グルコース-6- リン酸脱水素酵素(G6PD)欠損症 |
マラリアが風土病となっているイタリアのサルディーニャ島では,サラセミアのほかに,グルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)欠損症の人が多い。G6PD欠損症は,鎌状赤血球症やサラセミアと同じく遺伝性であり,赤血球膜が損傷されて溶血性貧血を引きおこす。G6PD欠損症の人も,マラリアを発症しにくいといわれているが,それは赤血球が短時間で溶血してしまい,マラリア原虫が赤血球中で増殖できないからである。鎌状赤血球症やサラセミアと同じように,この遺伝性疾患はマラリアが蔓延する地域で生きていくのに有利な突然変異であったといえる1)。
1) Brown, P. J. : Cultural and Genetic Adaptations to Malaria: Problems of Comparison, Human Ecology, 14(3): 311-332.
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