医学書院の70年
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1961.10.18年行っていた社主催のパーティは海外の出版社から好評を博した。世界的な出版社の系列化の中で,海外出版社から極東での販売戦略の一環として合弁会社設立を提案されることも増えたが,その交渉・対応は専ら社長の金原優が行った。 FBFでは1988年から毎年テーマ国が決められ,その国にちなんださまざまなイベントが催される。1990年は「日本Year」であったが,同時にこの年のFBF初日10月3日は異様な熱気・高揚感に包まれていた。この日が東西ドイツの統一記念日になったからである。このようなスタートを切った1990年代であったが,時間の経過とともに1985年ごろから進行していた円高がさらに進み,加えてバブル崩壊によって次第に洋書事業は縮小せざるを得なくなった。また,1993年には電子出版に対して単独の展示会場が割り当てられるという変化が生じた。出版不況と電子出版による出版産業の構造的変化によって,出版界の吸収合併,系列化はさらに加速した。ISNYもその波を被り,経営効率の面からも1997年出版活動を停止せざるを得なくなった。 一方,韓国,中国が万国著作権条約に加盟したために,1990年代の終わりごろからは日本語からこの両国語への翻訳権販売が急増した。一方で,英語などから日本語への翻訳は引き続き選択的に続いており,今日では翻訳権売買がFBFの主要業務となっている。 出版物のライフサイクルが短くなり,各社が類似のものを出している状況では,良否を見極めるために事前の情報交換が欠かせない。また,各社が出版という枠を超え,どのように変わろうとしているか,いち早くその情報を入手し活かすうえでもFBFにおける情報交換の役割はますます重要になっている。社主催のパーティで挨拶する社長の金原優(1999年/アラベラグランドホテル)President Yu Kanehara greeting the guests at the party held by Igaku-Shoin Ltd. (October 12, 1999/Hotel Arabella Grand, Frankfurt am Main).70 years of igaku-shoin066

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