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内科レジデントマニュアル 第8版

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「研修医一人でも、最低限必要な治療を、安全に実施できる」ことを目指して作られた元祖レジデントマニュアル。現役の聖路加国際病院シニアレジデントが日々の臨床経験を踏まえて各項目を書き下ろし、指導医の査読によりその質を担保する。今改訂版からは「診断・治療のフローチャート」を新たに設け、主要症候の対応方法を視覚的に理解できるようにもなった。具体的かつ診療の時系列を知りたい若手医師のための決定版。
*「レジデントマニュアル」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ レジデントマニュアル
聖路加国際病院内科レジデント
発行 2013年10月判型:B6変頁:520
ISBN 978-4-260-01862-3
定価 3,740円 (本体3,400円+税)

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推薦の序(五十嵐正男)/第8版 序(堀之内秀仁)

推薦の序
 聖路加国際病院では,日本に研修医制度が導入される数十年以上も前から,この制度を独自に取り入れ,若い医師の教育と育成に努力を重ねてきた.
 その結果,現在日本の医学界の第一線で活躍している人達の中に数多く当院からの卒業生の名前が見られ,それが私どもの喜びと誇りになり,毎日の教育活動の支えになっている.
 この度,内科に在職中の研修医がチーフレジデントの高尾信廣君(昭和54~58年)を中心にして集まり,数多くの会合を重ね,新しく入って来る後輩達のために自分達が病棟で行っている診療の実際をマニュアルの形でまとめて出版したのが,本書である.
 内容は,何を・どれだけ・どのように与えるかと具体的であり,安全を重視する当院の基本的な治療方針がよく書かれてある.
 他人の書いたものをそのまま引用したものではなく,毎日の診療の間から浮かび出てきたものを書いてあるので,これほど説得力のあるマニュアルはないと思う.
 当院では研修医の診断と治療は必ず専門医である医長の指導の下で行われるので,本書はつまり当院の内科スタッフ医師の治療方針を示していることもここで強調したい.
 米国のWashington大学のレジデント達がまとめた「Manual of Medical Therapeutics」が数多くの版を重ねているが,本書はそれに匹敵する内容を持っていると信ずる.
 本書が研修医のみならず,臨床に携わっているすべての医師のより良い診療を行うための一助になれば幸いである.

 昭和59年5月
 五十嵐正男


第8版 序
 内科レジデントマニュアル第7版が出版されて以来,2011年には初版の序にも登場する日野原重明先生が100歳の誕生日を迎えられ,2012年には山中伸弥先生がノーベル生理学・医学賞を受賞されました.聖路加国際病院も先進的な取り組みが認められ,JCI認証を2012年に取得しました.その間,意欲あふれる多くのレジデントが,明石町で医師の第一歩を踏み出し,成長しています.本書もそろそろ新たな頁をめくらなければなりません.
 今回の改訂に際して,聖路加国際病院の指導医,現役レジデントの皆さんに直接意見をいただく機会を得,第8版にしっかりと反映されています.まず,最も大きな変更は執筆方法です.多くの項目で,まず現役のシニアレジデントが執筆し,その内容を指導医の先生方が査読するという執筆方法を採用しました.初版と同じくレジデントが執筆することで「レジデントマニュアル」の名の通り実践的で,優れた指導医の査読により内容の質を担保することが目的です.また,前半に配した「診断・治療のフローチャート」の章では,文字よりも図で全体像をつかみたいという意見が多い項目について,見開き2ページにまとめられています.もちろん,「研修医一人でも,最低限必要な治療を,安全に実施できる」というコンセプトに基づいた,具体的,かつ,診療の時系列に即した記載もさらに研ぎ澄まされています.
 書籍としてはまだまだ改善の余地は残っていると思われますが,この改訂第8版が日本の医療を担う幅広い医師の役に立ち,一人でも多くの患者さんに適切な医療が提供されることを期待しています.
 最後に少しだけお礼を.いつもあたたかい聖路加国際病院の皆さんと,常に支えてくれる妻,そしてゼロから育てる楽しみを教えてくれた我が子に心から感謝しています.また本書は,執筆・査読してくださった先生方,医学書院医学書籍編集部の中根冬貴さん,制作部の片山智博さん他たくさんのスタッフの方との共同作業で完成にこぎつけました.この場をかりて深く御礼申し上げます.

 平成25年9月
 堀之内秀仁

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I.診断・治療のフローチャート
 1.ACLSアルゴリズム
 2.ショック
 3.意識障害
 4.失神
 5.頭痛
 6.胸痛
 7.腹痛
 8.関節痛
 9.発熱
 10.血痰,喀痰

