医学書院の70年
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1983.07.28『解剖学カラーアトラス』発行Publication ofColor Atlas of AnatomyProf. Johannes W. Rohenと横地千仭先生による『解剖学カラーアトラス』は,繊細・緻密な剖出技術と鮮明な標本写真による,唯一無比,空前絶後の芸術品である。著者の一人である横地先生によれば,出版までに「30余年の準備を必要とした」とのことであるが,刊行にあたっては「世界に通用する医学書を日本から発刊したい」という当時の社長,金原元の情熱と決断も大きかったと,後に横地先生自身が述懐している。 本書は1983年7月28日にIgaku-Shoin Medical Publishers, Inc.からRohen and Yokochi : Color Atlas of Anatomyとして刊行されたが,この日独の著者の協働は1969年に社から発行されたYokochi: Photographic Anatomy of the Human Bodyのドイツ語版をJohannes W. Rohen先生が翻訳したことに始まる。同書の第2版からは共著者ともなったRohen先生から,より多くの本格的な写真を用いた解剖図譜を作ろうという話が持ち上がり,ここからColor Atlas of Anatomyがスタートした。そのころ,Rohen先生と親交の深かったSchattauer社から共同出版の申し出があり,1972年のフランクフルトブックフェアでの交渉を経て,完全に50%‐50%の出版権をもつ国際共同出版契約が成立した。 標本の作製・撮影,アトラスの作成には10年の歳月を要した。この間,横地先生は3回Rohen先生のお膝元Erlangen大学に短期・長期の出張をし,70 years of igaku-shoin116

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