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固定チームナーシング 第3版
責任と継続性のある看護のために

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看護提供方式の1つである固定チームナーシングの考え方と導入の仕方を解説した好評書の最新版。今日の医療の動向を背景に、訪問看護ステーションや回復期リハビリテーション病棟などにおける取り組み例を追加。よりよく機能させるために欠かせない共同業務のあり方や現任教育についての記述も大幅に拡充。固定チームナーシングを活用するためのヒントが満載。
西元 勝子 / 杉野 元子
発行 2012年10月判型:B5頁:256
ISBN 978-4-260-01670-4
定価 2,640円 (本体2,400円+税)
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第3版 序文

 1985(昭和60)年8月にこの本の前身である「看護チームの育成と運営─継続性のある看護をめざして」を医学書院から出版して今年で27年目を迎える.当時筆者(西元)は兵庫県立塚口病院の小児病棟師長と看護部次長を兼務する立場にあり,臨床事例のすべてが所属していた病院看護部のものであった.
 当時は「固定チームナーシング(継続受持ち方式)」と称して,従来からあるチームナーシングとの混乱を避けるために“継続受持ち方式”であることを強調したのも懐かしい思い出になった.固定チームナーシングは受持ちナースのいる看護方式であることを仲間のみなさんが認識して運用し,小集団活動の成果を全国研究集会や地方会,または誌上で発表することにより,導入する病院や施設も増え,1999(平成11)年の全国研究集会において「固定チームナーシング」とシンプルに称することにした.

 この第3版で掲載した事例は,全国14か所で開催される固定チームナーシング研究会で発表されたもの,さらに看護部で開催される1年間の成果発表会や研修会の膨大な数のレポートの中から,参考になるものを筆者らが選定し,看護部の協力をいただき掲載することができた.また,今年2012(平成24)年に誕生した「固定チームナーシング指導者認定」の方々のレポートもいくつか紹介することができた.これらのレポートでは,急性期医療の現場から老健施設や訪問看護ステーションへと少子・超高齢社会に突入しているわが国の医療・看護・介護の現状が如実にあらわれている.そこには,煩雑で問題解決が困難な課題に勇気と忍耐力をもって取り組んでいる看護チームのさまざまな小集団活動があり,その継続した努力に感動し,現場のみなさんが実感した実践活動を伝えたいと切望した筆者らの思いを,各事例に短いリードとして入れた.

 2012年4月は診療報酬・介護報酬の同時改定があり,在宅医療・在宅看護・介護に焦点を当てた改定になった.急性期一般病床病院では年々在院日数が短縮しており,目が離せない高齢者が増え続けている.今回の改定で,入院基本料7:1の急性期病院では看護必要度が10%から15%に引き上げられ,平均在院日数が19日から18日に短縮された.さらに看護職・介護職の疲弊が原因とされる離職が問題になっている.若者の就職難のこの時代に相変わらず人材不足の看護界である.
 こうした厳しい変動のなかで,固定チームナーシングは看護職の責任と継続性のある看護を第一の目的にあげている.受持ち患者のよい変化を求め,小集団活動で成果をだす固定チームナーシングの基本理念を具現化していく方法は,チーム医療のなかで,受持ちナースが受持ち患者・家族と余裕をもってかかわり,創造力と実践力のあるリーダーを中心に患者本位の解決を求め調整していくことだと考える.
 体制を整えて(急性期看護補助体制加算25:1など),「後輩に伝えられる看護の専門性と魅力」を示すことも検討しなければならない課題である.受持ちナースと固定チームリーダーが,チーム医療のなかで患者・家族の思いを大切にした調整役になれることを,固定チームナーシングでは強調して看護職に求めてきた.看護チームに看護補助者の協力が得られることは,日々の業務に余裕ができることにつながる.
 筆者(西元)が卒後4年間勤務した国立病院の最初の2年間は,50床の外科病棟で一人夜勤であった.病棟でよく注意されたのは,「後始末のしっかりできないナースは外科看護には不要」ということであった.日々の看護業務の中で,準備と後始末などルーチン業務に必要な物品管理や病床・処置室などの整備に看護補助者の方々の協力が得られたら,患者・家族とのコミュニケーションに時間をとり,入院時の患者データベースの管理(情報の追加・修正)が適切にできるだろう.また,夕方の検温時に一人ひとりの患者さんの話をよく聞き,必要なタッチングをしながらラウンドすることもできよう.
 固定チームナーシングでは,日常看護業務を共同業務として整備して,業務改善をめざしてきた.この共同業務を看護補助者の方々と分担することで,看護の専門性を追求した受持ち看護の事例展開が可能になると考える.もちろん夜勤帯の看護・介護が安全に責任をもって実施できる条件も整備していかなければならない.
 こうして応援機能のある看護方式を使いこなし,「後輩に伝えられる看護の専門性と魅力」をテーマに第3版の改訂に取り組んだ.
 編集にあたり医学書院の染谷美有紀さんとフリー編集者の歌川敦子さんには多くの注文を聞き入れていただいた.感謝・感謝!!です.これに懲りずにお付き合いください.表紙は共著者の杉野元子のイラストを用いて,「患者中心のチーム医療」を表現しています.

