記録
1 看護記録とは
2 記載・管理における留意点
3 看護記録の構成
◎章末資料
第4章 学習支援(屋宜譜美子・丹生淳子・松尾理代・石田寿子)
A 看護における学習支援とは
1 学習支援とはなにか
2 看護師の役割としての学習支援
3 看護の学習支援技術の発展
B 健康に生きることを支える学習支援
1 学習支援の基本となる考え方
2 さまざまな場で行われる学習支援
C 健康状態の変化に伴う学習支援
1 外来における学習支援
2 入院時の学習支援
3 退院時の学習支援
D 学習支援の実際
1 個人を対象とした学習支援
2 家族を対象とした学習支援
3 集団を対象とした学習支援
巻末資料
動画一覧
索引
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