医学書院の70年
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この日,新しい概念による社のコンピュータシステム「ISLANDS」が始動した。それ以前はワープロ専用機,業務系システム端末(販売・出版管理・制作管理システム),MS-DOSパソコン,Macintoshなどが業務の必要に応じて部署ごとに導入・配置され,部員が移動してそれらを使用していた。業務系システムはデータセンターの大型ホスト機をシェアする方式で,一世代前の方式であった。ほかの機器は単独の使用に限定され,拡張性に乏しかった。また,こうした機器やシステムの導入を全社的見地で行う部署はなく,各部が判断して個別に外部の業者に委託していた。 1995年2月ごろ,それらの機器を原則廃棄し,代わって1人に1台のパソコンを配置して,社内のネットワーク(LAN)を介してインターネットに結ぶ構想が立てられた。社員全員が等しくパソコンを保有することで,社の内外との高度なコミュニケーションが実現可能となる。パソコンにより一般的な文書作成から,プリンタや入出力媒体の共有,ファイルの共有,ウェブ閲覧,電子メール,そして各部の業務までのすべてを,各自のデスク上でいつでも処理可能とする構想である。名付けてISLANDS, Igaku-Shoin Local Area Network and Database Systemの頭文字を取ったものであった。 この構想を実現するために1997年4月,「システム管理室」という独立部署を設け,専任者を配置した。同室が中心となり1999年1月,1人に1台のWindowsパソコンが配置された。全社員の名刺にe-mailアドレスが刷り込まれ,著者や印刷会社とのメールのやり取りやデータの授受,また,ウェブ閲覧がいつでも自由に行えるようになった。その後,以前からシステム化されていた販売,洋書,出版総務,制作管理の各業務の機能に,新たに編集制作,人事,経理などの業務の機能を加え,2005年5月までの間に順次リリースしていった。 こうして10年間という歳月を経てISLANDSは一応の完成をみた。この間にコンピューターを取り巻く情勢は一変し,完成してみれば社が備えるべきごく一般的な設備であり,もしなければ時代に大きく取り残されることになっていた。社内のコンピューター化を支えるシステム管理室は,ISLANDS完成後にはむしろ必要性を高めており,現在も継続して社内での重要な役割を担っている。上:from ISLANDS─開発の間,社員向けに制作・配布されたニューズレター。社員の理解を深めるためにシステム室で制作し,週間予定表の付録として配布した。マウスパッドと同様の南の島のデザインをレターヘッドに用いている。Above: The series of newsletters named “from ISLANDS” produced and distributed for employees to increase understanding of ISLANDS during the developmental process.左ページ:ISLANDSオリジナルマウスパッド─ISLANDSがスタートした際に,このマウスパッドが全社員に配布された。南の島の絵はEP開発室員の創作によるもの。Opposite page: The originally-de-signed mouse pad commemorating the start-up of ISLANDS.163

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