II.症候・疾患編
 1.脱水と輸液
 2.電解質異常
   I.低Na血症
   II.高Na血症
   III.低K血症
   IV.高K血症
 3.感染症治療
   I.感染症に対する抗菌薬治療のポイント
   II.各種感染症の起因菌と初期治療(empiric therapy)
 4.貧血,DIC
   I.貧血
   II.DIC(播種性血管内凝固)
 5.急性冠症候群(狭心症,急性心筋梗塞)
 6.急性心不全(慢性心不全の急性増悪を含む)
 7.高血圧症(緊急対応中心)
 8.不整脈
 9.肺血栓塞栓症
 10.呼吸不全
 11.気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患(COPD)
 12.肺炎
 13.胸水
 14.脳血管障害
 15.痙攣
 16.胆道疾患(急性胆嚢炎,急性胆管炎)
   I.急性胆嚢炎
   II.急性胆管炎
 17.急性膵炎
 18.消化管出血
 19.肝不全,肝性脳症
 20.便秘,下痢
   I.急性下痢症
   II.便秘症
 21.腹水
 22.急性腎障害
 23.慢性腎臓病と透析患者入院管理
   I.保存期腎不全
   II.透析患者(血液透析・腹膜透析・移植)
 24.糖尿病,糖尿病の救急
   I.糖尿病
   II.糖尿病の救急
 25.甲状腺機能亢進症・低下症
  甲状腺機能亢進症
   I.Basedow病
   II.亜急性甲状腺炎
   III.無痛性甲状腺炎
  甲状腺機能低下症
   I.橋本病-自己免疫性の甲状腺機能低下症
   II.潜在性甲状腺機能低下症
   III.non thyroidal illness(NTI)
   IV.緊急甲状腺疾患
   V.甲状腺クリーゼ
   V.粘液水腫性昏睡
   VI.妊娠と甲状腺
 26.アルコール関連障害
 27.悪性腫瘍総論,緊急症の対応
   I.腫瘍学総論
   II.oncologic emergency
 28.膠原病へのアプローチ
   I.膠原病の検査をオーダーする前に確認したいこと
   II.ステロイド
 29.病棟で経験するアレルギー
   I.基本方針
   II.各論:抗菌薬アレルギー
   III.造影剤過敏症
   IV.専門家コンサルトのタイミング
 30.緩和ケアと疼痛コントロール
   I.緩和ケア
   II.癌患者の疼痛コントロール
 31.せん妄,睡眠障害
   I.せん妄
   II.睡眠障害

III.付録
 1.針刺し事故-HBV,HCV,HIV感染予防
 2.腎障害時の薬剤投与量
 3.妊娠・授乳中の薬剤
 4.薬物相互作用,特徴的副作用
 5.よく使う公式集
 6.よく使う臨床分類・ガイドライン
 7.よく使う検査・処理の手引き
 8.プレゼンテーション

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適切な自己判断をするために有用なマニュアル
書評者: 徳田 安春 (筑波大病院水戸地域医療教育センター教授/水戸協同病院総合診療科)
 1984年初版の医学書マニュアルのトップセラーである『内科レジデントマニュアル』が4年ぶりに改訂された。コンテンツは最新の医学知識を反映しており,わが国では標準的な診断・治療の具体的手順が記載されている。基本方針,定義,重症度基準,疫学,鑑別に加え,病歴,診察,検査のポイントがわかりやすく記載されており,具体的な処方例もあるので,多忙な研修医にとっては参考にしやすくありがたい存在だ。

 よい研修病院の教育環境基準のなかには,有用な院内マニュアルの存在が必須とされている。このマニュアルでは,専門医紹介のタイミング,入院の適応,診療のピットフォール,リスクマネジメントのポイントでは,実践的なルールが明文化されており,この病院の院内診療内容が標準化されていることが明らかとなっている。もちろんこの内容は他の病院の診療にも役立つものである。研修医が当直や救急診療の最中に適切な自己判断をすることが可能となる有用なマニュアルである。冒頭の診断・治療のフローチャートは緊急時の対応に役に立つチェックリストとして活用できる。メモ欄には知っておくと役に立つ重要事項がコンパクトにまとめられているのがうれしい。

 類書と比較してみよう。伝統的な人気書の『Washington Manual』(米国セントルイス市のバーンズ病院の内科マニュアル)は日本語版も出ており,わが国でもかなり普及していたが,ボリューム増大でマニュアルとしてはサイズの巨大化が弱点となっている。一方,『Pocket Medicine』(米国ボストン市のマサチューセッツ総合病院の内科マニュアル)は,略語を多用した簡潔記載のため読みやすく,コンパクトなサイズを売りとしており,『Washington Manual』に代わって米国では爆発的な人気を誇っている。日本語版も出ており,米国の医学生と研修医のバイブルとなっている。

 それでは,『内科レジデントマニュアル 第8版』は『Pocket Medicine』と比較してどうだろうか。このマニュアルの大ファンとしてあえて苦言を呈する。日本の病院で行われる日本的なマネジメントを重視し妥協した結果,治療内容などで国際標準とは微妙に異なる部分が散見される。例えば,心不全におけるh-ANP(注意欄にわが国独自の薬剤であり,欧米のガイドラインに記載はないとは書かれているが),脳梗塞におけるエダラボン(商品名ラジカット)など,エビデンスが確立していない治療内容を入れてしまっている。参考文献もオリジナル論文やメタ分析,国際的ガイドラインを引用してほしい。また研修医の教育上,推奨治療薬も商品名ではなく一般名としてほしい。ジェネリックが普及しており,商品名に医学的な価値はなくなっていく。わが国を代表するマニュアルとして,今後もっとエビデンス重視となり,国際的にも通用する内容に改定されることになると信じている。わが国の研修病院のリーダー的病院が出しているマニュアルでありその責任と波及効果は大きい。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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