医学書院の70年
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Inauguration of Stomach and IntestineにX線写真で行っていた消化器内科医,手術担当の外科医,切除胃の良悪性の判定を下す病理医が三者一体となり,回を重ねるごとに診療科を超えた研究会になっていった。 日本の早期胃癌診断はやがて優れた業績を積み,発展していくなかで,『胃と腸』も注目を集めるようになっていく。それは,月刊誌であるにもかかわらず,アジアを中心とした国々で海賊版が横行するなど世界規模のものであった。 編集委員を務めた順天堂大学の白壁彦夫教授と国立がんセンター院長の市川平三郎先生は,共同でX線による「二重造影法」を考案。現在も健康診断の際にはこの検査方法が採用されている。この検査で数々の腫瘍を判定してきた市川先生は,「良悪性をどこで見分けるか」について,学校の集合写真などですぐにわが子を見つける親にたとえて曰く,「(わが子を見るように)毎日X線写真とにらめっこをしながら多くの症例を見ているうちに癌か良性かの判断ができるようになった」という。『胃と腸』12巻第1号表紙(1977年)―この年から「腸」の文字が「胃」と同じ大きさになり,現在に至っている。The cover of Vol.12, No.1 of Stomach and Intestine, 1977The font representing the "intes-tine” in the title became the same size as that of the “stomach” from this volume. 079

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