医学書院の70年
248/252

1995年に創業50周年を記念して『医学書院50年史』が発行されてから,まもなく20年が経過しようとしている。その間,出版界は電子化の洗礼を受けており,社もまた大きく進化した。そのため当時の社史だけで現在の社を説明するのはもはや困難であり,70周年を機に社の足跡をまとめておく必要を感じ,新たな冊子を発行することにした。 社では,7年前に社史とは異なる趣旨で現社屋の新築を記念する『医学書院2007』と題する小冊子を上梓しており,その際のコンセプトが「皆様に楽しく社を知っていただける本」であった。結果として評判は上々であったため,今回もそれを踏襲し,読みやすさを追求した編纂を心掛けた。具体的に目指したのは“頁をめくる楽しさがあり,気軽に読み進めるうち,自然に社を理解する”というものである。 まず,構成が一般的な社史とは異なっている。社の歴史の中で転換点となった日をとらえ,その日に起こった出来事,そこに至る過程や背景,のちに与えた影響などを述べることで,社の足跡と姿勢を表した。そのため章や節のくくりはなく,時間軸を唯一の柱として,すべての出来事を時代を追って並列に並べている。また,ダイナミックに写真を多用し,画像から伝わる空気感のようなもので,当時の雰囲気や出来事の真意を汲み取っていただけるよう配慮した。 なお,本書では創業以来の金原家の3人の社長,金原一郎,金原元,金原優について記述した項目が多くなっている。社の70年を語ることは,とりも直さずこの3人のビジョンや経営哲学を語ることであり,人となりも含め,それが“楽しく”社を知っていただくことにも通じると考えたためである。今日の社に至るまで,時代の変化とともに彼らがいかなる思いを描き,かじ取りをしてきたかを読み取っていただけたら幸いである。あとがき70 years of igaku-shoin238

元のページ  ../index.html#248

このブックを見る