 2012年9月
 西元勝子・杉野元子

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第3版序文
第2版序文
初版序文

第1章 社会の求める看護を提供するために
 固定チームナーシングのめざすもの
  どうしたら自分のやりたい看護ができるか
  正確なデータで状況を分析する
  患者およびスタッフの双方に責任をもつということ
  解決の鍵となるコミュニケーション
  新しい看護方式の導入
  小集団活動を基本にした固定チームナーシング
  小集団活動のポイント
  固定チームナーシングの目的
 組織の変革とナースのリーダーシップ
  組織の変革は教育戦略から
  新しい看護方式採用への抵抗感にどう対処するか
  師長のリーダーシップ
  師長のピアグループ・スーパービジョン
  副師長(主任)の組織図での位置づけ

第2章 固定チームナーシング導入準備
 看護方針を明確にする
  理念を実践に移す
  固定チームナーシングの5つの定義
 看護チームの現状把握と分析
  まずは正確なデータを
  現状分析は看護過程の手法で
 固定チームリーダーの役割行動を支援する
  固定チームリーダーの役割と業務
  固定チームリーダーに必要な情報収集
  業務マニュアルの整備と活用法
  仕事の優先順位の決め方
  看護方式とリーダーの育成
 チームワークシートの有効活用
  チームワークシートがなぜ必要なのか
  チームワークシートの条件
  チームワークシート活用の効果
  チームワークシート作成のポイント
  チームワークシートの使用基準を決める
 スタッフへの動機づけと医療チームへのはたらきかけ
  現状を変えたいと思うとき
  動機づけの方法
  動機づけの例
  導入過程でチェックしたい課題とポイント

第3章 固定チームナーシングの実際
 患者グループの分け方
 看護チームの分け方
  各チームのナースの数を決める
  チームリーダーの選び方
  サブリーダーを決める
  病棟・部署の組織図をつくる
 チームローテーションの方法を決める
  ローテーションは1年間を目途に
 役割の自覚を促す
  期待する役割を言葉で伝える
  役割葛藤がある人への対応
  自覚を促す師長の役割
  副師長(主任)の役割
  副師長になったら
 役割や業務内容を成文化する
 共同業務
  共同業務とは
 勤務表の作成
 チーム方針と年間計画の立て方
  チーム目標と受持ちナースの役割行動
 小集団活動
  チーム目標の設定
 チーム間の応援体制
  応援体制をつくる
  応援体制のポイント
 看護チーム活動とカンファレンス
  申し送りをカンファレンスの認識で運営する
  カンファレンスを有効な道具として使いこなす
  情報共有の手段としてカンファレンスを運営
  2人から行なう確認と相談のカンファレンス
  業務調整のカンファレンス
  ケースカンファレンスは継続して行なう
  年間に1人を目標に看護過程にそって事例展開
 固定チームナーシングの評価

第4章 固定チームナーシングの取り組み
 病院ぐるみで一斉導入
  一斉導入その1 札幌西円山病院
  一斉導入その2 今村病院分院
 内科病棟
  市立宇和島病院
 脳外科・眼科等混合病棟
  JA愛知厚生連江南厚生病院
 手術室
  掛川市立総合病院
 ICU
  ICUその1 鹿児島市医師会病院
  ICUその2 JA愛知厚生連江南厚生病院
 産婦人科病棟
  釧路赤十字病院
 精神科病棟
  釧路赤十字病院
 病棟と外来との連携
  PL病院
 小児・女性病棟
  飯田市立病院
 ホスピス病棟
  聖フランシスコ病院
 療養病棟
  加藤病院
 回復期リハビリテーション病棟
  済生会江津総合病院
 重症心身障害児(者)病棟
  国立病院機構松江医療センター
 介護老人保健施設
  黒部市介護老人保健施設カリエール
 訪問看護ステーション
  JA長野厚生連篠ノ井総合病院訪問看護ステーション

第5章 固定チームナーシング定着のために
 看護部のフォローやバックアップ
  情報共有,情報供給
  院内・外へのはたらきかけ
  働くナースにとって魅力ある集団づくり
 リーダー会,チーム会運営,院内交流
 中間評価
  中間評価の目的
 固定チームナーシングと現任教育
  新卒ナースの育成
  日々リーダーの育成
  チームリーダーの教育
  看護補助者の教育
 リーダーの育成
  キャリアを考え時期を選んでリーダーに
  初めてチームリーダーになった人へのアドバイス
  スタッフのリーダーシップを育成する師長のリーダーシップ
  リーダーシップを育てる地方会
  チーム会・リーダー会を軌道にのせる

補章 災害と固定チームナーシング

索引

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