質的研究をめぐる10のキークエスチョン サンデロウスキー論文に学ぶ
6/10

222 質的研究で数を扱ってはいけないの?本物の質的研究者は数を数えない? ──質的研究における数の使用 2)本物の質的研究者は数を数えない・・・・・・ものだという,質的研究にまつわる1つの神話がある.この神話でまことしやかに語られているのは,言葉と数は対立するもので,双方を難なく,「恥ずかしげもなく」共存させるにはかなりの知恵を絞る必要があるということと(Ford-Gilboe, Campbell, & Berman, 1995; Rossman & Wilson, 1994),「質的研究=言葉と質」,「量的研究=数と量」(Bauer, Gaskell, & Allum, 2000)であるということだ.たしかに質的研究の傾向として,数への懐疑的な点に加え,数の不在が挙げられることが多い.また,数と言えば,ポスト実証主義者や新実証主義者らの浅はかな思い込みから,「どのくらいの量(how much)」や「どのくらいの数(how many)」と結びつけられている.少なくとも,数は「リトマス試験紙」(Linnekin, 1987, p.  920)のようなもので,数を扱っているかいないかで,科学的な実証性を志向する(つまり,量的な情報に基づく)量的研究と人文学的なアプローチに方向づけられた質的研究とが区別されている(Chibnik, 1999).質的研究にまつわる神話は,もう1つある.それは,質的研究者は数を数・・・えることができない・・・・・・・・・というものだ.かみ砕いて言えば,質的研究に目を向けて,量的研究の科学的な厳密性を避けようとする研究者には,量的研究をやるだけの能力がない(つまり,数を扱うことができない)ということであり,さらに,言葉を操る能力と数を扱う能力とはまったく別のもの(つまり,両方を同時にもてないもの)であるということだ.私も,足し算,引き算,掛け算,割り算ぐらいの簡単な計算ならできるが,同僚は質的研究者の私が計算できる2) Sandelowski, M. (2001). Real qualitative researchers do not count: The use of numbers in qualitative research. Research in Nursing & Health, 24, 230─240. (© 2001 John Wiley & Sons, Inc.)

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です