医学書院の70年
198/252

2009.01.01『MedicalFinder』デビューこの日,満を持して社の電子ジャーナルサイト『MedicalFinder』がオープンした。90年代後半,欧米の電子ジャーナルが日本の読者の間にも浸透するに従い,社が当時発行していた全雑誌についても電子化を求める声が聞かれるようになっていた。そこで1998年11月,社内関連部署の代表による「オンラインジャーナル委員会」を組織し,電子化の是非を含めた検討に着手した。当時,国内では商業誌の電子配信の例はほとんどなく,冊子体出版への影響を懸念する声は社の内外に強かったが,2000年12月に同業他社の人気誌を中心とする配信サイトがオープンしたこともあり,徐々に推進に傾いていった。2002年になるとコンテンツの仕様を決定し,全雑誌のデータ蓄積を開始するなど,準備は着実に前進した。  同委員会の検討を基に配信システムの構築が決定されると,2005年5月8日,同委員会に代わって電子配信の具体的方法の検討を行う「EJ委員会」が組織された。ここでは欧米の電子ジャーナルを参考に,サーバー設備の仕様,医中誌や海外文献とのリンク,販売契約,利用規約,他誌の扱い,施設価格,エンバーゴ(配信猶予期間)などが決められていった。こうして2006年ごろにはコンテンツが整い配信システムも完成して,販売を開始できる状態となったが,さらに慎重を期して大学や病院など6か所の施設の協力を得て,1年半ほどの実証実験を行うこととなった。この実験におけるシステムの動作や機能は申し分なく,アクセスも極めて多く,施設管理者の評価も良好であった。その結果を受け,2008年には販売を開始する最終決定がなされた。最初の委員会の発足から10年が経過していた。 こうして『MedicalFinder』は民間サイトの一番乗りこそほかに譲ったものの,データの質,検索機能,リンク機能などにおいて,欧米の電子ジャーナルサイトに少しも引けをとらず,国内初の出版社による本格的電子ジャーナルサイトとしてデビューを果たした。その後今日まで,順調に利用者を伸ばしており,多くの大学や病院で導入が進められている。The Debut of MedicalFinder 書店への説明会─『MedicalFinder』では「代理店方式」という独特の販売方式を採用した。業界でも導入例がないため,書店担当者に向け説明会を実施した。The presentation of MedicalFinder to members of the booktrade.70 years of igaku-shoin188

元のページ  ../index.html#198

このブックを見る