医学書院の70年
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この日発行の週間予定表1176号裏面に,当時編集長であった長谷川泉による「新表記の採用」が掲載された。短いなかにも,国文学者の長谷川らしく国語審議会の答申内容を社業に引き寄せて解説している。これが,今日に続く「今週のトピックス」の起源である。 社内の情報伝達という視点で見ると,トピックス掲載以前の1960年6月には,執筆者である専務の金原元自身が「Letter」と称した「Letter from the Manager」の第1号が出されている(「金原元」の項34頁参照)。このなかで元は,Letterは従業員向けの経営レポートとして続けたいと述べているが,会社の志向する方針を従業員に理解してもらい,意識を一つにまとめることを重視していた。Letterはのちに「Letter from the Management」とタイトルを変え,不定期ながらトピックスが始まるまで続いた。このLetterの内容は,今日「社員の皆さんへ」と「今週のトピックス」のなかの「今期の決算,経営計画」に受け継がれている。 トピックスは当初,週間予定表の空きスペースを使って1回につき10行程度を目安に,原則として役員が執筆していた。1973年11月8日に週間予定表の別紙付録になって以降,ますます内容が充実し,社内人事・機構変更の解説に始まり,海外の教科書の動向,国家試験,学会の動向,流通上の問題,印刷技術の紹介,著者関係の情報,著作権問題など多岐にわたった。また,1980年代に入ると,執筆者もそのテーマに最も相応しいと思われる管理職が選ばれ,当該関係者以外でもその内容が理解できるよう“わかりやすく”を旨としてまとめられた。 トピックスは,1176号から数えて優に2,000回を超えた。社内向け文書であり,社外には配布できないものだが,出版界の抱えているその時々の問題を提起し,それを従業員に的確に理解してもらうための情報源として,今後も大きな役割を果たすものと期待されている。週間予定表1176号Weekly Schedule No. 1176.093

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