医学書院の70年
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1993.01.20奥付を前付に世界標準へのこだわり書名,著者名,発行年月日などを記した頁を「版籍」(あるいは「刊記」)といい,多くは巻末に掲載され,「奥付」と呼ばれている。あるとき役員の間でこの版籍を前付に移すことが検討された。当時,社では英文書籍も多数出版しており,それぞれ版籍は和文書籍が奥付として最終頁にあり,一方で英文では前付に記されていたため,図書館関係者を含めた読者が混乱するということがあった。いっそ洋書の慣習に揃えようと1989年ごろから和書の前付が実施されると,社内では次第に議論が高まった。反対意見には,①創業以来奥付であった,②他社も巻末に付している,③読者が価格を探しにくい,④不慣れな書店は発注に時間がかかる,などが上がった。しばらく混在していたが,1993年1月20日,原則として社の発行する出版物(雑誌を除く)に対し,前付への変更・統一が正式に決定された。元来,創業当初から,社は常に日本国内ばかりでなく広く海外にも通用する出版物の発行を目指してきた。“世界”を見据えた対応はまさに社風となっていた。 洋書の場合,一般にまず開くと(遊び紙や口絵の次に)「扉」(title page)があり,書名,著者名,発行者名などの基本事項が印刷され,出版社のロゴも描かれている。「扉裏」はcopyright pageと呼ばれ,共著者名,版数,刷数,発行者住所,印刷国,印刷所名,著作権情報などのほか,著者略歴や免責事項などを載せていることもある。扉と扉裏の一枚でその書籍の情報がすべてわかるため,洋書返品の際には,この一枚を破り先方に送付して現物返品に代える商慣習があった。 現在,医学書院発行の書籍では,右頁のように,扉裏の1頁で完全な書誌情報を得られるものになっている。社で発行した英文書籍の一例Cover and copyright page of Churg and Sobin: Renal Disease, 1982, an English language work published by Igaku-Shoin Ltd.70 years of igaku-shoin148

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