医学書院の70年
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1985年12月の機構変更により出版総務部が新設された。社長の金原優によると,「近年特に問題となっている著作権,出版権に関する業務を中枢的に管理・運営していくことを第一の目的とした部署」であった。業務の性質上,今後大量の資料を管理,整備していく必要があり,事務処理の向上につながる環境整備は必須であるとして,翌年3月,出版総務部ではそれまで出版系になかったコンピューターシステムの構築を開始した。 このシステムはPADOS(Publication & Author Data Online Service)と呼ばれ,1989年10月から本格稼働するが,それに先立ち,1987年11月1日に新システムを利用した『医学研究者名簿1987-1988』が発行された。病院長情報を整理し,1989年3月には『病院要覧1989』が編集・制作されている。それまで『医学研究者名簿』の人物情報は1名ずつカードに手書きで記載されていたが,PADOSの開発・導入により,一度に大量の情報を処理できるようになった。 その後,1989年12月には部署ごとの企画一覧,制作部への引継企画一覧,制作中企画一覧の予定と実績表の出力が実現し,同時に雑誌編集委員,雑誌執筆者,書籍著者のなかで,同一人物の口座情報の重複解消を図った。1990年4月には「雑誌原稿料明細表」のプリントアウトを開始。1990年6月,販売部の書籍売上情報と連結し,これにより1991年1月からは原稿料と印税のオンライン化が可能となった。    さらに同年4月から『週刊医学界新聞』,「メディカルポケットダイアリー」,洋書部新刊案内(Medical Book News)のそれぞれの発送先をすべて拾い上げて「名寄せ」を行い,重複を整理した。これにより,社内の複数部署に登録されていた人物データは一元化され,効率的に利用されるようになった。1992年1月には,税務署提出確定申告用の「支払調書」,海外出版社への「版権料送金案内」の印刷が可能となっている。 やがて2005年5月に,後継システムであるISLANDSにそのすべてを引き継ぎ,PADOSの役割を終了した。139

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