医学書院の70年
44/252

1950.12.01金原元は1924年1月1日,金原一郎の長男として本郷区駒込富士前町(現文京区本駒込)に生まれる。正真正銘の元旦生まれであり,それゆえ「元」と命名される。本郷区立誠之小学校,府立第五中学校(現都立小石川高校),府立高等学校(現首都大学東京)を経て1944年10月,東京帝国大学(現東京大学)文学部西洋史学科に入学。直後に戦時下のため学徒出陣となり,幹部候補生として千葉県の九十九里浜で軍隊生活を送る。終戦となり復学すると学業の傍ら帝国大学新聞社に入社し,当時,帝国大学に在学中の三笠宮様の取材などを担当する。1946年3月,帝大新聞社の学生仲間とともに「学生書房」を興し,大学正門前のレストラン「鉢の木」跡に開業する。当初は学生たちが自らリュックを背負って各地からかき集めた書物を販売する小売店であったが,やがて出版活動を行うようになり,元はここで資金繰りや紙の調達などに奔走する。こうして学生にして編集および書店・出版経営の基礎を習得したのであった。 1948年9月,東京帝国大学を卒業すると,現医学書院の前身の一つである株式会社学術書院に入社,専務取締役となった。1950年12月1日,学術書院と日本医学雑誌株式会社が合併して現在の株式会社医学書院が設立されると同社の専務取締役に就任した。創業者である父,一郎を助け,親子による二人三脚で医学書院の創成期を乗り切り,拡大へと導いた。その後も長い間,社長である父を立てて専務の立場に留まるが,1974年8月,一郎が社長を辞任して相談役となると,名実ともに社長となった。 頑ななまでに研究者向けの高度な学術書を志向した一郎に対し,元はその金原元,医学書院代表取締役専務に就任Hajime Kanehara’s Appointment asExecutive Director of Igaku-Shoin Ltd.70 years of igaku-shoin034

元のページ  ../index.html#44

このブックを見る