質的研究をめぐる10のキークエスチョン サンデロウスキー論文に学ぶ
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QuesonKey19質的研究で 数を扱ってはいけないの?質的研究が盛んに取り組まれるようになった今日でも,看護学では,未だ質的研究の拠って立つパラダイムが理解されがたく,質的研究よりも量的研究のほうが科学的研究として優れたものとして評価される空気があるように思います.そういう空気の中では,質的研究を実施する人には,量的研究を実施できない何らかの理由があると見られがちです.私自身,量的研究を得意とする研究者から面と向かって「あなたは数に弱いから質的研究に逃げているのだろう」と言われて閉口した経験があります.質的研究者の中にも,「自分は数学が苦手だけど国語ならできるから質的研究を選んだ」と言う人も少なくありません.一方で,質的研究で数を扱うことが好まれない状況も存在します.質的研究とは言葉を扱うものであり,人の生きる意味を伝える人文学的なアプローチに方向づけられているのであって,客観的な事実を伝える科学的なアプローチではない,それゆえ,質的研究の中に量的な情報に基づく分析や解釈をもち込むことはナンセンスである.こうした考え方は,論文審査の審査員や学会誌の査読者が質的研究において数を扱った論文に対して下す厳しい評価に反映されることがあり,ベテランの質的研究者にも広く浸透している考え方のようです.2

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